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競争でない、ほっこりした幸せの形を農業で/高知県 三戸毅さん

こうちアグリスクール

第二の人生スタートのきっかけは農業

今年4月から高知県立農業担い手育成センターでの就農希望者長期研修で農業を実践的に学んでいる三戸毅さん、律子さん夫妻。高知県立農業担い手育成センターは、高知県で就農を目指している人に向けて、農業全般の基礎知識と合わせて必要となる技術の習得ができるように研修やセミナーを実施しています。

高知で就農

三戸毅さんは20年以上大阪でハウスメーカーの営業職として働いていました。当時は組織の目標に埋没して、仕事以外の自分の人生に価値があるとは思っていなかったし、自分の時間なんて必要ないと思っていました。2013年に律子さんと結婚してから「会社に頼り切った仕事だけの生き方は勿体ない。もっと違う人生があるんじゃないか」と、毅さんの心に変化が芽生えてきました。

きっかけは生まれ育った大阪から全く知らない土地である名古屋に出向になったこと。休みの日に二人で長野など自然の多い場所に旅行したりするうちに、毅さんは「今の生き方を変えてみたい」と漠然と考えるようになりインターネットで「移住」を検索。中でも「高知」が多数ヒットしたことで、いつの間にか毅さんは高知県への移住を検討するようになっていました。

ある日、毅さんは「仕事辞めたいねん」と律子さんに気持ちを伝えます。律子さんは「え?何を言ってるの?」と頭の中が「?」だらけになったそうです。しかし、3回目にしてやっと「この人、本気や」と、覚悟を決めたそうです。その後、律子さんも高知について色々と調べ、「高知県と言えばこんなのもあるみたいよ」と毅さんに教えたのが、就農への第一歩ともいえる「こうちアグリスクール」でした。

こうちアグリスクールは2人の地元、大阪でも開講していたので昨年10月から5週間一緒に通い、また同時進行で、2泊3日の日程で高知県に来て産地訪問や高知県立担い手育成センター内での農作業体験を行う“こうちアグリ体験合宿”も参加しました。その上でそれでもやっぱり行きたいか?をお互い、それぞれの心に問いかけ「行きたいね」と、2人の意見が一致。いよいよ高知県四万十町に移住し、12ヶ月の就農希望者長期研修を受けることとなります。

高知での就農に向けた研修生活スタート

高知県立農業担い手育成センターには寮もありますが、三戸夫妻は、農業担い手育成センターのすぐ近くにある滞在型市民農園クラインガルテン四万十に住んでいます。ウィークディは、農業担い手育成センターの時間に合わせて、とても規則正しい生活を送っています。サラリーマン時代は、終電で帰宅して深夜に晩御飯を食べるのが普通で、更に、プレゼンのある前日などは家に帰らないことすらあったという毅さん。今、環境は180度変わり、夜10時ぐらいには寝て、翌朝は7時に起きるという健康的な生活を過ごしています。

農業研修は毎日身体を動かします。「正直、身体を動かすなんて何十年とやってなかったので、慣れるまでは大変だとは思っていたけど、すごく心地よい疲れを感じながら眠りにつけています。毎日が楽しくて仕方ないですね。休日は住んでいる“クラインガルテン四万十”のイベントで活動したり、ボランティアへの参加や農業担い手育成センターの職員さんたちと食事に出かけたりすることもあり、かなり充実しています。農業担い手育成センターの職員さんをはじめ、地域の方たちが、高知県の魅力を色々な形で教えようとしてくれていることが伝わってきます」と毅さんは話してくれました。

高知担い手センターの仲間

農業も高知県での暮らしも、2人にとっては何もかもが初めてで分からないことだらけ。そんな中、自分たちと同じような立場で来て独り立ちしている先輩のお話しを聴けることが、農業担い手育成センターでの研修の中で一番魅力。「いろんな年齢層の人がいて、語ることも違うので、凄く参考になり、いつも興味津々で聞いています」と律子さん。「センターでは、人それぞれのペースに合わせて、かなり自由に学ばせてくれたり、農園を紹介してくれたり、話しをしてもらえる。“こうしなさい”みたいなところがなく、出来るだけ主体的に決めさせてもらえるのがありがたいですね。都会の企業で疲れ果てた自分に心地いい。」と毅さんは感じています。

2人の将来の夢

「僕ね、心の中に、こんな絵があるんです。」と毅さんの夢を教えてくれました。それは「一日一日、満足できる仕事をして、夕方疲れて帰ってきて、彼女と2人で、庭付きの縁側でお茶やビールを飲みながら、今日一日のことを話している。今後、自立して自分たちの生活ができる中で、そんな暮らしができればなぁと。ちょっと年寄り臭いかもしれないけれど、今はそういうのがいいんです。」恥ずかしいなぁ…とちょっぴり照れながら。20年以上、営業職の第一線で数字を追いかけてばかりきた毅さんだからこそ出てくる深い言葉と感じながら、人間らしい暮らしや本当の幸せって、こんなところにあるのだと気付かされました。

三戸夫妻

律子さんは元理容師さん。「まさかわたしがここに来るとは思わなかった」と、笑いながらも「理容の仕事はいつでも戻れる。せっかくここ来て、このかけがえのない時間をいただいているので、しっかり学ばせてもらって彼のことを手伝えればいいなと思っています」と話してくれました。

高知のピーマン

野菜はもともと大好きな2人ですが、高知県に来てますます野菜が好きになったそうです。毅さんのお気に入りはピーマン。「僕は中華料理を自分で作るのが好きで、こないだもピーマンと中華麺を炒めてクラインガルテンの皆さんに食べてもらったんです。」そして、律子さんのお気に入りは土生姜。「今までこんなに土生姜を食べることはなかったんです。大阪にいた頃は、チューブの生姜を香りに使うぐらいしかなかったし、チューブじゃなくてもスーパーで見かけるのは小さい生姜だった。こっちでは大きい土生姜が売ってて、せっかくだからいろいろ使おうとなるでしょ、こないだ初めて土生姜の天ぷらをしたんだけど、スライスして天ぷらにして、塩で食べたんです。これがめちゃくちゃ美味しかったんですよ」とおすすめの食べ方を教えてくれました。

2人とも、すっかり四万十での生活に馴染んで、「農」と共にある暮らしを存分に楽しんでいます。


高知県
高知県は、小規模な農地でも収益性の高い、ビニールハウスを利用した野菜栽培が盛んです。就農のための情報収集と準備のために、高知県の農業を学んでみませんか?