Windows Server 2016で初めて登場した第3のインストールオプション「Nano Server」は、必要なディスクサイズ(リリース当初の展開サイズは700MB程度)、CPUやメモリリソースの消費量の少なさといった軽量性、デプロイや起動の素早さが特徴であり、IIS(インターネットインフォメーションサービス)、Hyper-V、コンテナホスト、ファイルサーバなど少数の役割をサポートしています。
対話できるローカルコンソールさえ持たないなど、地味ではありますが、物理/仮想マシンのサーバOSとして利用すれば、OSで節約した分のコンピューティングリソースを役割やアプリケーションに生かせることがアピールポイントでした。また、Windows Server 2016からサポートされた「Windowsコンテナー」環境では、軽量なベースOSイメージとして利用でき、Nano Serverがなければ巨大になったであろうWindowsコンテナーをより現実的なものとしました。
Nano Serverは、10年サポートの従来のWindows Serverとは異なり、ソフトウェアアシュアランス(SA)を持つユーザーがCurrent Channel for Business(現在のSemi-Annual Channel/半期チャネル)で利用できるもので、当初は年に複数回のバージョンがリリースされ、直近の新しい2つのバージョンだけがサポートされることになっていました。
しかし、Windows Server Semi-Annual Channel(SAC)として最初のリリースとなる2017年10月の「Windows Server, version 1709」が登場するまで、Nano Serverの次のバージョンは提供されませんでした。そしてこのとき、Nano Serverの位置付けが再定義され、年に2回(3月ごろと9月ごろ)リリースのWindows Server Semi-Annual Channel(SAC)のオプション(Server CoreまたはNano Server)として、しかも2代目以降のNano ServerはコンテナのベースOSイメージとしてのみ提供されることになりました。
Windows Server SACには、モダンライフサイクルポリシーが適用され、そのSACバージョンのリリース後、18カ月のサポートが提供されることになりました。ここまでは2017年9月の本連載第104回で説明した通りです。
本連載第104回では、初代Nano Serverのサポート期限を「2018年4月」と予想しましたが、実際はどうだったのでしょうか。Microsoftライフサイクルポリシーの「更新された2018年にサポートが終了する製品」ページの一覧によると、初代Nano Serverを指す「Windows Server 2016 Datacenter edition, Nano Server installation option」と「Windows Server 2016 Standard edition, Nano Server installation option」のサポートは、Windows 10 バージョン1607と同じ「2018年4月10日」に終了となっています。つまり、既に過ぎています。
英語ページ(URLのja-jpをen-usに置き換え)は2018年6月初めに更新されていますが、サポート終了日は変わっていません。このサポート終了日は「製品のライフサイクルの検索」ページで検索することもできます。
しかし、筆者が「製品のライフサイクルの検索」ページを検索していると、同じNano Server製品についての日付を目にしたのです。最初に検索したときは公式のサポート終了日と同じ2018年4月10日、次に検索したときは同じ検索条件にもかかわらず、2018年4月10日だったり、「2018年10月9日」だったりしました(画面1)。これは2018年6月14日のことです。翌日(15日)には、2018年10月9日の結果だけが返されるようになりました。何か、近いうちにポリシーの変更の予定があるのでしょうか。
例えば、Windows 10 バージョン1511、1607(Anniversary Update)、1709(Fall Creators Update)の3つのバージョンについては、EnterpriseおよびEducationエディションに限り、サポート終了日の後6カ月間、サービスの提供が延長されるという措置が取られています。2018年10月9日という日付は、Windows 10 バージョン1607のEnterpriseおよびEducationに対する延長措置と共通しているように思えます。Windows 10に対する延長措置については、以下のサポート情報で説明されています。Server Coreに関しては、2018年6月20日時点で何も説明されていません。
それとも何かしらのミスなのでしょうか。真相は不明ですが、サポート延長に期待するのはやめ、初代Nano Serverをこれから導入するのはよした方がよいでしょう。まだ、Nano Serverを運用環境で利用しているなら、実はサポートが延長されていることに期待しつつ、できるだけ早く確実にサポートされた環境に移行することが大事です。
ただし、物理サーバや仮想マシンは、2代目以降のNano Serverにアップグレードすることは不可能ですし、通常版のWindows Server 2016やWindows Server Semi-Annual Channelにアップグレードする方法もありません。Windows Server 2016やWindows Server Semi-Annual Channelに役割やアプリケーションを移行する形で、サポートされているOS環境に乗り換える必要があります。
公式のサポートポリシーに従うなら、現在サポートされているNano Serverは、Windows Server SACで構築したコンテナホスト環境で、SACバージョンのNano ServerのベースOSイメージ、またはベースOSイメージで作成されたアプリケーションイメージだけということになります。
なお、Windows Server 2016バージョンのコンテナホスト環境では、Windows Server 2016バージョンのServer Core(microsoft/windowsservercoreのlatestまたはltsc2016タグ)と、Nano Server(microsoft/nanoserverのlatestまたはsac2016タグ)、そしてこれらのベースOSイメージで構築されたアプリケーションを含むコンテナイメージのみがサポートされます。
Windows Server SACバージョンのコンテナホストは、ホストと同一バージョンのベースOSイメージをWindows Serverコンテナー(プロセス分離、ホストとカーネルを共有)およびHyper-Vコンテナー(ハイパーバイザー分離、ホストとカーネルを共有しない)で実行でき、過去のバージョン(SACバージョン1803の場合は、SACバージョン1709およびLTSCバージョン2016)をHyper-Vコンテナーとして実行できます(画面2)。
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