秋田県では、新年早々から本州型・早期群の回帰が始まりました。
雄物川では1月3日に2本、5日までに4本確認され、米代川でも同時期から始まったもようです。 http://www.cna.ne.jp/~chu/
本州型・早期群は、一般に旧盆過ぎからの高成長で銀毛化を始め、10月下旬~11月上旬に降海する群れです。最も早い10月20日の降海と仮定しても、正月早々だと2.5ヶ月の海洋生活期間しかないため、全長56cm程での回帰が限界です。
※ 19cm+14cm/月×2.5月=尾叉長54cm(全長約56cm)
現実には全長60cm(尾叉長58cm)程で回帰しているようですから、もう少し早い時期の降海でなければ成り立ちません。一昨年秋に西湖へ放流された北海道上川町生産のヤマメでは、10月21日の段階で早期群全てが後期スモルトに達しており、高緯度に伴う紫外線量や水温の影響により、幾分早めの銀毛となるようです。
そこで、成長計算と河川の条件が上手くマッチする日を探したところ、10月13日降海が妥当であろうと推察されました。13日は、ある程度まとまった降雨によって、中下流域でも65cmの増水があり、河川水温は16.5℃から翌日には15.5℃まで降下しています。
※ 18.5cm+14.37cm/月×2.73月=尾叉長57.7cm(全長約60cm)
同時期の沿岸水温は22℃と高かったのですが、日本海側は潮汐が極端に小さく、海岸沿いに河川系水が残る特徴などからみて、増水した河口の海水温は18℃程度にまで下がっていたと思われます(潮汐が大きい太平洋側では考えられないが・・・)。
写真は1月5日に釣れた個体ですが、本州型の特徴である身体の柔らかさや、尾鰭の透明感などが見て取れます。
尾鰭の赤色矢印は、真夏の停滞・降海・冬至の各痕跡を示しています。降海~冬至間(薄い灰色部分)が際だって広いですね!
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| [103] 湖沼型にも劣る北海道型の成長? Name:伊藤 | | | 2008/01/08(火) 13:02 |
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北海道型は、北陸や東北南部で3月下旬~4月(少ない)、東北北部や北海道南部は4~5月を主体に、オホーツク沿岸で6~7月に、10~15cmの小さなスモルトで降海するようです。
写真は、一昨年・年末に枝幸漁港(オホーツク沿岸)へ接岸した、典型的な北海道型のサクラマス(クチグロと呼ばれる)です。全長40cm弱~45cmが多数を占め、稀に50cm級が混ざっているようです。大きな個体は、降海時期が早い本州に回帰するものと思われますが、極めて少数派である事に注意が必要です。また、地元オホーツク沿岸の河川に回帰する群れは、平均サイズが40~45cmしかありませんので、この群れには含まれていないようです。
一昨年10月下旬に西湖へ放流したヤマメでも、昨年6月下旬に全長18cm級の銀毛が8尾釣られ、最も遅い群れは道央並みの銀毛時期(5月末前後降海)だったようです。この群れの成長パターンを解析しますと、小さすぎるパーはなかなか成長できませんが、一度後期スモルトに達したなら月間4cmほどの高成長を示し、年末には全長45cm近くまで達しています。
5年前の秋に芦ノ湖へ放流されたヤマメでも、西湖と同じような成長速度を示し、3年前の大型2+魚ラッシュへと繋がりました。
屈斜路湖や洞爺湖、十和田湖・銀山湖・奥多摩湖などで稀に見られる巨大なサクラマスも、早い時期に銀毛となった高成長の2+魚に相違ありません。
しかしながら、なぜ、水温やエサの条件が良いところを回遊しているはずの北海道型が、はるかに条件の悪い湖沼にも劣るのか、不思議でなりません・・・
オホーツク海までの大回遊で、エネルギーを無駄に使ってしまうのでしょうか?
尾鰭:秋田の本州型・早期群より透明感が少なく、西湖の湖沼型・越年魚とよく似ています。
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| [104] 相模川で最も早い50cm級の回帰は? Name:伊藤 | | | 2008/01/09(水) 18:20 |
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写真は、平成17年2月17日の夕刻、平塚市営住宅下でスズキ狙いの方が混獲された、全長50cm級の細身のサクラマスです。
写真の尾鰭をよく見ると、先端から3分の1ほどに透明感があり、放流後の高成長を示しています。放流時や降海時のサイズも、かなり大きかったと分かります。また、上葉の外縁(放流前の範囲)が寸詰まりとなっているため、養殖池で真菌に冒されているようです。
第2回目から、2月中旬頃に50cm級の回帰があるとは聞き及んでおりましたが、現物写真を見るのはこの個体が初めてでした。
この時期に回帰があるか否かは、寒川堰下・小段差の左岸流れ出し(沈みテトラを撤去した場所の強い流れが弱まる辺り)で、大潮の満潮時に遡上時の予備ジャンプが起こるか否かで判定します。
時間の許す方は、2月後半の大潮持に是非ご覧になって下さい!
本掲示板に書き込み戴ければ、解禁に向けて皆さんのモチベーションも高まります。
※ 予備ジャンプ:段差を越える直前に空中から遡上ルートを確認する行為。
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| [105] 3月から回帰する60cm級は? Name:伊藤 | | | 2008/01/10(木) 12:28 |
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放流魚の写真(NO75・77)に見られる中期スモルトですが、11月18日放流の段階で10%程度含まれていました。体型などは殆ど完成の域に達していましたので、降海するまでにさほど長い時間は掛からないでしょう。
平均的な降海を11月30日、降海・回帰尾叉長をそれぞれ18.5cm・57.5cmと仮定すれば、海洋生活期間は以下のように算出されます。
(57.5-18.5cm)÷12cm/月×30日=約98日
したがって、全長60cm級の個体は3月8日前後からの回帰となります。
放流時に前期スモルトだった一部が、同じようなサイズで12月10日頃に降海したとすれば、海洋生活期間は以下のように算出されます。
(57.5-18.5cm)÷11.5cm/月×30日=約102日
したがって、全長60cm級の個体は3月22日前後からの回帰となります。
写真は平成18年3月19日、西湘海岸の渚から釣獲された豊満な60cm級ですが、体重は3.5kg以上ありそうです。尾鰭下葉は夏の停滞期がささくれ上下バランスも崩れているため、秋の放流を示しています。
鱗が締まり間もなく回帰しそうですが、106の個体と同じく、西からの回帰途上と思われます。
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| [106] 4月に回帰する60cm級は? Name:伊藤 | | | 2008/01/10(木) 17:43 |
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12月中旬に押さえられていた活性も「冬至」を境に一変し、年末年始に降海する個体が多くなります。放流後初となる12月29日未明のまとまった降雨も、効果的に作用したと思われます。
12月25日に尾叉長18.5cmで降海し、同57.5cmでの回帰と仮定すれば、海洋生活期間は以下のように算出されます。
(57.5-18.5cm)÷10.5cm/月×30日=約112日
したがって、年末年始に降海した群れの全長60cm級は、4月中旬からの回帰となります。
このようにして、12月10日前後に降海した個体の多くは3月下旬~4月前半に、放流時に前期スモルトだった個体の多くも4月後半に回帰しますので、相模川では4月の回帰が最も多いと言えます!
写真は平成18年4月13日、三重県尾鷲の定置網で初漁獲された、全長62cm体重3.7kgの成長途上のサクラマスです。エラ蓋に見られる過半に及ぶ欠損は、幼魚期に飼育池でエラ病に冒された証拠です。
同年冬の相模灘~熊野灘は左巻きの冷水塊が卓越し、サクラマスの回遊範囲も例年以上に西へと拡大したようです。
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| [107] 5月中旬までに回帰する60cm級は? Name:伊藤 | | | 2008/01/16(水) 12:42 |
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冬至を過ぎた頃から活性を高め降海する後期群ですが、最も遅い個体では1月10日前後の降海となるようです。
1月10日に尾叉長18cmで降海し、同60cmでの回帰と仮定すれば、海洋生活期間は以下のように算出されます。
(60-18cm)÷10cm/月×30日=約126日
したがって、全長62~63cmの後期群は、5月中旬頃までに回帰を終える事となります。
写真は平成12年5月12日、伊豆半島の河津定置で漁獲された、全長61cm体重3.3kgのサクラマスです。アンバランスな尾鰭上下葉や鱗の再生サイズから、明らかな秋放流個体です。
鱗の締まり具合などから、駿河湾方面から回帰途上の個体と思われます。
この後も数本の漁獲情報が得られたものの、残念ながら入手には至りませんでした。同年冬の相模湾は西向きの流れが卓越し、駿河湾方面に流されやすい状況でした。
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| [108] 5月下旬以降に回帰する60cm級は? Name:伊藤 | | | 2008/01/16(水) 12:52 |
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放流サイズが尾叉長10cmに満たない個体の場合、銀毛化を始める時期が遅れるため、降海時期も自ずと遅れる事となります。
また、一昨年のように強く長い寒波が年末年始に訪れた場合、雪が多い地方では低水温続きで活性は高まらず、降海時期も大幅に遅れてしまうようです。
後期群よりやや遅く、1月15日に尾叉長18cmで降海し、同60cmでの回帰と仮定すれば、海洋生活期間は以下のように算出されます。
(60-18cm)÷9.75cm/月×30日=約130日
したがって、1月中旬以降に降海する晩期群の場合、全長62~63cmの個体は、5月下旬以降の回帰となります。
選別や飼育池の具合などから、尾叉長7~8cmが多く含まれていた数年前まで、伊豆半島東岸を経て回帰する群れは、5月から6月一杯まで漁獲されていました。平塚の定置網における漁獲も7月初めの例までありました。
また、年末年始の強い寒波が影響した、一昨年の三陸北部・安家川では、晩期群の回帰は8月中旬にまで及びました。
写真は平成17年5月23日、相模湾東にある大楠漁港に水揚げされた全長60cmUPのサクラマスです。尾鰭の上下葉はアンバランスで、秋の放流痕跡も明瞭です。
この年同所では、この時期までに数本のサクラマスが水揚げされていました。同年冬の相模湾は東向きの流れが卓越し、東京湾口から房総方面に流されやすい状況でした。
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| [109] 関東・東海海域漁海況速報/広域 Name:伊藤 | | | 2008/01/16(水) 12:54 |
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最近まで気付きませんでしたが、昨年2月より「関東・東海海域漁海況速報/広域」なる情報が発信されています。海岸付近までの水温がシビアに色分けで表現され、サクラマスの降海・回遊推定にはもってこいのデータです。
http://www.agri.pref.kanagawa.jp/suisoken/kaikyozu/KantoTokai.asp
今年の冬は熊野灘は東向きに、相模灘は西向きに流れ、御前崎付近から沖に向かって冷水が離岸しているようです(一般的な形なのかな?)。
相模湾から西に流されたサクラマス幼魚や、熊野灘から東に流されたサツキマス幼魚は、その付近でイワシを追いかける事になりそうです!
もっとも、活性が極めて低いジャック候補には、到底無理な回遊です・・・笑
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| [112] 赤川における本州型・早期群の回帰 Name:伊藤 | | | 2008/01/23(水) 12:30 |
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山形県の赤川でも1月16日に第1号が釣られました。
平成12年から調べ始めましたが、各年の第1号は以下のようになっています。
平成12年・・・1月15日・・・早期群
13年・・・2月21日・・・前期群
14年・・・2月15日・・・前期群
15年・・・1月18日・・・早期群
16年・・・1月18日・・・早期群
17年・・・1月16日・・・早期群
18年・・・1月20日・・・早期群
19年・・・1月19日・・・早期群
20年・・・1月16日・・・早期群
平成13年と14年を除き、10月末前後に降海し1月後半から回帰する、標準的な早期群となっておりますが、年によるずれは最大5日しかありませんでした。
赤川における回帰の始まりは、米代川や雄物川より2週前後遅く、2月1日解禁の九頭竜川も同じようになっているようです。
地図をご覧のように、赤川の地理的条件は雄物川や米代川に近いはずですが、一体どうなっているのでしょう?
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| [121] 期待通りの九頭竜・解禁 Name:伊藤 | | | 2008/02/01(金) 19:01 |
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九頭竜川では本州型サクラマスを増殖するため、昨年11月に4万尾もの幼魚を放流し、今年の大量回帰に大きな期待が寄せられていました。
昨年放流の内訳は以下の通りです。
A, 4月29日 アンリミ 上流よりの右岸 稚魚 数g 約1.0万尾
B, 11月 1日 漁 協 中間地点 左岸 平均20g 約2.2万尾 銀毛途中多数
C, 11月 3日 アンリミ 上流限界 右岸 平均12g 約1.0万尾 殆ど小型パー
D, 11月17日 アンリミ 上流よりの右岸 平均17g 約1.0万尾 銀毛途中多数
この中で、2月1日までに60cm前後で回帰可能な群れは、A群とB群だけになります。
但し、A群は小さいサイズの春放流で、大型魚や鳥類による被食、夏の高水温などにより、低い生残率になると考えられます。
本日2月1日、期待された通り7本のサクラマスが水揚げされました。
① 08:00 下流よりの左岸 全長58.9cm 体重2.4kg B群
② 09:00 中間地点 左岸 全長58.5cm 体重2.0kg B群
③ 09:50 下流よりの左岸 全長63.2cm 体重2.7kg B群
④ 12:20 下流よりの右岸 全長65.8cm 体重3.2kg A群
⑤ 13:00 中間地点 左岸 全長61.5cm 体重2.6kg B群
⑥ 16:20 下流よりの右岸 全長53.0cm リリースにより不明
⑦ 16:50 下流よりの左岸 全長62.3cm 体重2.5kg B群
鰭の輪郭に残された放流痕跡(曲がり)により、A群1尾・B群5尾・不明1尾と判定されます。
面白い事に、A群と不明の2尾は右岸でしたが、B群の5尾は何れも左岸で釣られ、放流地点と綺麗に一致しています。
写真は④の個体の尾鰭拡大ですが、赤点で示した小さい部分(稚魚放流時)の輪郭が曲がっており、それより先端にかけては綺麗に伸びています。
リリースを除く他の5個体は、尾鰭輪郭の中間付近に曲がりや凹みがあり、秋の幼魚放流と判定されます。
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| [125] 脅威の赤川・早期群 Name:伊藤 | | | 2008/02/12(火) 18:01 |
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1月後半はポツポツ程度の赤川でしたが、2月に入ると状況は一変し、11日までの累計で三十数本まで釣果を伸ばしています。昨年の赤川に、何かがあったのでしょうか・・・?
① 昨年3月01日~ 大鳥川支川の「芋川」が数年間の禁漁に入りました。
② 昨年8月22日 50cmの水位が210cmまで160cm増水しました。
サクラマスを繁殖させる上で、赤川水系最高と目される「芋川」ですから、例年と比較し多くの幼魚が夏を越していたと思われます。
8月20日頃は幼魚の活性が高まる時期で、秋型スモルトの先駆けとなる「早期群」が銀毛化を始めます。この時期にタイミング良く増水が起こったため、幼魚の一部は大川へと下り、スムーズな銀毛化を達成したのでしょう。
「芋川」の資源量は定かでありませんが、「早期群」の回帰状況を見る限り、例年の回帰数にかなりの上乗せがあるでしょうか・・・?
「本州型」の実験を行っている某河川も含め、山形県の河川から目が離せませんね~!
※ 2月15日:昨年暖冬で稚魚の成長良く、銀毛化が前倒しになったって事のようです。
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| [127] 間もなく始まる前期群の回帰 Name:伊藤 | | | 2008/02/16(土) 12:23 |
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秋分直後から銀毛化を始め、11月下旬から12月上旬に降海する前期群の回帰が間もなく始まります。2月後半の大潮前後には、まとまった回帰が見込めそうです。
1,赤川以北 早期群の回帰状況から前期群の供給量も十分で、後は天候次第です。
2,九頭竜川 前期群以降は十分な供給量がありますので、後は河川流量次第です。
・11月1日放流群からは多くの前期群が回帰します。
・11月17日放流群は50cmクラスの前期群から順次始まります。
・11月3日放流群からの回帰は3月以降でしょう(遅い前期群~)。
3,相模川 原則として遅い前期群からの回帰となります。
・50cm級の回帰がそろそろ始まり、本格的には3月からとなります。
なーんて書いてたら、早速九頭竜川の前期群が回帰を始めた模様です。
引き続き大きな群れが回帰してくれば良いですね~!
全長58.3cm(推定尾叉長55cm)体重1.8kg 感潮域のフレッシュ個体
【尾鰭写真】
放流から降海までの成長期間があり、降海から回帰までの間に冬至の痕跡があります。
即ち11月1日に放流した群れの中から、早めの前期群で降海した個体と分かります。
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