(英エコノミスト誌 2018年6月23日号)
次のメキシコ大統領になりそうな人物を、世界はどの程度恐れるべきなのか。
メキシコ国民の間でこのところ意見が一致していることが2つある。
1つは、サッカーのメキシコ代表チームが6月17日にドイツから得た勝利は素晴らしかったということ。もう1つは、7月1日に行われる選挙はここ数十年で最も重要なものになるということだ。
大統領選挙で先頭を走っているのは、「Juntos haremos historia(ともに歴史を作ろう)」という名称の政治連合を率いるアンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール氏(通称AMLO=アムロ)だ。
政敵の間では、同氏がその通りのことを、悪い意味で成し遂げてしまうことが危惧されている。
これまでに大統領選に2度出馬しているロペスオブラドール氏は、汚職とは縁のなさそうな気さくな雰囲気の漂う人物で、多くの国民を魅了している。
「急進革命」を公約しており、一部にはこれを脅威と受け止める向きもある。
同氏はこれまでにも、以前の政権が採用した経済近代化の手段に反対することが時折あった。批判的な勢力からは、「ボリバル革命」でベネズエラを荒廃させたウゴ・チャベスに似ているとされる。