「貿易戦争」の打撃を見極めるエコノミスト、注目するのはこの指標
Enda Curran、Alessandro Speciale、Michelle Jamrisko-
トランプ大統領の矢継ぎ早の通商政策、世界経済に最大級の脅威
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韓国は世界貿易における炭鉱のカナリア-BIのオーリック氏
「貿易戦争」の気配が金融市場を揺さぶり企業景況感を悪化させる中、世界経済が打撃を受けている兆候が見え始めている。
米国とその主要貿易相手国である中国や欧州連合(EU)などとの間で、行動や脅しがエスカレートしており、世界の経済成長に最大級の脅威を突き付けている。この影響を見極める上で最も注目する指標をエコノミストらに尋ねた結果を以下にまとめた。
Ifo
欧州最大の経済規模を持ち世界屈指の輸出国であるドイツは、特に貿易減速の影響にさらされる。ベレンベルク銀行のチーフエコノミスト、ホルガー・シュミーディング氏は、米国などがこれまでに発表した措置に伴う貿易の伸びの落ち込みは数ポイントだろうと述べた上で、「景況感への影響が大きいだろう。このためIfoの期待指数など先行きに関する景況感指数やフランスの企業独自の生産見通しに注目している」と語った。ミュンヘンを拠点とするIfo経済研究所は同国とユーロ圏の主要な景況感指数を算出している。
韓国
製造業で世界屈指の韓国からの輸出に関する統計は、 世界の経済成長の行方を見極めたいアナリストの注目の的だ。台湾の輸出受注も注視される指標の1つ。
ブルームバーグ・エコノミクスのチーフエコノミスト、トム・オーリック氏は「アジアのエレクトロニクスサプライチェーンに流入する製品の多くの出発点である韓国は、世界貿易における炭鉱のカナリアだ」と指摘。「6月最初の20日間の輸出は既に悲惨だ。前年同期比で4.8%減少と、5月の同時期の14.8%増から一変した。月ごとのボラティリティーなのか需要の減退なのかを判断するのは難しいが、良い兆候ではない」と付け加えた。
月間ベースの統計発表は7月1日の予定。以下のチャートは中国のサイクルとの明らかな連動性が示されている。
新規輸出受注
需要を把握するには、JPモルガンの世界製造業景気指数(PMI)の新規輸出受注に注目すべきだ。HSBCホールディングスのアジア経済調査共同責任者、フレデリック・ニューマン氏は「これが最近、急低下している。他の循環的要因も働いているが、既に通商政策を巡る不確実性の高まりを反映しているのかもしれない」と指摘。中国の加工製品の輸入はアジアのサプライチェーンなどを見る上で役立つバロメーターであるため、注目していると話した。
中国
エコノミストは世界の需要を見極める重要な指標として中国貿易統計を決まって取り上げる。全体的な貿易は持ちこたえているようだが、軟化の兆しも多少ある。輸出受注に関するサブ指数は、季節的影響などの要素に影響を受けやすいが、減速を示す最初のデータの1つとなる公算が大きい。
原題:Economists are Watching These Indicators to Gauge Trade War Pain(抜粋)