気が合う人材でも「組織のがん」に 解雇の必要性を示す3つの兆候

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リーダーという立場でつらいことのひとつは、自分が気に入っている人間を解雇せざるを得ない場合があること。これは多くの意味でつらい。

解雇される従業員は、上司であるあなたや今の職場が好きなのかもしれない。場合によっては業務外であなたと友人関係にある人かもしれないし、善良な心を持つ努力家であるかもしれない。誰かを解雇するのは容易いことではないが、それが自分の気に入っている人間ならなおさらだ。現実に向き合わず、遅きに失するまで放置してしまうリーダーも多い。

サンフランシスコで成功した建設会社を経営するウィリアム・ダフも、この問題に直面した。彼は、親しい友人から紹介された従業員を解雇した後の状況を、以下のように述べている。

「私は、戦術面・運営面での作業が上手くなかった前任者を上回る人材を探していた。何ごとも恐れない、やる気のある人を求めていた。私の友人が紹介してくれたのは、まさにそんな人材だった。私の盲点は、解決策を必要としていたということだった。

ビジネスの上で、自分が喉から手が出るほど欲しいものに対してNOと言うのは、最も難しいことのひとつだと思う。プロジェクトを進めなければならないが、リソースが足りなく、キーパーソンも必要、という状況の中で、おおむね適材な人がいれば、その人を雇いたくなるものだ。ところがそれは最悪の行動だ。

その人を雇用して3年半になるが、最初の1年半で問題のあることがわかった。聞きたくないことを聞かされているような感じだった。だから私は何もしなかった。

周囲の人々は行動で意思を示した。会社からは7人が”あの人とは一緒に働けないので辞めます”と言って去っていった。私は、辞めたやつの方にも問題があった、と都合良く考えていた。私が学んだことは、こうした(解雇の)決断を下し実行する時期を判断し、時間を無駄にすることをやめるのがリーダーにとって最も難しいことのひとつだということだ」。

この状況は誰にでも起こるものだ。大切なのは、気が進まないが検討せざるを得ないような兆候を見逃さないことだ。以下に、いくつかの明らかな兆候の例を挙げる。

業績がいまいち

データはうそをつかない。成長がみられないのなら、それは問題解決のために雇ったはずの従業員が問題を解決していないということ。原因を外部の要因のせいにするのは簡単だが、リーダーとしては最終的に結果が必要となる。その従業員が成果をあげられない理由ばかりが話題にのぼるようになったら、一歩引いてみるべきだ。

それは言い訳であり、責任感や問題解決ではない。あなたは間違った人間を雇ってしまったのだ。ジム・コリンズいわく、”これで十分”で甘んじていれば素晴らしい結果は得られない。

部下の仕事を自分が肩代わりしている

相手はあなたに仕事をふり、あなたは相手の負担を軽減している。自分でやってしまった方が手っ取り早い。最初こそは些細なことだが、最終的には、雇った従業員に任せるはずだった仕事をあなた自身がこなしてしまっている。言わずもがなだが、2人のうち一方は不要な存在だ。

部下の行動が自分の価値観を反映していない

人々にどのように行動してほしいかは、自分の価値観によって決まる。特定の人の行動が自分の価値観と相反する時、それは他の従業員や顧客に対するあなたのブランドを傷つけることになる。

ウィリアム・ダフにとって、価値観は一種のリトマス試験紙だ。彼は自分の経験を以下のように説明している。

「私が初めて問題を明確に認識したのは、とある産業サミットの時だった。講演者のキャメロン・ヘロルドが4分割した四角形を描き、 ”価値観と実績”とラベル付けした。そして私たちに、自分の従業員それぞれがグリッドのどの位置にいるかを書き込むように言った。