1万人以上を殺しかけた会議のあきれた中身は?

会議の成否を握るのは、「議題」の設定だった

2018年6月29日(金)

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イラスト/和田ラヂヲ

 ここ数日の、あなたが出席した会議、とりわけ「議題」を振り返ってほしい。その「議題」は、「?」が付いて疑問文になっているだろうか。

 もし、あなたの会社の「議題」が、そうでなければ、要注意だ。色々な会議を見てきたが、もっともバラツキが多いのが「議題」だ。

 「中身がある会議」と「どうしようもない会議」の差は、「議題」でもある。その差は、天と地の差と言ってもいい。例えばあなたなら、次の会議に「どんな議題」で臨むだろうか?

 人命が懸かった「会議」が延々続いている。その人命の数は、なんと1万3千人。尊い1万人超の人命は、数十人の会議参加者に委ねられている。責任重大だ(出典:佐々淳行『わが上司 後藤田正晴 決断するペシミスト』文藝春秋)。

 1986年(昭和61年)11月21日、伊豆七島の大島三原山が噴火した。島内には1万3千人が閉じ込められている。街に迫りだした溶岩が海中に流入したら一大水蒸気爆発が起こり、1万3千人が吹き飛ばされてしまう。そんな事態になれば、日本国最大級の危機的状況だ。

 この未曾有の事態を打破するために冒頭の「会議」が繰り広げられていた。会議参加者は、当時の担当省庁である国土庁と関係省庁の役人だ。

 夕方から始まった会議は延々と続き、官邸との連絡が遮断されている。その間、刻一刻と危険は島民に迫りつつある。一刻の猶予も許されない状況だ。

 堪りかねた後藤田官房長官が会議の議題を調べさせたところ、その議題に絶句した。
 あきれた会議の議題はこうだ。

[議題1]災害対策本部の名称(をどうするか)
大島災害対策本部か、三原山噴火対策本部か
[議題2](発生年次は)元号を使うか、西暦にするか
昭和61年とするか、西暦1986年とするか
書籍『ムダゼロ会議術』では、成果の上がる会議の開き方、進め方をまとめている

 官邸の使いが会議参加者に「なんでそんなことを」とあきれながら質すと、万が一、昭和天皇が高齢のため、元号は変わるかもしれない、いや西暦は前例がないからと延々議論していたとのこと。とんだ笑い話だ。

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「1万人以上を殺しかけた会議のあきれた中身は?」の著者

横田 伊佐男

横田 伊佐男(よこた・いさお)

CRMダイレクト代表取締役

シティグループ、ベネッセグループにて、マーケティング部門・コンサルティング部門の責任者を歴任。100社を超える大手企業でのコンサルティング経験を体系化し、2008年に独立した。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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