トランプ米大統領の頼みの綱はサウジ-イラン産原油の輸入停止要求で
James Herron、Catherine Traywick-
米国は11月までに同盟国にイラン産原油購入の完全停止を要求
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サウジ、7月の原油生産量を過去最大に引き上げる方針示唆
トランプ米大統領はサウジアラビアに対し、イランとの経済戦争の最前線に立つよう求めている。
米政府は同盟国にイラン産原油の購入を11月までに完全に停止するよう求める一方で、中東地域でイランの最大のライバルであるサウジアラビアには、米中間選挙を控え原油市場のバランスを維持する役割を期待している。ただ、原油市場はベネズエラの石油産業の崩壊とリビアの混乱の影響を受けている状況で、イラン産原油の輸出が失われれば、サウジの余剰生産能力が逼迫(ひっぱく)しかねない。
コンサルティング会社エナジー・アスペクツのチーフ石油アナリスト、アムリタ・セン氏は「米国の同盟国の輸入がゼロになり、インドと中国も輸入を減らせば、原油市場は日量最大150万バレルのイラン産原油を失う可能性がある」と指摘した。
石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の産油国は日量100万バレルの増産を決めたが、イラン産原油輸入停止措置の影響を相殺できそうにない。BNPパリバのシニア石油ストラテジスト、ハリー・チリンギリアン氏は26日付のリポートで、リビアとベネズエラの供給減少を考慮すると、原油市場では今年後半に供給不足が見込まれると指摘した。
サウジが供給を穴埋めする意向は明らかだ。米政府から増産や価格高騰抑制の圧力を受ける同国は26日、来月の原油生産を過去最大の日量1080万バレルに引き上げる計画を示唆した。サウジアラムコのアミン・ナセル最高経営責任者(CEO)は日量1200万バレルまで生産が可能との見解を示している。
原題:Trump’s Bid to Cut Off Iranian Oil Relies on Saudi Barrels(抜粋)
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