「昆虫食」に関する研究をしていますが、昆虫が世界的に大きな食のトレンドになってきているのを肌で感じています。
私の昆虫食研究のゴールのひとつは「昆虫食のふつう化」ですが、ニュース等で見る昆虫食は、センセーショナルな見出しや新規食資源的な視点によるものが多く、食材としての多様性、調理法、食べ方などについてはまだまだだと感じます。
そこで、昆虫食に関して先行している海外のクックブックを紹介します。
まず1冊目は、On Eating Insects。
On Eating Insects: Essays, Stories and Recipes
- 作者: Nordic Food Lab,Joshua Evans,Roberto Flore,Michael Bom Frøst
- 出版社/メーカー: Phaidon Press
- 発売日: 2017/05/01
- メディア: ハードカバー
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On Eating Insectsは、世界的に有名なデンマークのレストラン、ノーマ(Noma)のシェフらが立ち上げた「ノルディック・フード・ラボ(Nordic Food Lab)」によるもの。
昆虫を食べることの文化的、政治的、生態学的な意義と、テイスティングノートやラボによるレシピが、美しい写真とともに掲載されています。前半のエッセイと後半のレシピのバランスがいいです。
さらに、作りがとても美しい本です。感性に強く訴えるという点で、これまでになかった昆虫料理本でしょう。部屋に飾りたくなる本です。
次に2冊目は、Eat Grubという本。
- 作者: Shami Radia,Neil Whippey,Sebastian Holmes
- 出版社/メーカー: Frances Lincoln
- 発売日: 2016/04/07
- メディア: Kindle版
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昆虫食を販売している「Eat Grub」という会社の創設者が書いた本。
おいしそうな写真、一般の人でもすぐに作れそうなレシピの数々が載っています。実用的で家庭的な昆虫食レシピ本としておすすめです。
3冊目、The Insect Cookbook。
- 作者: Arnold van Huis,Arnold van Huis,Henk van Gurp,Marcel Dicke
- 出版社/メーカー: Columbia University Press
- 発売日: 2014/03/04
- メディア: Kindle版
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昆虫食の分野の権威、オランダ・ワーゲニンゲン大学のArnold van Huis教授とシェフらによる本。
2014年出版とちょっと古いながらも、昆虫食な基礎的な知識はしっかりおさえつつ、昆虫食の家庭への普及をメインに考えられたことがわかる料理本に仕上がっています。
最後にもう一つ、Bugs for Beginners。
最近、見つけた本。昆虫食初心者にとって、その料理の「虫っぽさ」が、昆虫アイコンでわかりやすく示されているのが特徴です。
レシピに使われている昆虫粉末等のサプライヤーのリンクが張ってあります。Kindle版、¥0。
昆虫食を浸透させるには、昆虫をその国の食文化にしっかり根ざした料理にしていくというのが一番有効なのでしょう。その点で、料理レシピの役割はとても重要です。
日本の和食といった昆虫料理本のおすすめは、なんと言ってもこの本です。