第1章はアインズ様が紅茶にはまる というところまでになります。
2章からは舞台は外になります、とはいえ箸休めにナザリック内の喫茶店も登場させていこうと思います
1点変更点として時間軸を 原作10巻終了後 帝国の属国化が進んだ後の話と仮定させて頂きます。ものっすごい変わるわけではありませんがそっちのほうがより今後の展開が自然になるかなと思ったので……
申し訳ないですがよろしくお願いいたします
帝国で鮮血帝による貴族粛清が行われ貴族という概念が無くなったがそれに近い者はいないわけではない、貴族なるものが力があるのではなく力あるものが貴族足りえるのだ。帝国のとある豪商、シネンシス家も非常に力ある一族だった。商人である以上貴族粛清からは逃れられたが商人にとって貴族がいなくなるというのは大きな痛手である。力ある商人ならばどのような物でも取り扱いできると豪語するが今の時代では非常に難しい、既得権益をがっしりと掴んでいた貴族の力が皇帝に集約され自分の家を守るのも手一杯になっている状況だからだ。率直な表現をすると収入が少ない状況で維持費が非常に多い状況である。そんな状況では貴族らしい嗜みなどできるはずもない。いつの時代でも金がなくなると最初に削られるのはぜいたく品だ、……嗜好品、酒、娼婦といった金があるこそできた娯楽を控えるようになる。とはいえ酒や娼婦は貴族だけが商売先ではない冒険者や国の兵士にも大いに需要がある。しかしながら嗜好品……絵画、壺、工芸品といった美術品……珍しい食べ物、飲み物……紅茶などは控えるようになるだろう。そんな嗜好品を中心に取り扱っていたシネンシス家は非常に苦しい立場にあった。
私はカメリヤ=シネンシス……シネンシス家の当主である。鮮血帝の貴族粛清が行われ、それに追随するように父の急逝。そんな混乱からようやく落ち着き始めた家の当主だ。……大変なんてものではなかった、シネンシス家は貴族ではないが貴族に対して嗜好品を中心に取り扱ってきた商家そんな商売をしている家が貴族粛清を行われた影響を想像してみてほしい阿鼻叫喚としか言えない。急逝した父に対しては恨み言の一つでも言えれば気が晴れただろうがそんな時間すら無かった。減った収入の穴埋めに今まで取り扱っていなかった大衆向けの嗜好品を探したり貴族向けに取り扱われていた商品を高ランク冒険者……ミスリル級やオリハルコン級の冒険者に対しアプローチもかけ何とか商売は安定し始めてきた。
無我夢中で様々なことに手を出してきたが落ち着いてきたところで改めて方針を決めなければならない。高ランク冒険者に対する嗜好品の売り込みはある程度結果は出ているそれは間違いない、しかしそれも収入の穴埋め程度にしかならない。貴族のようにポンッと買う家は少ないあのフルト家などは金払いが非常に良かったが今でも稀に注文が入る、何かしらの収入があるのだろうか? 羨ましいことだ。帝国もある程度落ち着いてきた、ともすれば大衆向けの商品に力を入れていかねばならない……何か魅力的な商品を探さなければまた近隣に物色しに行くとしよう。そういえば最近王国の一部が独立したと噂を聞く、エ・ランテルだったろうか?堅牢な都市で様々な商人が集まると聞いているがはて最近とんと噂を聞かない。
これは一度行ってみたいなと考えながら私室を出て他の職員がいる部屋へ向かう、いや残念だこれほどまでに大事な仕事が出来てしまっては運営を一時彼らへ任せざるをえない実にすまないと思う。言い訳を考えながらカメリヤ=シネンシスは職員が集まる部屋のドアを開ける、すると一斉にこちらに注目される。おかしいまだ何も言っていないがと疑問を持ちながらいると職員のほかに立派な黒い鎧を着た偉丈夫が立っていた……プレートということは冒険者か、あまり見ないプレートだがアイアンあたりか?いや違うミスリル?これは失礼な思い違いをした……ミスリルでもない……まさかアダマンタイト……?
「これはとても珍しいお客様だ、初めまして 私はカメリヤ=シネンシス。この商家の代表を務めさせていただいております」
動揺を隠しながら初めて見るアダマンタイト冒険者に対し挨拶をする、少し声が上擦った気もするがまぁスムーズに挨拶できただろうと気持ちを切り替える。職員があれ誰だよという目で見ているが気のせいだろう私は時と場と状況は弁える男なのだ。
「初めまして……私はモモン、魔導国エ・ランテルにて主に活動しているアダマンタイト級冒険者です」
「ほっほう!アダマンタイト級冒険者が我が商家に来ていただけるとは実に縁起が良いですな。早速ではありますが本日はどのようなご用件で?」
貴重なチャンスの匂いを感じる、このモモンという男立派な鎧に身の丈ほどもある大剣を担ぎいかにも歴戦の兵という雰囲気を出している。がそれに加え冒険者らしくない丁寧な言葉遣いこれはとても話が分かる冒険者と繋がりを得る機会に違いないと思い当たる……カメリヤという男が持つ才能は人を見る目だった。利益あるものに対し非常に敏感に気づきを得ていただからこそ粛清後も商売を続けられていたのだ。
「いえ、私は今回ただの中継でしてね。しがない冒険者である私はとある人物の代理としてやってきたのですよ」
アダマンタイト級冒険者がしがないとは謙遜がすぎる、とはいえ自信過剰な冒険者よりはよっぽどマシだとまた少し評価を上げる。
「ふむ、その人物とは?」
「あなたのもとで昔働いていたというノキという青年からの依頼です」
「……ノキ……?…ノキ……ノキ……っ!あやつ生きていたのかっ!」
「ええ、今はエ・ランテルにて商売をされています」
「なるほど……そういうことか、今回はノキの代理として来たということは何かの交渉か?」
「話が早くて助かりますね、カメリヤさん。貴方に卸してもらいたい商品はこれです」
そう言いながら漆黒の冒険者が懐から上品な箱を取り出し差し出してくる。
「……失礼しますよ、これは……葉っぱ?いや違うこれはまさか」
「そう、貴方に卸してもらいたい物とは紅茶です。エ・ランテルを紅茶の街にして頂きたいのです」
これがカメリヤ=シネンシスの大きな転換期、始まりの紅茶と呼ばれる男の一歩目のスタートだった。
第2章からは少し今までと趣が変わります
第1章では紅茶とりあえず飲んでみぃ!という事を中心にしていました。第2章からは喫茶店の中だけでは満足できくなったアインズ様が外でも紅茶を探すようになっていきます。ナザリックで出される紅茶は素晴らしい、ただ他の美味い紅茶があるかもしれないって思ったからですね。コレクター精神みたいなものと思っていただければ、弱くても癖がある武器とかだったら珍しがってアインズ様集めそうですもんね笑