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[意見]「NPO」「ボランティア」商標登録取り消しについて

 5月18日及び19日の新聞において、株式会社角川ホールディングスが所有する登録商標「NPO」と「ボランティア」の登録を取り消す旨の決定が出た、と報じられました。

 商標は、商品やサービスを区別するための目印です。「クラウン」という商標について考えても、自動車、辞書、チョコレート、ライター等、それぞれ異なる商標権者が登録商標を所有しています。今回の「NPO」と「ボランティア」の指定商品は「雑誌、新聞」です。したがって、「雑誌」や「新聞」を区別するための商標、つまり雑誌や新聞の題号に関する権利です。

 これらの商標が登録されたことにより、「NPO」や「ボランティア」という言葉そのものについて広く独占権が与えられたように誤解されたり、或いは、雑誌の内容を示すために「NPO特集」と表示したり、書籍(単行本)の題号、ポスター、パンフレット、記事等に「NPO」や「ボランティア」の文字が使えなくなるといった誤解が生じていますが、そうではありません。「週刊○○」「○○新聞」と同じように、雑誌や新聞の題号の問題であり、相撲を内容とする雑誌名を「相撲」とすることと何等変わりはありません。

 この問題は、2年前、大阪のNPO団体が「NPOジャーナル」を商標登録しようとした際、これらの商標が登録されているのを発見したことに端を発するようです。その「NPOジャーナル」は未だ登録されていませんが、角川ホールディングス社の「NPO」に類似すると判断されたからではありません。

 また、新聞、雑誌以外の商品やサービスについて、「NPO」や「ボランティア」からなる登録商標が存在していますし、「雑誌、新聞」についても、各NPO団体が所有する「NPO」を含む登録商標も存在します。

 今後、この決定に対して角川ホールディングス社が出訴するか否かを見守る必要がありますが、今回の決定は、これまでの考え方と異なる面もあるため、商標委員会においても決定書の内容を詳細に検討し、議論していきたいと考えております。

商標委員会副委員長 古関 宏
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