さよなら、DoubleClick(ダブルクリック)。Googleは、同社広告関連プロダクトのリブランディングの一環として、DoubleClickの名前を廃止することにした。これは、このアドテクプラットフォームがローンチされてから22年後、Googleによって買収されてから11年後のことになる。
Googleの幹部は26日、ニューヨークのYouTubeクリエイタースペースで開催されたプレスイベントで、この変更を発表。Googleの広告プロダクトへの変更は最小限に留められるが、単にブログ投稿で公表するのではなく、1時間のプレゼンテーションを実施した理由を、Googleのコミュニケーションディレクター、チヒャ・チョ氏は次のように語った
「過去18年において、新製品ラインナップで製品名を変更したのは、はじめてのことだ」。
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名前とブランド
DoubleClick内のツールは削除されていない。むしろ、Googleは新しい3つの広告プロダクトにおいて、2つのことに取り組んだ。それは単純に、20年以上の歴史のなかで失ってしまった、名前とブランドだ。
「DoubleClickのブランドは崩壊している。今回の取り組みが、それらの最適化に役立つ最高のツールになると、我々は信じている」と、Googleのプラットフォーム担当マネージングディレクター、ダン・テイラー氏は述べる。「マーケターは、我々の広告と分析のソリューションを同時に使用しているときに、その価値を最大限に引き出すことができた。最高の顧客はそれを日常的に実行していたが、なかなか容易なことではない」。
パブリッシャー向け広告プラットフォームのプロダクトマネジメント担当ディレクター、ジョナサン・ベラック氏もこのイベントに参加。DoubleClickへ2004年に入社した彼は、Googleによって同社が買収されたあと、そのまま一緒にGoogleに加わった。ベラック氏によると、広告業界は進化しており、Googleのブランドもそうでなくてはいけないという。
「我々は変容するエコシステムに生息している。コンテンツの消費は、プログラマティックを介した取引やプラットフォームのあいだで、新しい局面を迎えた。透明性、コントロール性、広告エクスペリエンスの基準が高くなっているのだ」。
3つの新プロダクト
今回新しく、Google Ads、Google Marketing Platform、Google Ad Managerの3つが紹介された。これは、次のようなものだ。
Google Ads
- かつてGoogle AdWordsと呼ばれていたもの
- Google.com、その他Googleサービス(YouTubeとGoogle Play)、パートナーサイト、アプリにおける広告を購入できる
Google Marketing Platform
- かつてのDoubleClickとGoogle Analytics 360 Suite
- マーケターのGoogleにおけるキャンペーンの計画、購入、測定、最適化を支援する
- Googleのディスプレイ広告プロダクトを統合するDisplay&Video 360も含む
Google Ad Manager
- かつてのDoubleClick for PublishersとDoubleClick Ad Exchange
- コネクテッドテレビ、AMP(Accelerated Mobile Page)、アプリのあいだでコンテンツを収益化するためのパブリッシャー向けツール
このアップデートによって、「これらのエージェンシー、広告主、パブリッシャー向けのソリューションは、透明性、本物の価値、そして選択肢を提供する。我々が常に信じている第一の原則は、我々のユーザーに機能する関連広告だ」と、Googleにおける広告部門のシニアVP、シュリダール・ラマスワミ氏は語る。
ラマスワミ氏によると、この動きは、エージェンシーを飛び越えた広告主との直接的な関係を狙ったものではないという。この変更は、ユーザーエクスペリエンスには、ほとんど影響を与えない。
スモールビジネス
広告フォーマットへの唯一のアップデートは、スモールビジネスのオーナーのためにデザインされた。Googleは、「スマートキャンペーン(Smart Campaigns)」をローンチ。これは新しい広告主がGoogle adsに登録したときに得られる規定の体験の新しい用語だと、GoogleのGMであり、スモールビジネス広告におけるプロダクトリード、キム・スポルディング氏は述べている。これらのスマートキャンペーンには、リンク先のウェブサイトへユーザーを誘導する広告と一致する、自動最適化されたランディングページが含まれる。今年後半には、広告主が広告の画像を簡単に選択できるプロダクト、イメージピッカー(Image Picker)が登場する予定だ。
スポルディング氏は、「スモールビジネスの拡大によって、我々も成長している。我々のコミュニティも同様だ」と語った。
確かに、Facebookとスナップ(Snap)は、ここ数年のあいだ、スモールビジネスの顧客に集中してきた。Facebookの最高執行責任者(COO)、シェリル・サンドバーグ氏は、スモールビジネス向け広告主の成功を、四半期決算発表時に誇示している。製品に関しては、FacebookとSnapの両方が、簡単に数分で広告を作成して購入できるように努めてきた。もちろん、2016年の選挙におけるロシアの干渉を考慮してFacebookは、その容易さのいくつかに制限を加えている
プライバシーファースト
今回のイベントでGoogleのエグゼクティブは、同社がプライバシー保護に重点を置いたことを強調。プレゼンテーションからのスライドからは、シンプルに「プライバシーファーストプラットフォーム(Privacy first platform)」であることが読み取れる。
Googleのテイラー氏は、「Googleでは、すべての製品において、『プライバシー』に対して真剣に取り組んでおり、Google Marketing Platformも変わっていない」と語った。
しかし、Googleは、ユーザーや広告主のプライバシー設定の更新については明らかにしていない。Googleは、IABテックラボの ads.txt イニシアチブの早期採用者の1社であり、透明性の確保と迷惑メールの防止に役立っていると述べる。
広告主は今後、数日間から数週間のうちに、新しいブランドとDoubleClickの終焉を見ることになる。Googleは、7月10日にGoogle Marketing Liveイベントで新しいキャンペーンタイプを発表するという。
Kerry Flynn(原文 / 訳:長田真)