書店に行ったら面白そうなタイトルの書籍があったので、思わず衝動買いしてしまいました。面白そうだと思った理由は、私の会社にも少なからず『クラッシャー上司』がいるからです。今回は本書『クラッシャー上司 平気で部下を追い詰める人たち』の要点をまとめ、見解を述べたいと思います。
クラッシャー上司とはどんな人間?
本書では次のように定義されています。
クラッシャー上司はこのような特徴があります。
本書では4つの事例について述べていますが、本記事では破壊力が核爆弾級であるクラッシャーXの事例について紹介したいと思います。
クラッシャーX半端無いって!
本書の著者は精神科産業医としてクラッシャー上司のいる職場を15年ほど見てきましたが、ここまで強烈なクラッシャーを他に見た事がないそうです。
要約すると、このような感じです。
クラッシャーXは非常に頭が良く、仕事もかなりできる上司です。部下がなぜ失敗をし、どう弁解するかも全て分かっています。では、なぜ2時間もネチネチと説教するのでしょうか。それは、
『あいつが失敗したせいで、上からの俺への評価が下がるじゃないか』
というイライラを晴らしたいから。
このような感覚を精神分析では『幼児的全能感』と言います。
赤ちゃんが『ギャー!』と泣くと、母親が解決してくれ快適になる。つまり、
『不快な時に暴言を吐いて威圧すれば、周囲はそれに怯んで全て自分の思う通りに動いてくれて、自分は満足』
といった感覚です。
また、うつ病を発症した部下に対する暴言は、自分が『善』であり、共感性が欠如していて、部下の辛さが全く分かっていないゆえの発言です。
みなさんの周りには、こんな上司いませんか?
クラッシャーを生む日本の会社『滅私奉公は善』
私心や私情を抑えて、国家・地方公共団体・社会・世間などに対して奉仕する精神を意味する。「滅私」は自身の利益や欲求を捨てること。「奉公」は公や立場が上の者に奉仕すること。(Wikipediaより)
「会社のためには」残業をかえりみず、自分の身を滅ぼしても忠誠を尽くす事が美徳であるという考え方が蔓延していませんか?また、「黙して語らず空気を読め」といった無配慮感、「会社のために働いている者の苦労を尊重しろ」と一心同体を強要する精神構造がありませんか?この様な考え方に同調する者からクラッシャーが生まれるといいます。
こういった社風において、クラッシャーの仕事ぶりは高評価です。一方で、部下を潰すといった悩みの種でもあるので、会社としては悩ましい存在です。
従って、クラッシャー上司を生まないためには、滅私奉公を善とするような企業体質を変える必要がありそうです。
まとめ
いかかでしたか?クラッシャー上司は「滅私奉公は善」という古い会社体質から生まれます。私の会社も100年以上続く会社で、この考え方が染みついています。また、私の部署では、うつ病を発症した従業員も数名いますし、今年に入ってから既に2人退職しています。
従業員が働きやすい職場環境を作るには、会社全体で滅私奉公は善という企業体質を変える必要がありそうですね。