「テキーラ」にどんなイメージをお持ちですか?
多くの方が思い浮かべるのは、クラブで浮かれたパリピたちが、塩だかライムだ かと一緒にショットグラスであおって、「このまま朝まで盛り上がろうぜ、 フォー!」 みたいなシーンじゃないでしょうか? ストレートでぐいぐい飲むにはアルコール度数の高い40度前後のものが多く、一 気に酔っ払っちゃうキケンなお酒、みたいな。 だけどそれ、ほんの一面で、テキーラって本当は、もっともっと幅広い楽しみか たのできるお酒らしいんです。 今回は、専門のバーに伺い、ストレートでゆっくりじっくり味わいたい、テキー ラの奥深~い世界を学んできました。 ご存知の方にとっては物足りない、もしくはちょっと乱暴な箇所もあるかもしれ ませんが、入門編としてお読みいただければ。
1978年東京生まれ。酒場ライター、他。酒カルチャー雑誌「酒場人」監修をはじめ、いろいろとやらせてもらってます。
前の記事:「谷底の横丁「地獄谷」めぐり」 人気記事:「居酒屋業界初の「おすそ分けシステム」誕生秘話 」 テキーラ専門のバー、六本木「 AGAVE」へことの発端は、お酒の席で知り合ったひとりの男性、Sさん。
もともとは大森、地獄谷のバーでバーテンダーをやっており、今もお酒関係の仕 事をしているほどのお酒好きだそうなんですが、その方が「今、おもしろいのは テキーラですかね~。専門のバーもあって」なんて教えてくれて、がぜん興味を 持ってしまったんですよね。 「へ~、じゃあこんど連れてってくださいよ! あ~楽しみだな~」なんつっ て、せっかくだから事前に取材の約束もさせてもらい、割と軽い気持ちでやって来てしまったのが、 六本木「AGAVE(アガベ)」
六本木のバーですよ。 あ、やべ、自分、こういうとこぜんぜん慣れてない! どうしよう、急に緊張してきた……。 震える右手を左手で支え、重厚なドアを開け、細い階段を降りて行くと、 スタイリッシュな看板がお出迎え
うわ、かっこよすぎてソワソワする~。
こちとら普段は、赤は赤でも、丸っこくて「お酒」だの「おでん」だの書いてあ る、ああいうのがぶらさがってるお店しか行かないすからねぇ……。 店内は想像以上に広いです
カウンターに着席
目の前の棚にあるのは、すべてテキーラ
さて、ここまで来たらジタバタしてもしかたないですし、心を決めましょう。 今日はここでテキーラへの知識を深め、大人の男に一歩近づくぞ! 「よろしくお願いします!」
こちらの、僕が将来的にこうなりたいと願う理想の容姿、佇まいの条件をすべて 満たしている男性が、マスターの佐々木さん。
今日は直々にテキーラのことを教えていただけるそうで、なんとありがたいことか。 そもそもテキーラってどんなお酒だっけ?テキーラとは、「アガベ(竜舌蘭)」を原料に作られる蒸留酒。
アガベとは、メキシコを中心に米国南西部と中南米の熱帯域に自生する植物で、さっきの写真のカウンターの上にどーんと飾ってあったやつです。 どのように作るか? まずは、アガベの葉っぱをぜ~んぶ取っちゃいます
で、その根茎の部分「ピニャ」を「マンボステラ」というレンガの釜で、24~36 時間くらい蒸し焼きにしちゃいます
すると、甘くて繊維質の強い、ふかし芋のような状態になるので、それを
「タオナ」という石臼のような道具をロバに引かせたりしながら、搾汁していきます。
こうしてとれた甘いアガベジュースを発酵、蒸留したものがテキーラ。
もちろんこれは昔ながらの作り方で、今では各工程を機械化している蒸留所も多い。 ちなみにこのアガベ、収穫までに5年以上という長い年月のかかる植物で、メシコはハリスコ州、テキーラ市周辺の アガベ畑
は「テキーラの古い産業施設群とリュウゼツランの景観」として世界遺産に認定されていたりします。 そして、次も試験に出るポイント。 こうしてアガベから作られる蒸留酒はメキシコの特産品なわけですが、そう簡単に「テキーラ」と名乗れるわけではないんです。 実はアガベには200以上もの種類があり、「テキーラ」の原料として認められているのは「アガベ・アスール・テキラーナ・ウェーバー」というただ1種のみ。 他に産地や製法にも多くの規制があり、ではその他の種類(約50種が使われてい る)のアガベから作られた蒸留酒がなんと呼ばれているかというと、「メスカル」といいます。 お店には、もちろんメスカルの在庫もたっぷり
このメスカルについても、名乗るためにはきちんと規定があったりするわけですが、今回は入門編で、そこまで手を広げられないので割愛! テキーラはボトルがかわいいお勉強モードで頭痛がしてきた方、もしくはとっくに脱落してしまった読者の方もいらっしゃるかもしれませんが、僕自身はなんか「ティーチャーズ・ハイ」と でも呼びたいような楽しい気分になってきたので、続けます。
これだけ厳しい規制のもとに作られたテキーラなんですが、実はボトルの形には規制がないんです。
で、陽気なお国柄ゆえでしょうか、ユニークでかわいらしいボトルが多い! 一見するとボトルに見えないものも多数
日本でいうところのお盆「死者の日」を象徴するガイコツ「カラベラ」 のモ チーフは定番
佐々木さんがテキーラの世界に目覚めるきっかけとなった「PORFIDIO」のボトル は、中にサボテンの細工が
イモムシの形。作った人、運搬する人のこと考えてないでしょ!
野球のバットとボール
いや、百歩譲ってバットはわかるけど、ボール意味なくない!? と思ったら、ボールの方にもお酒が入ってるんだそうで。
なんかもう、やりすぎちゃったやつ
なんとこちらは、日本のカップ酒にヒントを得て、ショットグラスをベースに作られた商品
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