gucchiyの日記

仕事や生活の備忘録的に。

Hagexさんについて、僕が知っていること

今日、Hagexさんの訃報が、Twitter界隈を駆け巡りました。報道では、2018/6/24の午後8時ぐらい、ナイフで数回刺されたのだという。僕は Hagex さんと以前勤めていたベンチャースプラウトで同僚だった。彼がネットで有名人であることはそれなり知っていたのだけど、彼がイケダハヤトなり、はぁちゅうなりと言う有名人とどう渡り合ってきたか、実はあまりよく知らなかったりする。僕にとって Hagex さんはスプラウトの岡本さんだ。

朝日新聞の報道にある通り、岡本さんはとても礼儀正しく、本当に誰からも信頼される人物だった。内に秘めた(ちょっと屈折した)正義感とは裏腹に、決して自ら前に出る感じもなく、3歩下がって人のために尽くすような人だった。リアルな彼の人柄は、ネットのHagexさんを知る人からしたら、少し意外なスタイルなのではないかと思う。

訃報の届いたまさに今日、Hagexさんを偲ぶ声がそれこそ秒単位で蓄積されていく。リアルな岡本さんを知る我々は、彼がネットで行ってきた業績の偉大さを思い知ることになるのだろう。逆にネットからHagexさんを眺める人たちに、リアルな岡本さんが今どんな思いだったのか、僕が語れること、彼の生きた証左を残しておく部分もあるんじゃないかとこの文章を書いています。

僕は3年ほど前にスプラウトを辞め、IBM、アカマイ、つい今月からマイクロソフトにいる。しかし、岡本さんとは年に数回サシで呑みに行く間柄だ。岡本さんはスプラウトではとても従順な編集者をしていた。僕がいた当時のスプラウトはエンジニア主導のベンチャーなので、どちらかというと会社では脇役であり、雑務を淡々とこなしているような人だった。しかし、文系の人とも少し偉ぶっている人とも、もちろんハッカー自称するエンジニアとも会話できる、稀な人でもあった。周囲に気を配り、3歩下がって、会社に尽くしている。それが岡本さんだ。

僕はネットで活躍するHagexさんを(表面的だけど、それなりに)知っていたので、そんなに会社に尽くす必要ないよ、もっと個人でやったら良いのに、ってスプラウト在籍中から思っていた。スプラウト退職後、Hagexさんと呑んだ席で何回か、実際そう言ったと思う。実は本当に数週間前、僕は Hagexさんと呑んだ。最近、イベントを自ら主宰するようになり、Hagexで売れるようになってきたのだと鼻息荒かった。大井町のお座敷呑み屋で。そして、いよいよスプラウトを辞めるのだと言う。仲間が出来たからその人たちとビジネスを始めるのだと言っていた。いよいよ、Hagexとしてのプレゼンスが上がっていくという、まさにそんな状態にあったのだ。僕は、本当に喜んでいたんだ。僕が MS に異動したのも、最近の MS は個人が行動することを許してくれる会社と聞いたからだ。どう関わるかは何も話していなかったけど、Hagexブランドに僕も何かできるような気がしていたのだ。

そんな、HagexさんとHagexさんの周囲にあった希望は今日潰えて(ついえて)しまった。彼は本当にこれからの人だった。まさに今、穏やかな岡本さんから、ずっと先鋭されたHagexさんになる時だったのだ。その灯を踏みにじった罪は重い。