皆さんは行列に何時間まで並べますか?
行列の先に人は何を望むのでしょう。「他では食べられない味?」「食べ物とは思えない美しい見ため?」はたまた「かわいい店員さん?」
今日の取材先は、どうやらそういうこととはまた違った様子です。仕事帰りに必ず通るあの道。平日でも行列ができているあのお店。いつ通っても行列ができている安定感に「なぜだろう?」と疑問をもったのがきっかけです。
店通記事の取材で、その秘密を私なりに探ることにしました。調べてみるとレモンサワー発祥の地だとか。その店の名前は「もつ焼きばん 中目黒本店」。
中目黒ばんへ向かう
実際に訪問したのは5月某日。仕事を早めに切り上げ、19:00過ぎには中目黒に到着。
昼間の気温は暑かったものの、夕方から肌寒くなりました。駅から徒歩1分程度のお店に向かう途中「平日だし、少し肌寒いし、今日はそんなに並ばないかな」と予想していると、いつもの「行列」が見えてきました。
………予想に反して、いつも以上の長さです(泣)
前から、後ろから見ても長さは変わることはありません。以前から感じていましたが、並んでいる人は20代の若い男女が多いようです。でも年配の方もチラホラみかけるのでご安心ください。
パシャパシャと写真を撮影していると、それに気づいたごきげんな若者がピースサインをくれましたので、声をかけてみます。
「こんばんはー。来店は何回目ですか?」
「今日が初めてです。」
「何を見て来店をしたんですか?」
「インスタではやっていて、いつかは行ってみたいと思っていたんです!それに、友達もみんなここに食べに来て写真を撮っていて…」
突然の声掛けにも快く答えてくださいました。他にも、この日は私たちグループを含め7~8組が並んでいました。
それにしても、私のイメージする大衆酒場は、粋なおじさんが「くいっと一杯ひっかけてサッと帰る」ような場所でしたが…。お店に入るまでの間、若い子たちがコンビニでお酒を買って列に並んでいる様子は、なかなかのカルチャーショックです。
いくら中目黒でも平日の夜、それも寒い中これだけの行列を作るのは、このお店ぐらいではないでしょうか。
普段なら行列は避けてしまう性分ですが、意を決して列の最後尾に並びます。
並んでいる最中、何組ものお客さんが店に入ろうとして、行列に気付いて帰っていきました。
いざ入店…!
待つこと1時間半…店内に案内されました!店内は人でごったがえし、活気にあふれています。テーブルごとの距離が非常に近く、相席のような感覚です。隣の人の会話もよく聞こえてきます。
定番のレモンサワーを注文。焼酎の入ったグラス、ハイサワー(炭酸)、2つにカットされたレモンが丸ごと1個出てきました!このセットを使って、自分好みのレモンサワーを作れます。それぞれおかわりを頼めるようです。焼酎は「なか」。レモンとハイサワーも別々で頼めます。ホッピーと同じようなシステムですね。
早速、定番のレモンサワーで乾杯します。
本日頼んだ料理はこちら。豚バラねぎ塩ともつ焼き5本盛り合わせ。うん。どちらもおいしい。しかし席は狭い。だがそれが良い。周りのにぎやかな雰囲気に、だんだんとこちらも開放的な気持ちになってきます。性別年齢全く関係なく、すべてのお客さんがガヤガヤと楽しそうに過ごし、時には隣の人と会話を交わす空間は、すごく居心地が良いものでした。
並びたい店、SNSに上げたくなる店ってなんだろう
子供の頃を思い出してください。「みんなが持っているから欲しい」「あの子が持っているオモチャ(ゲーム)が欲しい」
実は大人の世界でも、こういった心理的要素が結構使われています。
「今はやりの・・・」「ヒットチャート1位」
心理学的には「同調行動」と表現され、よく「ラーメン屋の行列」などが比喩として使われます。実際、「友人のインスタグラムを見た」という意見がありました。
そうなのです!中目黒ばん、インスタでも有名なのです。『行列』&『インスタ映え』の合わせ技。これだけ聞くと筆者は「集客がうまい店だなぁ」と思ってしまいます。
お店を検索すれば、こんな写真がたくさん出てきます。「ばんでたくさん呑んだよ!」という報告。「やばwww私も行きたいwww」というコメントのやりとり。
そして自分たちもやってみたくなる…。(何故だか不思議)という訳で、しっかり乗せてきました、レモン。
行って気付いた、中目黒ばんの魅力と考察
業界専門メディアである「店通-TENTSU-」の取材で訪問したため、飲食業界に関わる方や経営者さんに向けて「集客力の秘密」を考えたいという気持ちが強く、SNSなどを活用したはやりの方法論を考えすぎていました。取材から数日たち「また行きたい」と思っている自分に気が付き、再び考えました。
インスタを活用した集客、行列の秘密。いろいろと勘繰りましたが、ばんの行列の先には「昭和のぬくもり」がありました。
個人的な見解ではありますが、私が行って感じたばんの魅力。
気兼ねしない雰囲気、なんとも言えない懐かしさ、進化していく街の中で、変わらぬたたずまい…。おしゃれな街に昭和のレトロ感漂うそこは、ほっと肩の力を抜ける場所のように思えました。
大型店(チェーン店)にはないカオス感やにぎわい、マニュアル化されていない店員さんの気取らない接客。狭いのになぜか居心地のよい空間。都会で暮らすわれわれには、たまにこんな場所が必要なのかもしれません。
ばんが大好きな皆さん、もしこの記事をお読みでしたら、何を求めてばんに訪れるのか、ご意見をください。
店舗情報
クンピー
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