アラビアの女王 愛と宿命の日々は、ガードルードという女性が危険を覚悟で砂漠の道を進み続けて、イラクとヨルダンの国境線を引く事になります。彼女は砂漠の民から『砂漠の女王』とまで呼ばれるようになって、その彼女の愛と業績にスポットを当てたストーリーが展開されていくので、詳しく紹介しましょう。
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『アラビアの女王 愛と宿命の日々』のキャスト
アメリカ合衆国の歴史映画『アラビアの女王 愛と宿命の日々』は、2017年1月21日に日本で上映されました。DVDの収録時間は128分になります。
監督&脚本
中東の歴史を大きく変える事になる女性の伝記映画でもある『アラビアの女王 愛と宿命の日々』を製作したのが、ヴェルナー・ヘルツォーク監督です。
- 監督:ヴェルナー・ヘルツォーク
- 脚本:ヴェルナー・ヘルツォーク
登場人物と役者
女性でも危険をかえりず、砂漠の道を歩み続ける映画『アラビアの女王 愛と宿命の日々』に登場する人物や役者は、以下の通りです。
- ガートルード・ベル/中東に赴く女性(演:ニコール・キッドマン)
- ヒュー・ベル/ガートルードの父(演:デヴィッド・コールダー)
- フローレンス・ベル/ガートルードの継母(演:ジェニー・アガター)
- フランク・ラセルズ/ガートルードの伯父(演:マーク・ルイス・ジョーンズ)
- ラセルズ夫人/ガートルードの伯母(演:ベス・ゴダード)
- ヘンリー・カドガン/ガードルードが愛する男(演:ジェームズ・フランコ)
- トーマス・エドワード・ロレンス/ガドガンを愛する女性(演:ロバート・パティンソン)
- ファトゥーフ/ガートルードの従者(演:ジェイ・アブド)
- ウィンストン・チャーチル/英国の首相(演:クリストファー・フルフォード)
『アラビアの女王 愛と宿命の日々』のストーリー
1914年にカイロで、英国の要人たちが中東をどうするべきか重要な会議を行なっていました。戦勝国で植民地を分割しようとしていましたが、イギリスは1000年もの間、混乱が続いたレバノンや、数多くの宗派がいるシリアに頭を痛めていました。そこで、ある女性の力を必要としていました。それが砂漠の女王ガードルードだったのです。
外国にロマンを求めたガードルード(起)
カイロで重要な会議が行われる日より12年前、ガードルードは英国(イギリス)で、あるパーティーに出席する事にします。それは親が望むもので、断りきれないものでした。しかし、パーティーで一緒に踊る男は、全くロマンのない誘いの言葉をかけて、近くにある納屋へ一緒に来ないかと誘う有様。
ガードルードは、手っ取り早く深い関係に落ちようとする男に嫌悪感を抱いて、踊り終えます。パーティーを終えた後に、ガードルードは「どこでも良いから、英国を出たい」と懇願しました。それを聞いた親は、仕方なく「テヘランはどうだね?大使館だ」と言って、ガードルードはテヘランの英国大使館へ赴きます。
テヘランで結ばれた愛(承)
ガードルードは、テヘランで、ヘンリーやロレンスと出会います。ヘンリーは外交官に過ぎない男でしたが、文学に精通していて、次第にガードルードは彼に惹かれていきます。しかし、ロレンスはヘンリーを愛していたので、ガードルードは板挟みに悩まされていくのです。
しかし、ガードルードは、ヘンリーから花が咲き乱れる所へ誘われて「ここは鳥の声がよく聞こえて好きな場所です」と話しかけられます。さらに2人は、沈黙の塔にも行き、そこで大きなイヌワシと遭遇して、そのドキドキ感を共有します。
ロレンスは、2人の愛が深まっていくのを察知して、嘆き悲しみます。それに父がうんざりとした感じで「泣けば小便が減る」というデリカシーの欠けた言葉を投げかけたら、ロレンスは泣きながら走り去っていきます。それに母はキッと睨んで、何というデリカシーのない夫だと嫌悪感を抱くのです。
ヘンリーの悲劇(転)
ヘンリーはやがて、ガードルードにプロポーズをしますが、緊張してひざまづくのを忘れていて、ガードルードはそれを笑いながら指摘します。ヘンリーは「しまった」と笑いますが、ガードールードは「Yes」とプロポーズを受け入れます。所が、ガードルードの父は、結婚に反対をして、彼らは引き離される事になりました。
そして、ヘンリーは人生を絶望したのか?高い岩山から身を投げ出して、遺品だけがガードルードに届けられます。ガードルードは「これは事故ではない」と嘆き悲しみ、やがて砂漠の大地と民を深く知ろうと旅に出てゆきます。英国は、中東に手を伸ばそうとしていたので、彼らを刺激しかねないガードルードを警戒します。
しかし、ガードルードは、英国の要人たちの警告を無視して危険な旅へ出かけていくのです。途中で中尉がガードルードを捕まえようとしますが、召使の機転によって、オスマン帝国の許可書を見せて通行していきます。しかし、これは偽造された物で、ガードルードは召使の機転に思わず微笑みました。
多くの部族と渡り合う砂漠の女王(結)
ガードルードは、それから馬では渡る事が難しい道まで旅に出かける必要があったので、馬からラクダに乗り換えます。その道のりは極めて困難で、水のない砂漠や、砂漠とは思えないほどの川が流れる秘境の地までありました。
そんな男勝りなガードルードに恋する男は多くいて、そのうちの1人がリチャードでした。リチャードは既婚者でしたが、ガードルードを愛していて、惜しみなく彼女の旅を支援していきます。しかし、妻との関係に悩んでいたリチャードもまた帰らぬ人となりました。
再び絶望するガードルードでしたが、強靭な精神力で立ち直り、今まで多くの部族と渡り歩いてきた名声や経験を生かして、イラクとヨルダンの国境を引こうとします。それから、ベドウィン族から「異邦人で唯一の理解者」とまで言われるようになりますが、中東に真の平和が訪れる日はいつなのでしょうか?
『アラビアの女王 愛と宿命の日々』の豆知識
中東の歴史に大きく関わるガードルードの一生を描いた映画『アラビアの女王 愛と宿命の日々』に関連する豆知識を紹介するので、良かったら、ご覧になってみて下さい。
イラクの建国
ガードルードは、英国とイラクの友好関係を保ちつつ、イラクの建国に大きく関わるようになります。おそらくガードルードは、英国が植民地の支配を続けられる事は不可能と見破っていたのかもしれません。
この映画でも、ガードルードは「英国は植民地から撤退する」と予想していました。実際に植民地政策は、多額の出費と、多くの兵士たちの流血を招いただけで、大国は植民地から撤退します。あえて残ったものと言えば、植民地では大国の言語を用いた事ぐらいではないでしょうか?
確かに、今でも英国の影響を受けた国々は多く残っているので、そこまで単純な話ではないかもしれませんが、植民地から撤退したのは紛れもない事実です。それを考えたら、先進国の企業が外国にまで経済的に進出しているのは、植民地政策と同じように、結果的に何も残らないような気がしてならないのです。
中東の混乱
イラクは建国されましたが、その後にイラクではサダム・フセインという指導者が登場します。フセインは少数民族を弾圧するという罪を犯しますが、その後はイラクを近代国家にするべく邁進していきます。そのため、多くのイラク国民はフセインを支持しました。
しかし、アメリカ合衆国が石油の利権や、一部の過激なイスラム教徒を叩こうとして、イラク戦争に踏み切ります。フセインは倒れましたが、それはイラクの混乱を招き、アメリカ合衆国は多額の戦費と兵士の流血を招きました。なぜなら、フセインは必要悪という存在で、彼がいたのでイラクが一つにまとまっていたからです。
『アラビアの女王 愛と宿命の日々』の感想
中東の歴史を大きく変えたガード・ルードが登場する映画『アラビアの女王 愛と宿命の日々』を見た感想を紹介するので、参考にしてみて下さい。
『アラビアの女王 愛と宿命の日々』の残念な所
砂漠の女王と呼ばれたガードルードが、イラクの国境を引く映画という事もあって、中東の歴史を知る事ができるとワクワクして見てみたら、ガードルードの恋愛に重点を置いた映画でした。
実際に、ガードルードはヘンリーと出会う事によって、花が咲き乱れる世界で、美しい花々と芳しい香りの中で、美しい愛を育んでいきます。そのため、この映画は、男性目線の歴史映画よりも、女性目線の歴史映画と言えますね。
『アラビアの女王 愛と宿命の日々』の見所
男性目線から見たら、すごく退屈な歴史映画でした。大国同士の駆け引きや、実際に国境線を引いていく肝心の部分がかなり省略されていました。それでも、女性目線で見れば、勇敢に旅をしていき、中東の歴史を変えたガードルードの一生には勇気付けられるものがあるでしょう。