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岐阜

朝ドラのロケ地、市のPRに活用 旧大和北小学校東弥分校

「半分、青い。」のロケが行われた旧大和北小学校東弥分校=郡上市大和町で

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 NHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「半分、青い。」で、郡上市大和町大間見の旧大和北小学校東弥(とうや)分校が、主人公楡野鈴愛(にれのすずめ)の母校として登場した。子ども時代の放送は既に終わったが、地元の人たちは劇中でよみがえった懐かしい学校に特別な思いを抱く。同分校出身の日置敏明市長(74)は、ロケ撮影のエピソードを市のPRに役立てている。

 市大和振興事務所によると、東弥分校は一八七三(明治六)年に西俣学校の分校として創立された。木造二階建ての現校舎は一九六一(昭和三十六)年に完成したが、児童数は年々減少。八九(平成元)年三月末、大和北小に統合されて閉校した。現在はNPO法人「メタセコイアの森の仲間たち」の事務局がある。

 朝ドラのロケは昨年十月、二日間にわたって行われた。東弥分校は鈴愛が通う「東美濃市梟(ふくろう)町」の小学校とされ、子役矢崎由紗さんが生き生きと演技した。

 ロケでは校庭の隅に焼却炉を置き、遊具のペンキを塗り直すなどした。撮影を見た女性は「子どもたちがたくさん集まり、縄跳びをして遊んでいた。まるで昔の分校が戻ってきたような眺めでした」とふり返る。朝ドラが放送された後は、舞台となった校舎を見に来る人が絶えなかった。

 日置市長は、六十年以上も前に巣立った分校での生活をよく覚えている。上級生と下級生が同じ教室で学ぶ複式学級だったが、みんなが仲良く助け合った。「上級生の授業が見られる利点もあった。中学校から高校、大学と進む中で、少人数の分校出身というハンディを感じたことは一度もなかった」という。

 日置市長は郡上市で発行されている生活情報誌「GUJOプラス」のコラムで朝ドラのロケに触れ「ドラマの設定にぴったりの小学校ということなのでしょう。市の対外PRのため、今盛んにこの話題を活用させてもらっているところです」と書いている。

 東弥分校の閉校を伝えた当時の大和町広報には「三十五人の子どもたちは、全員で念入りに掃除をして、懐かしい木造校舎に別れを告げました」とある。地域とともに歩み、多くの人たちが愛した分校は今も昔のままの姿で立っている。

 (中山道雄)

 

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