米ハーレー、米国外に生産移転 欧州の関税を回避

トランプ政権
自動車・機械
北米
2018/6/26 0:04
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 【ニューヨーク=中山修志】米オートバイメーカー、ハーレー・ダビッドソンは25日、欧州連合(EU)が22日に発動した米国製二輪車への追加の輸入関税を避けるため、欧州向けの生産を米国外に移すと発表した。関税によって欧州での事業が維持できなくなるからと説明している。自国の産業保護を狙ったトランプ米政権の関税政策が、米製造業の国外流出を招く事態になった。

24日、ドイツ・ハンブルクでのイベントでハーレー・ダビッドソンを操るライダー=ロイター

24日、ドイツ・ハンブルクでのイベントでハーレー・ダビッドソンを操るライダー=ロイター

 22日にEUが発動した追加関税により、EUの二輪車の輸入関税は6%から31%に上昇した。ハーレー・ダビッドソンによると、同社のオートバイ1台あたり2200ドル(約24万円)のコスト増につながるという。

 同社の売上高の16%は欧州での販売が占める。米国が導入した鉄鋼とアルミニウムの輸入関税によって原材料費も高騰しており、「関税の影響が加われば欧州の販売網を維持できない」という。

 ハーレー・ダビッドソンはオートバイの大半を米国で生産しているが、インドやブラジルなどにも生産拠点をもつ。欧州向けの生産を米国外のどこに移すのかは明らかにしていない。同社が25日に米証券取引委員会(SEC)に提出した資料には「米国外での生産拡大は我々の望むところではないが、欧州での事業を継続するための唯一の選択だ」と記載した。

 米国外に生産を移転するには9~18カ月かかる見通し。同社はこの間にかかる関税を自社負担とする方針で、2018年の残りの期間で3000万~4500万ドル、年間で約1億ドルのコスト要因になるとみている。

 EUは22日、米国による鉄鋼関税への報復として、オートバイやウイスキーなど28億ユーロ(約3600億円)の米国輸入製品に25%の追加関税を課した。貿易摩擦の影響は消費者の生活に直接関わる商品にも広がっており、企業は事業の見直しを迫られている。

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