2018年06月24日
総務省の家計消費状況調査では、個人消費動向の的確な把握のために、ICT関連の消費やインターネットを利用した購入状況、購入頻度が少ない高額商品・サービスの消費等の調査を行っている。この調査を見ると、各セグメントごとの支出傾向を知ることができる。
まずは世帯収入階級別の月額支出金額を見てみよう。各々の階級別において支出割合が大きい項目を赤く表示している(絶対額ではない点に注意)。一番下に支出合計を記載している。世帯収入が大きくなるに従って月額支出額も順当に大きくなるようだ。
目立つのは「スマートフォンなどの通信・通話使用料」である。200万未満の世帯で16.6%の4,845円、年収400-500万の世帯で15.6%の11,651円、500-600万の世帯で13,954円と低~中所得世帯で軒並み15%程度が通信費に支出されている。続く項目の「インターネット接続料」、「スマートフォンの本体費」を含めた、月額平均15,000円ほどの通信費は携帯電話の普及前には格段に小さかった支出項目である。なお、「総世帯のうち勤労者世帯」に限ると、「スマートフォンなどの通信・通話使用料」に対する負担は絶対額・割合ともに増加し、低~中所得世帯で軒並み20%を超える水準になっている。
次に目立つのは「自動車(新車)」の支出である。年収600-800万あたりの世帯において高い支出割合となっているが、「自動車(中古車)」支出と見比べると、1250万付近の世帯が中古車ではなく新車を購入しがちであることがわかる。もっとも2000万超の世帯はほぼ新車の一択ではあるが。
また、「総世帯のうち勤労者世帯」に限ってみると、年収300-400万の世帯が「自動車(新車)」ならびに「自動車(中古車)」に対する支出が両隣のセグメントに比べて突出していることが分かる。生活や仕事のために車が必要な世帯がこのセグメントなのだろう。
なお、自動車の維持のためには、「自動車保険料(自賠責・任意)」、「自動車整備費」も必要となることから負担額は大きく(月額平均20,000円程度)、負担を抑えるために自動車を所有しないという選択は妥当といえる。
高収入世帯で支出割合が大きくなっているのは「私立授業料」である。1500-2000万の世帯では13.9%、月額28,231円の支出を行っている。低-中収入世帯との格差は大きく、格差が世代を超えて遺伝する一因となっていると見られる。「国公立授業料」は概ね4,000円以下で頭打ちとなっており、格差是正には有効な施策であると言えるが、それ以上に「補習教育費」が負担になっている現状も見て取れる。
世帯収入階級別商品・サービス消費動向
まずは世帯収入階級別の月額支出金額を見てみよう。各々の階級別において支出割合が大きい項目を赤く表示している(絶対額ではない点に注意)。一番下に支出合計を記載している。世帯収入が大きくなるに従って月額支出額も順当に大きくなるようだ。
目立つのは「スマートフォンなどの通信・通話使用料」である。200万未満の世帯で16.6%の4,845円、年収400-500万の世帯で15.6%の11,651円、500-600万の世帯で13,954円と低~中所得世帯で軒並み15%程度が通信費に支出されている。続く項目の「インターネット接続料」、「スマートフォンの本体費」を含めた、月額平均15,000円ほどの通信費は携帯電話の普及前には格段に小さかった支出項目である。なお、「総世帯のうち勤労者世帯」に限ると、「スマートフォンなどの通信・通話使用料」に対する負担は絶対額・割合ともに増加し、低~中所得世帯で軒並み20%を超える水準になっている。
次に目立つのは「自動車(新車)」の支出である。年収600-800万あたりの世帯において高い支出割合となっているが、「自動車(中古車)」支出と見比べると、1250万付近の世帯が中古車ではなく新車を購入しがちであることがわかる。もっとも2000万超の世帯はほぼ新車の一択ではあるが。
また、「総世帯のうち勤労者世帯」に限ってみると、年収300-400万の世帯が「自動車(新車)」ならびに「自動車(中古車)」に対する支出が両隣のセグメントに比べて突出していることが分かる。生活や仕事のために車が必要な世帯がこのセグメントなのだろう。
なお、自動車の維持のためには、「自動車保険料(自賠責・任意)」、「自動車整備費」も必要となることから負担額は大きく(月額平均20,000円程度)、負担を抑えるために自動車を所有しないという選択は妥当といえる。
高収入世帯で支出割合が大きくなっているのは「私立授業料」である。1500-2000万の世帯では13.9%、月額28,231円の支出を行っている。低-中収入世帯との格差は大きく、格差が世代を超えて遺伝する一因となっていると見られる。「国公立授業料」は概ね4,000円以下で頭打ちとなっており、格差是正には有効な施策であると言えるが、それ以上に「補習教育費」が負担になっている現状も見て取れる。
世帯主年齢階級別商品・サービス消費動向
同じく年齢別を見てみよう。月額支出額は50代までは増加するが、リタイア後の60代以降は徐々に減少し、80代以降は50代のピークの半額である5万円を切る水準まで下がる。それでも29歳以下よりも月額1万円高い。決して老人が贅沢をしているわけではないが、若者にそれ以上にお金がないということだろう。
若い世帯で「スマートフォン通信料」の負担が大きいが、29歳以下の世帯ではなんと27.8%もの割合となっている。調査対象の家計支出の3割が毎月通信費に費やされるのはいかにも厳しい。
若者のクルマ離れが叫ばれて久しいが、29歳下の世帯は17.6%、6,658円を「自動車(新車)」に費やしている。絶対額としては決して高くはないが、割合としては他の世代と比較して顕著に大きく、新車購入のモチベーションは高いことが見て取れる。それでも一昔前よりは随分支出額が小さくなっているはずで、通信費支出が増えたこともその一因であろう。興味深いのはリタイア後の60代で「自動車(新車)」の支出割合が大きくなっている点であり、この世代においても新車購入意向が強いことがわかる。一方、中古車購入意向が高いのは30代だ。これは必要に迫られてリーズナブルな価格の中古車の選択がなされているのだろう。
就学年齢の子息をもつ40/50代の世帯では「私立授業料」の負担が大きくなっている。月額で言えば教育関連費は20,000-25,000円というところか。「補習教育費」は50代には小さくなっているが、子供が大学進学した後ということだろう。
高齢になると目立つ支出に「家屋に関する設備費・工事費・修理費」がある。80代以上の支出では16.4%、7,812円となっており、終の棲家を決めた後にもそのメンテナンス費の負担が大きく残ることがよく分かる。また、「出産以外の入院費」についても年齢が高くなるほど大きくなっているが、これは納得の結果だろう。
50代以降は毎月「葬儀・法事費用」に3,000円程度を支出しており、離別の機会が増えることが伺える。「信仰関係費」は年齢が高くなるほど増加しており、80代で6.3%、2,997円となっている。人生の終わりが見えてくると信仰に救いを求める割合が大きくなるということだろうか。
若い世代ほど多い支出は、前述の通信料・教育費を除けば「出産入院費」と「ゲーム機」程度である。娯楽に該当するのは「ゲーム機」のみであり、つくづくこの国の若者には購買力がないことがよく分かる。
世帯主年齢階級別 インターネットを利用した購入状況
では、若者は一体何にお金を使っているのか。家計調査では特にインターネットを介した購入状況の調査も行っている。特に若者の消費の中心はインターネット上に移動しつつあり、こちらを見ると若者の購入活動がより具体的に見えてくる。
20代の若年層の購入状況を見てみると、他の年代と比べて突出して絶対額も割合も高いのは「音楽・映像ソフト、パソコン用ソフト、ゲームソフト」及び「ダウンロード版の音楽・映像、アプリなど」となっており、それぞれ10%を超える支出を行っている。
先の調査結果と合わせてみれば、現代日本の若者が楽しむ娯楽はほぼコンテンツ消費が中心となっている現状が見えてくる。可処分所得を減らしつつある若者に最後に残ったのはコンテンツ消費なのだ。
少ない支出でいつでもどこでも手軽に消費できるコンテンツは娯楽として非常に優れている。VR技術がより洗練され実質的なリアルが提供されるようになれば、旅行やライブなどの体験もコンテンツに置き換わっていくことになるだろう。この国の将来の消費の中心がコンテンツになることはもはや疑いようがない。