2018年6月25日 17:00
クリエイターの水口哲也氏プロデュースの音と光のパズルアクション「ルミネス」がHDリマスターされて6月26日に発売となる。対応ハードは、Nintendo Switch、プレイステーション 4、Xbox One、Steamで、価格は税別1,800円。
「ルミネス」は元々、2004年にPSPのローンチタイトルのひとつとして発売されて、好評を博したタイトルだ。このリマスターでは、PS4/Xbox One/PC版では4K解像度に対応し、Nintendo Switch版ではHD振動を活かしているのがポイントとなる。
そんな「ルミネス リマスター」の魅力を、パブリッシャーである「エンハンス」、開発を手がけるクリエイターグループ「レゾネア」の両方に所属する、本作ディレクターの石毛英一郎氏に、Nintendo Switch版での実機プレイを交えつつ教えて頂いた。プレイの感触と共にその模様をお伝えしていこう。
また、PlayStationストアとSteamストアでは発売から2週間限定でデジタルデラックスDLCが無料でバンドルされるキャンペーンが実施される。
期間:6月26日~7月9日
内容:「ルミネス リマスター」ゲーム本編に「デジタルデラックス DLC」が無料でバンドル。「デジタルデラックス DLC」に含まれるコンテンツは次の通り。
※期間終了後7月10日からは、デジタルデラックスDLCとそれぞれのアイテムは単品で販売される。
Nintendo Switch版の魅力は曲の盛り上がりに合わせて作り込んだ“HD振動”!
石毛氏:まずは、このNintendo Switch版を実際にプレイしてみてもらいましょう。すぐに今回のポイントがわかると思います。
――(プレイしながら)なるほど、Nintendo Switch版はJoy-ConのHD振動で曲のリズムを感じられるようになっているんですね。これは気持ちいいですね!
石毛氏:そうなんです。曲に合わせた振動をつけていて、楽曲が変われば振動データもそれに合わせた雰囲気に変わっていきます。曲によってリズムを刻んでいたり、メロディーやその裏を打っていたり、曲調の変化に合わせて変わったりもします。
――HD振動のデータは音のデータから作ると聞いたことがあるのですが、これもそういう作り方なのでしょうか?
石毛氏:サウンドの波形データから作るものになっていますね。他のハードの振動制御とは作り方がそもそも違っているんですよ。
――するとやはり、サウンドを担当された人がHD振動のデータを作る方がゲームにマッチするものを作れるというか、やりやすいのでしょうか?
石毛氏:ですね。実際、今回もサウンドのクリエイターが曲の音を分解して波形を抽出して、その波形でHD振動のデータを作っているんですよ。
――HD振動をつける過程では、どんなところを重視されたのでしょう?
石毛氏:「この曲の盛り上がりに対して、こういう振動をこの瞬間に与えよう」というように、曲に合わせて体感的な気持ち良さを加えようと考えているところが多いです。その時の「この波形を使ってここで振動させると良さそうじゃない?」っていうチョイスは、サウンドのクリエイターさんがやるのが早いというか、1番相性がいいですよね。
――なるほど。今プレイしているこの曲だと、リズム帯に合わせて振動していて低音のブーストっぽくもなっていますね。
石毛氏:この曲だとそういう振動のつけかたをしていますね。
――「ルミネス リマスター」の内容は、あくまでPSPでのオリジナル版を基本にしているのですよね?
石毛氏:ベースになっているのはそうなのですが、完全なオリジナルのリマスターではなくて。PSP以降のシリーズ作品でいろいろなゲームモードや要素が追加されているのですが、それをピックアップして追加し、再構成しています。なので原作よりもゲームとしての遊びごたえは上がっているんですよ。
――オリジナルをベースにしているけど、言わば“スペシャル版”みたいなものに仕上がっていると。
石毛氏:そうですね。いろんな「ルミネス」の美味しいところ取りをしたようなものになっています。
――(曲の切り替わりに入って)曲の繋ぎでHD振動が変わって来ましたね。タイムラインのバーのスクロールに合わせて一定リズムで脈打つような振動になってます。こういうのもあるんですね。
石毛氏:曲調が静かになったので、ゆったり目の振動になっていますね。こういう風に曲の盛り上がりや繋がりに合わせて、いろんなHD振動をつけているんですよ。
――曲ごとに全て独自のHD振動をつけているんですか?
石毛氏:曲ごとというだけでなく曲中の変化にも合わせて考えてつけていますね。単純にビートだけでなく、曲によってかなりメリハリをつけています。
――(次の曲に入るときのドラムの速い連打が入って)あ、今のタタタタッていう速いリズムもそこにHD振動がついてましたね! これは気持ちいい。
石毛氏:そうなんです、気分を盛り上げるためにHD振動を活用しています。これはNintendo Switch版ならではですね。他ハード版でも振動するのですが、これほど振動で豊かな表現ができているのはNintendo Switch版だけですね。
“音を全身で楽しむ”! Joy-Conは最大4セットを使って、全身でHD振動を楽しめる
石毛氏:続いてもうひとつ、新しい機能をご紹介します。実は「ルミネス リマスター」では、操作しているコントローラー以外に、別のコントローラーも振動させることができるんですよ。
――プレイステーション 2の「Rez」にあったような……?
石毛氏:まさにあれですね。「Rez」にはトランスバイブレーターという追加の振動装置がありましたけどあれに近いことができます。この機能は全プラットフォーム版で実装していますが、Nintendo Switch版ならJoy-Conを複数使ってHD振動を全身で体験するというスタイルができます。
――(追加で認識させたJoy-Conを受け取りつつ)操作するJoy-Conだけでなく複数のJoy-Conを認識させて、体につけるわけですか。
石毛氏:そうです。つける場所は自由なんですけど、振動をより感じられるように、ポケットやベルトなどでしっかり挟み込んだりするのがいいですね。水口さんはよく「足の裏に当てると足下から振動が上がってくる感じで気持ちいい」って話してます。頭とか首に当てるとより直接的だったり、マッサージっぽくなったりもしますよね。
――なるほど、この追加で振動させるコントローラーはいくつまで同時に使えるんですか?
石毛氏:8個までです。
――8個!
石毛氏:Nintendo Switch版でJoy-Conを使うというケースですが、操作しているJoy-Conが左右で2個あって、その他に最大3セットで6個を使うと合計8個になりますね。
――なるほど、Joy-Conは左右があるので、操作に使うものを含めて4セットで8個を同時に使えるということですね。
石毛氏:そうです。操作しているJoy-Con以外を例えば、腕周りに1セット、腰に1セット、足に1セット……というように、全身に着けてHD振動を感じながらプレイすることができます。
それと、操作しているコントローラーとその他のコントローラーとでは、別のパターンの振動をちゃんとつけているんですよ。よりリズムに特化していたりと、体が感じやすい音を振動で味わえるようにしています。
実際に体験してもらいましょう。ちなみにポケットとかの空洞があるところにJoy-Conを入れてしまうと中で動いちゃってあまり振動が伝わらないんです。しっかり密着するように着けると振動が伝わりやすいです。
――では、ベルトに挟み込んでしっかり密着させて、プレイ再開……おぉっこれすごいっ!!
石毛氏:初めてやるとみんな「おぉっ!」ってなるんですよ(笑)。
――想像していたよりも振動が強くて、体に響きますね!
石毛氏:まさに“体感”って言えるレベルの振動がきますよね。
――あ、確かに操作している手の振動と体の振動とでは違っていますね。手にはメロディーラインの緩やかな振動がきて、体にはリズムのズンとくる振動がきてる。
石毛氏:あとはブロックを落としたときのフィードバックとか、ブロックを動かしているときの細かな音なんかも手の方ですね。リズム寄りの振動は体の方にしています。
操作コントローラーのみでプレイすると手元で繊細な振動の変化を感じて楽しむことができますし、追加で体につけると全身でリズムを感じるという、また違う体験ができるようになっています。
――確かにこれは違った体験になってきますね。今はJoy-Conを追加で1セットだけですけど、それでもかなり振動を強く感じますし、さらに2セットを加えたら凄いことになりそうです。それにしてもこういうJoy-Conをこういう使い方をして、しかもHD振動の振動を割り振りできたりもするというのは驚きです。
石毛氏:「ルミネス リマスター」を作ろうとなったきっかけが、まさにこれなんです。Nintendo Switchというハードが出てきてHD振動というものがあって、複数のJoy-Conで振動させるっていうこともできる。そこでこのスタイルを実現してみたいとなったんです。
それと携帯性があることも大きかったですね。携帯ゲームのスタイルで「ルミネス」を遊びたいという人が多いですから。それらが全部ピッタリとハマっていて、タイミング的にもいいだろうということでリマスターの企画がまとまっていったんです。
――なるほど、この振動は「ルミネス リマスター」ならではの新しい体験ですね。
曲順がランダムになる「シャッフルモード」や、やり込みで集めるバッジコレクション、2人対戦プレイやランキングにも対応
――この他の特徴というとどんなものがあるでしょうか?
石毛氏:これまでの「ルミネス」ですと特定の決まった流れでプレイしていくものになっていたのですが、今回は曲がランダムに変わっていく「シャッフルモード」を実装しています。
眠る前に1プレイしようみたいな人が「ルミネス」を楽しんでいた人に多かったそうなのですが、そういう人たちにとっても、シャッフルされるモードがあれば次に何がくるかわからなくて新鮮かなと。
――固定された流れでプレイしていたときは、「この曲からこの曲の流れが好き」というのもありますし、その逆もありましたよね。シャッフルならそれがランダムで、組み合わせも増えますよね。
石毛氏:そうなんですよ。好きな曲の流れがきたらちょっと嬉しくなったり、意外な順番がくると新鮮だったりします。
――そうすると、原作にはなかった組み合わせでの曲の繋ぎが出てきますけど、そのあたりの処理を新たに用意しているのでしょうか?
石毛氏:曲の切り替わりの演出自体を変えています。オリジナルだと曲の再生が1回止まって静かになってから次の曲が始まっていくというものだったのですが、今回はその繋がりをシームレスにしています。どんな曲がどんな順番できても、そのシームレスな演出で繋がるようにしています。実際に見てもらいましょうか。
――(曲の切り替わり演出を見て)あ、今のですね。オリジナル版よりも速くて途切れなしに次のスキンに変わりますね。
石毛氏:タイムラインが1回流れていくスピードで、パーティクルを散らしながらスキンが切り替わって次の曲に入っていくという演出になっています。リズムが途切れず、よりスピーディーに楽しんでもらえます。
――なるほど。ちなみにオリジナルのPSP版で曲の切り替わり時間が長めにあったのは、ローディングの時間として必要だったりしたのでしょうか?
石毛氏:そうですね。読み込みの都合上、曲が1度静かな状態になったりする作りになっていたのですが、今回のハードではもっと余裕がありますので、そこをよりシームレスな演出にしています。
――この他の要素はどんなものがあるのでしょうか?
石毛氏:やり込み要素として、バッジをコレクションしていくというものを入れています。アバターをコレクションするのもここに入っていますね。バッジを獲得するにはひとつひとつプレイで条件を満たさないといけないのですが、終盤のものは結構難しい条件のものがありますね。
――スマートフォンアプリ版などで、アバターに特殊な能力のようなものがついているものもありましたが、そういった要素はあるのでしょうか?
石毛氏:今作ではオリジナル版にならってその要素は入れていないですね。アバターはコレクション要素になっています。シンプルにスマートにゲームを楽しんでもらう形にまとめています。
パーソナル&HD振動のNintendo Switch版、リッチな環境で楽しめる4K対応のPS4 / Xbox One / Steam版と、それぞれに味がある「ルミネス リマスター」
――今日はNintendo Switch版を触らせて頂きましたが、PS4版、Xbox One版、Steam版のポイントはいかがでしょうか?
石毛氏:4K解像度に対応しているので、大きなテレビで楽しむならよりリッチなグラフィックスで楽しめるものになっています。あと、先ほどもありましたが操作するコントローラー以外のコントローラーを使って体で振動を楽しむ機能も、どのプラットフォーム版でも楽しめます。
――オリジナルのPSP版の素材を4K解像度に引き上げるのは、やはり手が掛かっているのでしょうか。
石毛氏:そうですね、実際に1番時間が掛かったのはそこでした。PSP版の素材って今の解像度からすると本当に小さくて。今回はブロックの画像から何から何まで全てを新たに書き起こしています。「ルミネス」は2Dデータで、簡単に言えば絵なんです。3Dデータを4Kにするならレンダリングしなおせばなんとかなったりするのですが、2Dデータの4K化は……書くしかないんですよね(笑)。
――なるほど、印象が変わってしまわないように気を配る必要もあるでしょうし、手が掛かるところですね。
石毛氏:そうなんです。でもその甲斐あって、4Kの精細な映像を大きなテレビで見ながらプレイすると、すごく没入感があって気持ち良いですよ。ボーナスを取ったときのフワッと入ってくる光の鮮やかさとかも4Kだと印象的になります。
――パーソナルにも楽しめてHD振動が楽しいNintendo Switch版、リッチな環境で楽しむとよりすごいPS4版、Xbox One版、Steam版という感じでしょうか。ハードに合わせて個性がありますね。
石毛氏:そうですね。同じ遊び方をとっても、それぞれのプラットフォームで遊び比べてみると受ける感触が少し違ってるところもあったりして。プラットフォーム別に味のある感じに仕上がっています。
――わかりました。それでは最後にゲームファンの皆様に一言頂けますでしょうか。
石毛氏:はい。作っている身で言うのもアレなのですが、私たちも1度触るとついつい長く遊び続けてしまうぐらいで、本当に気持ちいいプレイを長く楽しめるゲームです。エンドレスモードだと、気づいたら数時間があっという間に過ぎていたなんていうこともあるぐらいで。シリーズを体験されている人も、まだ触ったことがない人も、ぜひご注目頂ければと思います。
――ありがとうございました。
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