【サッカーW杯】 前回王者のドイツ敗退 1次リーグで韓国に0-2
開催中のサッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会で27日、前回王者のドイツがグループステージ敗退という番狂わせがあった。韓国に0-2で敗れた。西ドイツあるいは統一ドイツが1次リーグを突破できなかったのはW杯史上初めて。
4回優勝経験のある強豪ドイツは、後半追加時間に2失点し、屈辱的な敗北を喫した。ヨアヒム・レーブ監督率いるドイツ代表は、グループF最下位で今大会を終えた。
一方の韓国は試合開始から92分の猛攻でDF金英権(キム・ヨングォン)がゴール。当初はオフサイドと判定されたが、今大会から導入されたビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が得点を認めた。
これで0-1とW杯敗退の瀬戸際に立たされたドイツは必死に挽回のチャンスを狙うが、GKマヌエル・ノイアーが韓国サイドでボールを失い、カウンター攻撃を受ける羽目になった。
MF朱世鐘(チュ・セジョン)が運んだボールを、FW孫興慜(ソン・フンミン)が軽くタップしてキーパー不在の無人ゴールに押し込んだ。
この2得点目に韓国サポーターは歓喜し、多くのドイツ・サポーターは衝撃と涙にかられていた。
今大会のドイツは初戦も、メキシコに0-1で敗れていた。
そのメキシコは、スウェーデン相手に0-3で敗北。グループFはスウェーデン1位、メキシコ2位で決勝トーナメントへの進出が決まった。
ドイツに何があったのか
4年前のドイツ優勝を実現させたレーブ監督だが、今大会については大会前からの采配が問いただされるのは必至だ。
マンチェスター・シティの英プレミアリーグ優勝に大貢献したFWリロイ・ザネ(22)を代表から外したほか、前回大会の決勝で勝利を決定付ける得点を挙げたMFマリオ・ゲッツェも外された。
韓国戦では、勝利した第2戦スウェーデン戦からメンバー5人を入れ替えた。アーセナルのMFメスト・エジルを先発させた一方で、MFトーマス・ミュラーはスターティングメンバーから落とされた。エジルはこの試合、活躍できなかった。
レーブ監督は2006年にドイツ代表監督に就任。2008年の欧州選手権では1996年大会以来の決勝進出を果たしたが、スペインに敗れ準優勝に終わった。2014年の前回W杯ブラジル大会では、1990年以来4度目の優勝を実現した。
しかし、今回の番狂わせによって、レーブ監督自身だけでなく、代表チームの主要選手の今後についても疑問符がついた。ノイアーは32歳、MFサミ・ケディラは31歳、エジルFWマルコ・ロイスは共に29歳で、いずれも今大会が代表として最後の出場となった可能性がある。
レーブ監督は「この敗退のせいで、ドイツ・サッカーに暗黒時代が訪れると思うかって? いや、そうは思わない」と記者の質問に答えた。
「才能豊かな若い選手が複数いて、さらに進歩する余地を残した選手もいる。これまで他の国も同じような目にあってきた。今回のことから正しい結論を導き、今後に向けて改善していくしかない」
チャンスを何度もミスしたドイツにのしかかった代償
グループFのもう1試合ではスウェーデンがメキシコに3-0で勝利した一方、ドイツはカザンでの韓国戦で無得点に終わった。この試合、死に物狂いでゴールを目指し、得点しなければならないとドイツはわかっていた。
ドイツはこの試合で勝利できれば、得失点差でメキシコを上回る可能性を残していた。しかし、劇的な勝利は、金英権がゴールネットを揺らしたことで、対戦相手の韓国にもたらされた。
金英権の得点は当初オフサイドの判定。しかし、VARによる再確認で、ゴール直前に金の元へこぼれたボールは、ドイツMFトニ・クロースがはじいていたことが示され、得点が認められた。
試合を振り出しに戻そうと必死でゴールを目指すドイツは、GKノイアーも攻撃に参加した。
しかしノイアーは、トッテナム所属のFW孫興慜にロングボールを入れられ、窮地に追い込まれる。孫興慜はボールを無人のゴールネットに流し込むだけだった。ゴールが決まると、既にW杯グループステージ敗退が決まっていたにもかかわらず、韓国は喜びを爆発させた。
試合が無得点で終了し、ドイツ代表はゴール前での効率の悪さを公開することになるだろう。
ドイツMFレオン・ゴレツカが放ったヘディングシュートは、韓国のGK趙賢祐(チョ・ヒョヌ)が片手でのファインセーブで防いだ。FWティモ・ベルナーがペナルティスポット付近から放ったボレーシュートも、わずかにゴールをそれた。
DFマッツ・フンメルスもペナルティエリア内からマーク無しでヘディングシュートを放つが、ゴール上方に外れた。その後、韓国が試合終了直前に2得点を挙げた。
1958年スウェーデン大会と1962年チリ大会で優勝したブラジル以来のW杯連覇を狙ったドイツの望みは、この韓国の2ゴールにより決まりの悪い形で絶たれた。
グループステージ敗退も、歴史に残る勝利を祝う韓国
韓国は開幕から2戦をスウェーデンに0-1、メキシコに2-1と連敗し、勝ち点無しでドイツ戦を迎えた。
しかし韓国には、W杯出場10回中3度目となる決勝トーナメント進出の可能性が、計算上は残っていた。ただそのためには、メキシコがスウェーデンに勝利する必要があった。
韓国最初の得点チャンスは、MF鄭又榮(チョン・ウヨン)のフリーキックをノイアーが掴み損ねて生まれた。孫興慜がリバウンドを押し込もうとするが、ノイアーの勇気あるパンチングでボールはかき出された。
両チーム無得点が続く中、孫興慜はその後もボレーシュートを狙うが、枠を外してしまう。後半、孫興慜はPKを得ようとして転ばされた振りをしたと判定され、マーク・ガイガー主審からイエローカードを受けた。
エカテリンブルクで行われていたスウェーデン対メキシコがスウェーデンの勝利で終わったことで、韓国のグループステージ突破の望みは失われたが、韓国にはドイツから歴史的勝利を得るという予感が残っていた。
世界ランク57位の韓国は、試合終了間際の2得点で試合に勝利した。韓国はこの2得点の両方を、まるでチームが決勝トーナメントに進出したかのように祝った。
マン・オブ・ザ・マッチ――孫興慜(韓国)
(英語記事 World Cup 2018: Germany out of tournament after losing to South Korea)