沈没駆逐艦を位置情報付で可視化
九州大学の研究グループは、太平洋戦争末期に沖縄県北部の沖合の海底に沈んだアメリカ軍の駆逐艦の全体像について、正確な位置とともに3D画像で可視化することに成功したと発表しました。
この駆逐艦はアメリカ軍の「エモンズ」で、太平洋戦争末期の沖縄戦で旧日本軍の特攻を受け航行ができなくなったため、アメリカ軍によって沖縄県北部の古宇利島沖に沈められました。
発表によりますと、九州大学浅海底フロンティア研究センターの菅浩伸主幹教授らのグループは、この「エモンズ」について、沈んでいる正確な位置とともに全体像を3D画像で可視化することに成功したということです。
水中で撮影した1800枚にも及ぶ写真と、音波を使った水深の測定技術を組み合わせて実現したということで、特攻の攻撃を受けて大きく壊れたとみられる船尾や、船体からおよそ16メートル離れた海底に舵部分が沈んでいるのも、3D画像で正確な位置とともに再現されています。
また、3つの砲塔が水平方向に向けられているのも確認でき、菅主幹教授は旧日本軍の特攻機が海面ぎりぎりの高さからエモンズに向かってきたことを裏付けるものではないかとしています。
エモンズが沈んでいる範囲は縦およそ120メートル、横30メートルに及んでいて、GPSを使うことができない水深40メートルの海底のものを正確な位置とともに3D画像で可視化するのは世界で初めてだということです。
菅主幹教授は「エモンズは沖縄戦や特攻隊の歴史を象徴する戦争遺跡なので、文献などの史実とあわせながらさらに研究を進めていきたい」と話しています。