ここ数年、人材の採用や管理、評価、育成などにITを活用したHR Techが増えている。人事が手で入力したり、膨大なデータを直に見て判断したような作業をプログラムが代行。AI(人工知能)が人材の「評価」まで行うサービスも登場している。
ただ、人事とはもともと「人対人」のアナログな仕事だったはず。デジタルを駆使するHR Techが果たしてどこまで役に立つのか。あるいは使えすぎて人間の仕事を奪わないか。最前線を追った。
事務作業から人材の評価まで、いろいろな人事の仕事がHR Techで自動的にできるようになってきた。ただ、さすがに採用の「面接」は人対人、アナログなイメージを抱く人も少なくないのでは。だが、その面接にもHR Techが進出してきた。
パーソルグループ傘下のシングラー(東京都港区)が手掛ける「HRアナリスト」は面接官が応募者をスカウトするための戦略をアドバイスするという、一見とてもアナログに見えるサービスだ。
果たして面接においてハイテクはアナログに勝てるのか。人間の人事とスカウトでどちらが上か、つい最近まで転職活動をしていた記者が実際に「応募者」となって面接を受け、HRアナリストの実力を試してみた。
面接官として協力してもらったのは人材研究所(東京都港区)の採用コンサルタント、安藤健さん。メーカー、広告、外資系ITなど幅広い業界で長く採用業務や指導に携わり、日本ビジネス心理学会の人事心理マスターの資格も持つ「プロ面接官」だ。
ただ、HRアナリストはロボットやAI(人工知能)が直接応募者と会うわけではない。あくまで面接官に戦略を提案するだけ。安藤さん以外の面接官がHRアナリストの戦略案通りに面接しても、人間側の能力のベースが違うと厳密な比較にはならなそうだ。
そこで、安藤さんにまず記者を面接してもらう。その後、HRアナリストの立案した戦略案を読んだ安藤さんが再び記者を面接。面接官を同じにして、HRアナリストを使うと面接がどう変わるか比較した。
勝負は各15分。安藤さんがHRアナリストを使うのはこれが初めて。事前に「どちらのパターンも手加減しないで」とお願いした。
ちなみに記者は面接前にシングラー側に言われ7分ほどの簡単なWebテストを受けた。「臨時ボーナスを手にしたら何に使いますか?」といったふんわりした質問ばかり。一体何の意味があるのだろう……。
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