フリーランスの支援プラットフォームを運営するランサーズは6月28日、個人でも仮想的に会計や法務といった企業が有する部門機能を利用できるサービス「Freelance Basics」の提供を開始した。
Freelance Basicsに会員登録すると弁護士や税理士といった専門家に相談することが可能で、サービス開始時点では会計と法律の2種類について窓口が設置される。月額利用料は480円で、会計サービスはビスカス、法律サービスはGVA TECHとGVA法律事務所が担当する。
従来もこういったフリーランス向けの後方支援、効率化サービスは点在していたが、その窓口をランサーズが一本化し、個人が得意分野のサービス提供に集中できるようにすることが狙い。企業で働く人たちとのリソース差分をなくすことで、仕事をこなす量が減ってしまうという課題を解決する。
取材で同社代表取締役、秋好陽介氏は長年のサービス運営でフリーランスの課題をこう指摘していた。
「フリーランスはクレジットカードが作れない、住宅ローンを受けにくい、家を借りにくいなど色々とありますが、最も切実なのは『仕事をする以外のこと』に時間がどうしても奪われるということがあります。確定申告や請求書領収書発行、法律相談で多くの時間を費やし、さらに収入不安や働く時間管理不足といった労務の問題も抱えています」。
フリーランスと企業経営で最も異なるのが経営と業務執行が分離されない点だ。ずっとプレイングマネージャーみたいな状態が続くと、「自己分析して未来への投資(経営管理)などの時間を持てていない人」(秋好氏)が増えてしまう。
ランサーズでは仕事の安定供給についてもベーシックワークという月額最低保証の取り組みを開始するなど、「法務・経理・労務・経営企画・経営管理、そして万が一の時の収入保障」(秋好氏)を整えることでより個人の専門性に集中して仕事ができる環境を作ろうとしている。
また、事業を担当する取締役の根岸泰之氏によれば、もうちょっと細かい、例えばレシートをそのまま渡して処理してもらう、というような「会社の中でやっていた」サービスもいくつか展開予定と教えてくれた。
「業務委託契約書、発注書や請求書、領収書など、ワークフローの中で必要な書類はデータをインポートできるようなプロダクトにする計画もあります。多くのフリーランスはまるっと収支でプラスだが、一つ一つの仕事のPLみたいなものは分かってない、といった状況になりやすく(こういった情報を管理することで)フリーランス自身が仕事のPDCAを回し、次の成長につなげられる『個の経営管理』が実現できるようにしたいと考えてます」。
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