エストニア共和国より愛をこめて

北欧に位置する人口130万ほどの小国・エストニアに暮らす大学生が、留学・観光・社会・市民生活などの話題を中心にさまざまな情報をお届けします。

hagexさん刺殺事件について


毎週日曜日の夕方はラテンダンスのレッスンに通っているのですが、レッスンの休憩中にスマートホンからネットを確認したところに、6時間の時差がある日本から飛び込んできたニュースがこちらです。

www.yomiuri.co.jphagexさんのことを初めて知ったのは、わたしが原告として争った「青林堂裁判」をめぐるウォッチ記事をhagexさんが発表した際のことです。

hagex.hatenadiary.jpこのときはhagexさんが著名なネットウォッチャーであることは知らなかったのですが、渡欧後にはてなで開いた当ブログのブックマークにhagexさんが数度コメントを寄せてくださったことがあり、「あ、あのときの方か…」と気づくことになったのでした。

容疑者とされる人物もはてなユーザーであったらしく、事件後に「はてな匿名ダイアリー」に犯行声明を発表していた可能性が報道されています。そのために株式会社はてなの責任を問う声までもが出ているようです。

www.byosoku100.com奇しくもhagexさんから最後にブコメをいただいた記事は、「はてな匿名ダイアリー」に関してのものでした。

www.from-estonia-with-love.net

わたしは記事中で、「匿名ダイアリー」のように発言者の氏素性を明かすことなくインターネット上で発言できる権利を”条件付きで”擁護しています。

わたしは「インターネット上で匿名で自由に発言できる権利」を原則として擁護する立場です。わたし自身はSNSでもブログでも実名を公開した上で発言しているので「インターネット完全実名制」になってもちっとも困ることはないのですが、世の中には実名で発言できない立場の人もいるでしょうからね。「勤務先の不正を内部告発したい公務員」や「配偶者からDVの被害を受けて困っている人」や「思春期特有の性の悩みをこっそり相談したい中高生」などのために、個人を特定されることなく発言できる場所が保障されているのはよいことだと思います。なので「はてな匿名ダイアリー」のようなサービス自体を否定しようとは考えていません。

ただし、「匿名をいいことに他人を誹謗中傷したり、いやがらせをしたり、権利を侵害したりする行為」については、インターネット事業者のみなさんには厳しく対応してもらいたいと常々思っています。

太字で強調した部分がその「条件」なわけですが、今回はネット上の嫌がらせなどといったレベルをまったく逸脱した、物理的暴力によってひとりの人間の生命を奪うという結果になってしまったわけです。

このような事件が起こってもなお「ネット上で匿名で発言できる権利は保障されるべきだ」とわたしは考えるのですが、もちろんそれは「無制限に」「発言者が責任を負うことなく」というわけではありません。

はてなユーザー登録も、現在のところ(有料サービスの利用がないのであれば)氏名・住所などの登録は必須ではなかったはずですが、これらを義務化するなどの対策はされてもいいのではないでしょうか。また、プロバイダも情報開示請求のハードルをもっと低くし、問題あるインターネットユーザーには被害者が容易に訴訟を起こせる環境を整備するための法改正なども議論されていいと思うのですが、いかがでしょう。

わたし自身はhagexさんにとってはネット上にあまた存在するウォッチネタのひとりに過ぎなかったと思いますが、それでもわずかながら接点のあった者として今回の件は大変に残念に思います。お悔やみ申し上げます。