「コツコツ貯めたポイントって所得としてみなされるの?」
「出張や陸マイラー活動で得られたマイルって課税対象なの?」
この記事はそんな方へ向けて書いています。
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ポイントやマイルがめちゃくちゃ貯まると税金が不安になる
陸地でマイルを貯める人種のことを、「陸マイラー(おかまいらー)」と呼ぶのはご存知でしょうか?
以下の記事でも紹介していますが、僕は陸マイラー活動に勤しんでいます。
最近はかなり順調で、年間で20万マイルほど貯まるようになりました。そのため飛行機の搭乗券はいつもタダで発券できて家計に大助かりです。
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【裏技】僕が貯めた「マイル」をお見せします。年間数十万マイルが貯まるマイレージ錬金術とは?
「陸マイラー」という言葉を聞いたことがあるだろうか?自分は飛行機にほとんど乗らずに年間数十万マイルを貯めている。大量マイルを貯める方法論を解説します。
ただ、上記の陸マイラー活動が軌道に乗ってマイルがたくさん稼げるようになってくると、あるひとつの不安が生じます。
それは、
- ポイントやマイルは課税対象の所得となるのか?
というものです。
ポイントに関する税金について税理士様に聞いてきました
先日この疑問について税理士様に相談をする場を持つことができましたため、マイルやポイントに対する課税の考え方をあれこれ根掘り葉掘り聞いてみました。
その税理士様は42年ものあいだ国税局に務め、近年東京都豊島区に独立開業した方の見解ですので、税処理の方法にはある程度の確からしさがあると考えていいと思います。
とはいえ国税局の公式な見解ではないので、これがタックスアンサー(正しい情報)とは限りません。あくまで「一個人が一税理士様に聞いてみた結果」ということで、参考までの情報にしてください。
【2017年2月20日追記】
本記事で紹介した課税の考え方についての裏を取りました(→豊島税務署)。税務署によっては回答が変わる場合も考えられるため、念のためご自身の所轄税務署でもご確認ください。
【非課税】購入に伴い得られるポイントは”値引き扱い”
(僕)「PontaやTポイントなどのポイントプログラムってありますよね?コンビニで物を買ったり、外食したりして貯まるあのポイントです。
あれらのポイントは課税対象の所得として扱うのではなく、店側の「値引き」として計上するのが一般的とインターネットで調べたのですが。」
(税理士様 以下、I先生)「そうですね。店側の値引きにあたります。」
(僕)「クレジットカードの決済で貯まるポイントも、飛行機搭乗で貯まるマイレージも、同様と考えていいですか?」
(I先生)「その考え方で問題無いです。」
・買い物や搭乗で貯まったポイント・マイルは店側による”値引き”扱い=課税対象外
【非課税】入会キャンペーン等のキャッシュバックは”サービスの一部”
(僕)「やっぱりそうなんですね・・・。この場合は商品やサービスの購入(支出)に伴ってポイントが付与されるから、「値引き」という考え方は確かにしっくりきます。」
(僕)「けど、支出が伴わないのにこういうポイントを得ることができる場合もあるんですよ。」
(I先生)「というと??」
(僕)「ほら、例えば『今クレジットカードを作ればもれなく5,000円分のTポイント進呈!』みたいなやつです。」
(僕)「あれは元手ゼロでポイントだけもらうことができるので、値引きという考え方は適用できないですよね?」
【参考】
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【裏技】僕が貯めた「マイル」をお見せします。年間数十万マイルが貯まるマイレージ錬金術とは?
「陸マイラー」という言葉を聞いたことがあるだろうか?自分は飛行機にほとんど乗らずに年間数十万マイルを貯めている。大量マイルを貯める方法論を解説します。
(I先生)「ああなるほど。」
(I先生)「ああいうのは、企業側と交わした契約のサービス対価の一部というか延長というか、サービス契約に内包されるものとして捉えられるから、やはり所得として見なすことはないです。」
・クレジットカード発行などで貯めたポイントは”サービス対価の一部”=課税対象外
【課税】報酬や賃金としての性質を持つ現金やポイント
(僕)「なるほど、サービス契約に内包されると。。。」
(僕)「じゃあ、アフィリエイトってあるじゃないですか。紹介したい商品の広告をクリックしてもらって、実際に売上につながったら広告主から報酬がもらえるというやつ。あれは雑所得ですよね。」
(I先生)「アフィリエイトは雑所得ですね。」
(僕)「アフィリエイトの報酬を現金ではなく、例えばTポイントのようなポイントとして貰ったら?」
(I先生)「現金だろうとポイントだろうと雑所得にあたる。報酬や賃金という性質を持つものはすべて所得と見なされる。」
(僕)「アフィリエイトではなくポイントサイトに友達を紹介して、紹介報酬のポイントを貰った場合も?」
(I先生)「それも同様。報酬に関しては雑所得である。」
・現金やポイントなど形式に関わらず「報酬」や「賃金」の性質を持つものはすべて課税対象所得
【課税タイミング】ポイントの課税処理は「付与」ではなく「使用」のタイミング
(僕)「じゃあ仮に、現金ではなくポイントとして報酬が貰えたとして、これが課税されるのはポイントが付与されたタイミングしょうか?ポイントを使用したタイミングですか??」
(僕)「たとえば企業の福利厚生制度(カフェテリアプラン)なんかでは「実際に使用されたタイミング」で課税が行われると国税庁HPのタックスアンサーに記載されていますが。」
(I先生)「ポイントは発行する企業にとっては負債(引当金)に相当するものだけれど、ポイントが使用されるまでは支出、つまりキャッシュアウトが伴わない。」
(I先生)「また、得たポイントがそのまま失効するといった可能性もあるので、使ったタイミングが課税処理のタイミングとなる。」
・ポイントの課税処理は「付与」のタイミングではなく「使用」のタイミング
【課税額】ポイントは「付与時の時価」に対して課税は行われる
(僕)「なるほど・・。では最後に。」
(僕)「アフィリエイトなどによって得られた換金可能な30万円分の雑所得のポイントを使用して、定価150万円もする国際線ファーストクラスに搭乗した場合、つまりポイントをマイルに交換して特典航空券に引き換えた場合、課税対象額はいくらになるんでしょうか。」
(I先生)「それはその人のポイントの使い方が単に上手というだけで、貰った報酬が増えた訳ではないから、元の価値(30万円)に対して課税されると考えていい。」
・課税対象のポイントは「使用時の時価」ではなく「付与時のポイント時価」で課税される
現行税法ではポイントに対する課税は基本的に考えなくていい
(I先生)「というか、なんかいろいろケースを考えてくれているようだけど、現行の税法ではポイントに対する課税は基本的に無いと考えていい。」
(僕)「・・・?!なんでですか?」
(I先生)「所得税法に基づき国税局が法人や個人事業主に提出を義務付けている、支払調書(=法定調書)という資料がある。」
(I先生)「これは支払発生事由毎に50種類以上も用意されている。この支払調書の中には、現在のポイントプログラムやマイレージの実態に即しているものがまだ存在していない。」
(僕)「その支払調書が無い、イコール、課税事由が無いということでしょうか?」
(I先生)「そう考えていいと思います。」
(I先生)「今後、ポイントをいっぱい稼いでる人に対して、世論が『不公平だ、不公正だ』という意見が多くなって、国税局がそれを問題視して税法を改正するなどの動きが限りは、ポイントに課税が行われることはないでしょう。」
(I先生)「とはいえ、マイナンバーの施策も始まったので、将来的にマイナンバーとポイントとのひも付けがなされて課税される、といった可能性もあるかもしれないですが。」
(僕)「なるほど支払調書ですか…。これが今後整備されるかが鍵なんですね。。」
(僕)「勉強になりました。いろいろ教えて頂きありがとうございます。」
・国税局が法人や個人事業主に提出を義務付けている「法定調書」に、ポイントやマイルの支払いに適合したものがない。
【まとめ】ポイントやマイルに対する課税の考え方
僕が相談した税理士様の見解としては、以下の通りのようです。
- ハピタスなどのポイントサイトで得たポイントは「値引き」や「サービス契約に内包されるもの」として課税の対象外
- ただし、アフィリエイトのような広告掲載や友達紹介プログラムで得たポイントなど「報酬」「賃金」として性質をもつポイントは雑所得となり課税の対象
- 課税対象のポイントをマイルに変えた場合でも元の付与ポイント額面で課税処理する
- 課税対象のポイントの課税タイミングは「付与」ではなく「使用」
- 現在のポイントプログラムやマイレージの課税事由に適した支払調書がまだ存在していないため、ポイントに対する税金はまだ考えなくて良い
- ただし、国税局が税法を改正して新たな支払調書を整備すれば今後ポイントやマイルは所得として課税対象となりえる。
確定申告の参考情報としてお役に立てれば幸いです。
(追記)政府がマイナンバーカードに合算へ
2017年5月7日、マイナンバーカードにマイルやポイントを合算できるサービスを政府が開始すると読売新聞より報道されました。
ポイントインフラの統合はpontaとリクルートポイントの統合トラブルにみるように非常に難易度の高いことであるため、果たして今年9月に実現するかは疑問です。
政府は9月にも、航空会社のマイルなど民間企業の各種ポイントをマイナンバー(共通番号)カードに合算できるサービスを開始する。
集約したポイントは全国の特産品や公共施設の利用料などと交換することができる。政府は新サービスを、交付枚数が伸び悩むマイナンバーカードの普及や、地域振興につなげたい考えだ。
クレジットカードや携帯電話、航空会社が発行するポイントは、年間4000億円を超すとされるが、未使用分は約3割に達するとの推計もある。新サービスにより、企業ごとだったポイントは「自治体ポイント」として合算されるため、マイナンバーカードを所管する総務省は「消費者の利便性が増してポイントの利用が進み、経済活性化の効果も期待できる」としている。
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