【東京】安倍晋三首相は25日の参院予算委員会で、米軍嘉手納基地所属F15戦闘機の墜落事故への対応について、「米軍に(飛行)停止を申し入れたのは、沖縄国際大に墜落事故があって以来だ」と、日本政府として飛行停止を求めたととれる答弁した。だが、防衛省は今回、飛行停止は求めておらず首相答弁と食い違いが出ている。事故への主体的な対応をアピールする狙いがあったと思われるが、答弁の正確性が問われそうだ。

(資料写真)嘉手納基地

 首相は「米軍に停止を申し入れたのは、沖国に墜落事故があって以来だ。ずっと事故があっても申し入れすら行ってこなかった。その反省の上に立って、私たちは申し入れを行っている。これは残念ながら事実だ」と述べた。

 質問した立憲民主の福山哲郎幹事長は16年の名護市安部へのオスプレイの墜落事故でも政府が飛行停止を求めたことを念頭に「事実関係が違う」と批判した。

 政府はF15の墜落事故があった11日、米側に情報提供や安全管理の徹底などは申し入れていたが、事故原因が分かっていないことなどを理由に、飛行停止までは求めていなかった。

 同日中に嘉手納基地の第18航空団が同型機の飛行停止を発表。2日後の13日に飛行再開したが、小野寺五典防衛相は「米側の判断だ」などと述べ、追認していた。

 菅義偉官房長官は25日の記者会見で、首相答弁に関し、「民主党政権時代も含めて米軍機の墜落事故や部品落下事故が発生した際に飛行停止は求めてこなかったが、安倍政権では重大な事故については飛行停止を求めている旨を述べたものだ」と説明。

 だが、17年8月のオスプレイのオーストラリア沖の墜落事故や、同12月のCH53大型輸送ヘリの普天間第二小への窓落下事故に関しては、米側に判断を委ねる「自粛」要請にとどまっている。米軍はいずれも6日で飛行を再開。政府も追認した。

 同10月の東村高江でのCH53大型輸送ヘリの炎上事故では飛行停止を求めた。