温暖で湿度の高い気候を有するわが国では、食品のカビは切実な問題となっております。特に夏季にパンのカビについて、よくお問い合わせをいただいておりますが、パンのカビ発生のメカニズムは、詳細に研究されてきておりますので、その概略についてのQ&A及び弊社製品と他社製品のカビ発生に関する保存試験結果につきまして、ご紹介いたします。
注1:
水分活性値は微生物が利用できる自由水の割合を示しており、水の水分活性は1で、1に近い程微生物が増えやすくなります。鮮魚・果物の水分活性値は0.98~0.99です。
注2:
AIBは米国において、5つのカテゴリーで構成された食品安全統合基準によって指導監査するフードセーフティシステムを確立して60年の歴史があり、世界各国で食品の安全安心に関する指導監査を実施しています。 なおAIBのフードセーフティシステムについての詳細な資料が(社)日本パン技術研究所フードセーフティ部のホームページに掲載されておりますので、ご参照ください。
:http://www.foodsafety.jp
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・ストレート法:
配合原料の全部を同時に混捏して生地に練り上げる製法で、中種法によるパンに比べパンの硬化が早く進む傾向があります。
・中 種 法:
小麦粉の一部とパン酵母と水を混ぜ中種と呼ばれる生地を作り、数時間程度の発酵を取った後に、残りの小麦粉、副原料を加え生地を作成する製法で、発酵安定性が高いため品質が安定し、中種発酵時に小麦粉の水和が進むため、硬化が遅いパンになります。
市場買付による保存検査の結果、カビ発生状況は以下の通りです。
消費期限後の経過日数
期限+3日
+4日
+5日
+6日
+7日
+8日
+9日
+10日
保存温度:25℃
(カビ発生枚数/試験枚数)
1.ヤマザキ食パン
0/36枚
0/36
2.ファインアローマ
3.超芳醇
4.A社食パン
5.B社食パン
保存温度:30℃
1/36
1/36枚
○アオカビ接種保存検査結果
(カビ発生箇所/カビ接種箇所)
カビ接種後経過時間
52時間
54時間
60時間
62時間
64時間
66時間
68時間
70時間
72時間
0/5
5/5
1/5
○クロコウジカビ接種保存検査結果
38時間
40時間
42時間
44時間
46時間
48時間