鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:「Snapdragon 850」は常時接続PCの本命になれるか そして「1000」のウワサも (2/2)

» 2018年06月26日 11時30分 公開
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初の4桁、「Snapdragon 1000」のウワサも

 Snapdragon 845を搭載したSamsungやXiaomiのスマートフォンが2018年春に登場し、日本国内でも夏モデルとしてようやく市場投入が始まったばかりの中、Snapdragon 850が発表されたわけだが、その対応製品の発表はまだ先になりそうだ。

 しかし、その次のSnapdragonのウワサが早くも聞こえてきた。気の早い話だが、このハイエンドSoCの名称は「Snapdragon 1000」とされており、もしこの名称が採用されれば同シリーズとしては初の4桁の製品番号となる。

 同件を報じているのはWinFuture.deで、その最大の特徴はパフォーマンスの上限を大幅に高めた点にあるようだ。もともとスマートフォンのようなモバイル端末はボディーサイズやバッテリー駆動時間の問題もあり、TDP(熱設計電力)のような熱設計にあまり余裕がない。

 そのため、プロセッサの駆動周波数を抑える工夫がなされており、これが長いバッテリー駆動時間を実現する反面、高パフォーマンスを要求するアプリの温度上昇によってすぐに処理性能が低下し、ベンチマークテスト結果を抑えてしまう状態になっている。

 PCのようなフォームファクタではスマホに比べて熱設計に幾分か余裕がある他、搭載可能なバッテリー容量も大きく、より高性能でかつ長いバッテリー駆動時間を実現しやすい。トレードオフの関係ではあるが、一般に同じSoCがあったとして、スマホよりはPCの形状の方が高性能を実現しやすいというわけだ。

 Snapdragon 1000というマーケティング名称は変更される可能性があるものの、その熱設計容量は最大12W程度を想定しており、さらにPCのフォームファクタで15W程度まで許容される見込みだと、WinFuture.deは関係者の話として報じている。

 12~15Wといえば、IntelでいえばCoreプロセッサのUシリーズ該当するカテゴリーで、ノートPCでもやや高いパフォーマンスに属するSoCとなる。ある意味で、ArmならびにSnapdragonの性能を抑えていた原因が消費電力や熱設計の問題だったわけで、このキャップが開放されることでx86プロセッサに近い性能を実現できる可能性が高い。

 ただ、それだけ消費電力が高まるということはバッテリー駆動時間なども犠牲になることを意味しており、恐らくWindows on Snapdragonにおける省電力動作というアドバンテージは失われるとみられる。

 むしろ、LTEモデムの性能というAlways Connected PCの部分が重視されると考えられるため、実際にこのカテゴリーで次世代Snapdragonが発表されたとき、どのようにマーケティングが展開されるのかに注目したい。

 またWinFuture.deによれば、あるQualcommのエンジニアがLinkedInに掲載したプロフィールに「デスクトップ、Andromeda、HoloLens向けのSDM845/SDM1000」という表記があることを発見しており、ウワサの「HoloLens 2」をはじめ、Snapdragon 1000の適用範囲は幾分か広いものとなるのかもしれない。

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