筆者が最もサッカーを観戦していたのは大学〜大学院時代でしょうか。
ガンバ大阪の年間チケットを買って、ゴール裏で跳ねて騒ぎながら…
とは言わず、少し離れた位置で友人たちとゆっくり観戦していました。
一番印象に残っているのは2008年のクラブワールドカップ準決勝ですかね。
スタジアムでマンチェスター・ユナイテッドとの熱戦(3-5で敗退)…というかロナウドとルーニーを間近で観れたことに興奮しました!
さて、日本中(主に渋谷)でW杯フィーバーが起こっていますが、2018年6月28日、日本が2大会ぶりに決勝トーナメントに進出しました。
しかし、グループリーグ最終戦、日本対ポーランド戦において、日本の終盤のプレイングが議論を呼んでいます。
筆者はかなり冷めた人間なので『結果としてOK』派に近いのですが、まぁブーイングが起こるのも仕方ない内容でした。
どうやら眠れなくなってしまったので、この試合で起こったことについて、備忘録としてまとめておこうと思います。
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問題となったシーン:試合を諦めた?勝負に徹した?試合終盤のボール回し
- この試合の前まで、日本とセネガルが勝ち点4で同率首位、勝ち点3でコロンビアが3位、ポーランドが勝ち点0で最下位だった。
- 最終戦は日本対ポーランド。セネガル対コロンビア。日本は引き分け以上で2位以上確定。
- 59分に日本が0-1で先制され、暫定3位となった。
- 74分にセネガルが0-1で先制され、コロンビアが暫定首位に。日本はセネガルに勝ち点で再び並んだ。
- 勝ち点、得失点、総得点が同じ場合、警告ポイントで順位が決定。イエローカードが少ない日本が2位に。
- 後半35分過ぎから試合終了まで、日本は0-1の状況にも関わらずボール回し、時間稼ぎを徹底。会場大ブーイングの中で試合終了。
- 結局セネガルはゴールできず、コロンビア首位、日本2位で決勝トーナメント進出。
この試合で得られたもの
決勝トーナメント進出という『結果』
試合後のインタビューで、長友選手は『先に進むことが第一だった』と、長谷部選手は『見てる方にはもどかしいサッカーになったけど、これが勝負の世界』と言っていました。
確かに見てる分には退屈というか、長谷部選手の言う通りもどかしい試合でした。
むしろ、そういう試合だからこそ、途中から俯瞰して考察することに面白さを見出し始めました。苦笑
もちろん、勝負の世界ですから、2人とも正しいことを言っていますし、個人的には心から『良かったじゃん』という気持ちです。
私自身、過程より結果を求めるタイプというのもありますが『代表としてプレッシャーの中頑張ってるんだから応援しましょうよ』くらいライトに観戦しています。プロなんだから当たり前だろ!派の人も多そうですが…。
さて、この試合で一番大切な”結果”は決勝トーナメント進出でしょう。
『いい試合したけど敗退しちゃったね』
どっちを取るか。
観戦側としては色々感じますが、勝負の世界では前者が優先されることが多いでしょう。
代表選手たちはまず、グループリーグで最低限の結果を手にしました。
リスクと確率『職業:監督』の判断はビジネス面では正解?
W杯直前での監督交代という無茶振りを受けた西野監督は、とりあえずこの瞬間数億円の働きをしました!
4億ドルの賞金のうち、優勝国が3800万ドル(約43億円)、準優勝国が2800万ドル(約32億円)、3位が2400万ドル(約27億円)をそれぞれ受け取る。
その他は成績に応じて賞金が決まり、最もランクの低いグループステージ敗退国には800万ドル(約9億円)が支払われる。
また、出場全32カ国には大会準備費として150万ドルが分配される予定で、出場国は最低でも950万ドル(約11億円)の分配金が保証されている。
というイヤラシイ話は置いておいて…
監督目線で言えば、試合終盤で、
【ミッション】
日本代表の決勝トーナメント進出
【起こりうる事象】
・イエローカードを複数もらう(セネガルを超えてしまう)可能性
・セネガルがゴールを奪ってしまう可能性
・コロンビアがさらにゴールを奪う可能性
・日本がゴールを奪って自力突破する可能性<理想!>
・日本がゴールを奪われて敗退がほぼ決定する可能性
これらを全て天秤にかけないといけません。
<理想!>がベストなのですが、あのサッカーをしたということは、
『日本がここから無理に攻めた場合、ゴールを奪うより、失点してしまうリスクが大きい』
『日本が攻めて引き分け以上に持ち込む可能性より、コロンビアが勝利する可能性が高い』
という結論に達したわけです。
”自力”突破を諦めたわけですから、博打には違いありませんが、実力はポーランドの方が上です。
ポーランドは敗退決定していて、求めるのは意地の勝利のみ。1-0からさらに無理なサッカーを展開する可能性は低い。
結果としてこれらの措置は全て成功したわけですから、職業:監督としては正しい判断だったということでしょう。
何がいけなかったのか?
サッカーが興行である事実:露骨な時間稼ぎでファンが失望
しかし、サッカーは興行です。
入場料を得て、観客を楽しませて興行を維持しています。
サポーターは熱狂し、自分を重ねたり、夢を感じながら応援する人もいます。
そう言った点で言えば、あのサッカーは失望そのもの。
世界のメディアから酷評されているのも事実です。
『なんかモヤモヤする。嬉しくない。』
『こんなサッカーするなら決勝トーナメントに行かなくても良い』
これくらいで済むならまだマシですが、
『こんなサッカーするならもう代表選なんて見に行かない。テレビでも見ない。』
という人が増えるほど、あの試合がサッカーの将来に与える損害は大きくなるでしょう。
ただ”もう1戦ワールドカップで戦える”というのが救いです。
相手は強豪ベルギーですが、負けたとしても、この試合でどんなプレイを見せてくれるかで日本代表のイメージは(世界的にも)変わることでしょう。
イメージダウンと決勝トーナメント進出どちらを優先する?
結局はこの2点だと感じます。
これだけ見たら決勝トーナメント進出なのですが、サッカーを『エンターテイメント』として見るか『勝負の世界』と見るかで変わるのでしょうね。
シーズンのリーグ戦ならまだしも、ほぼ一発勝負のグループリーグとトーナメントは勝てればなんでもいいすわ
流石に勝利の質まで求めるのは日本サッカーにはまだって感じはするんすけどね
短期決戦はああいう作戦は必要かなと
エンタメ的な意味で試合内容がつまらないってのは完全同意です— 守形レイジ@涙拭けよ (@SugataReiji) 2018年6月28日
おわりに
個人的に、ポーランド戦は『良かった良かった』という安堵の気持ちが大きいです!
何より、ブーイングや批判が起こることが明らかなあの状況で『セネガルが0-1で負けることに掛け、0-1を維持するため全力でボールを回す』決断ができる西野監督には、ビジネスマンとして、
『……この人のメンタルすげぇな…』
と驚嘆のような、尊敬のような感覚を抱きました。
そして、それを間違いなく実行する代表選手達もまたプロフェッショナルケイスケホンダだと感じています。
とにかく、次はベルギー戦!アザールにルカク!
どんな戦いが見られるのか楽しみです。
皆さんはポーランド戦、どう感じたでしょうか??
それでは