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「僕みたいなトンガリ育てる」 永守氏が大学に託す夢 京都学園の永守重信理事長に聞く(下)

2018/6/24

学校法人京都学園の理事長として、大学改革を進める日本電産の永守重信会長兼CEO

 日本電産の永守重信会長が改革の旗を振る京都学園大学(京都市)。2019年度から名前を「京都先端科学大学」に変えるとともに、工学部の新設構想や留学生の全寮制導入など、急ピッチで変身をめざしている。成功のカギを握るのが日本電産グループの全面的なバックアップだ。これまでにない産学連携の形に注目が集まる。(前回の記事は「大学改革も永守流 『京都学園大は10年で私学トップ』」

■インターンシップ、日本電産の海外拠点で

 「まず英語教育に力を入れる」。永守氏がモーターエンジニアの育成と並んで重視するのが、英語を話せる人材の育成だ。中学、高校、大学で学んでいるにもかかわらず、それだけでは世界と渡り合う英語力は身に付かないのが実情で、ビジネス上も大きなハンディとなっている。それを一番肌で感じているのが、グローバル企業である日本電産グループのトップである永守氏自身だ。

 英語力不足の原因は「読み書き偏重の英語教育」と見る永守氏は、聞く・話すを授業の中心に据える方針だ。卒業までに英語能力テストの「TOEIC」で一定の点数をとることを義務付け、それに達しない学生は「卒業させない」とまで言い切る。

 また、留学生の比率をできるだけ早い時期に50%に引き上げることも検討している。目標を早期に実現するため、米ハーバード大学や米マサチューセッツ工科大学(MIT)、英ケンブリッジ大学など欧米のトップレベルの大学で留学生の募集を担当してきた日本人スタッフを新たに採用し、質の高い留学生を確保していく。留学生比率の引き上げは、ブランドイメージを上げるために掲げた目標である「世界大学ランキング199位入り」にも直接かかわってくるだけに力が入る。

 近い将来、留学生の全寮制も導入する。経済的に余裕のない留学生を支援すると同時に、寮での共同生活を通じて日本人学生が英語に触れる機会を増やすのが目的だ。

 日本電産グループの資源もフルに動員する考えだ。その一つが、導入を検討している海外でのインターンシップだ。世界43カ国に散らばる日本電産グループの拠点の中から、学生に好きな場所を選ばせ、そこで実務を経験させる。インターンの実績は卒業に必要な単位にも組み入れる方針だ。

■教授陣、実務経験を重視 即戦力育てる 

 教員として日本電産の役員やエンジニアを送り込むことも決めている。すでに財務担当役員の経験者が、経済経営学部の教授に就任することなどが内定しており、「日本電産グループの総力を挙げて取り組む」(永守氏)構えだ。

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