あ、ありのまま今起こったことを話すぜ…。マーケティングの話をしていたらいつの間にかデザインの話をしていたんだが


タイトルと文章の雰囲気が結構違って申し訳ないのですが、お題箱から質問をいただいたので解答しました!内容は主観に偏りますのでご了承ください。

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この間のPodcast「Automagic」を聞いてお聞きしたいことがあります。
私は大学の経営学部に通っているWebデザイナー志望です。
マーケティングのどのような考え方を(特に重点的に)習得していく必要がありますか?

マーケティングやデザインで求められることは、どこで何を行うかで大きく変わってきます。 質問ではその辺りは絞られていないので、この記事ではマーケティングの「知る」考え方を広い視野で捉えつつ、下記のようなお話に触れています。

  • マーケティングとデザインを絡めた視点のお話をしています。
    • 未来のデザイナーさんへ向けて、(恐らく)つまづきやすいところに寄り添いました
    • 原稿・指示をもらったら、そのままのデザインをしてしまう
    • 何から提案したら良いかわからない
    • コンセプトが見た目・雰囲気の話になってしまう

なお、下記のような条件だと少しズレたお話になるかもしれません。目的によってはこの記事が全てではありません

  • 指示通りの内容をスピーディに行う業務や、クライアントや担当者が内容をがっつり固めてる業務

【視点を知る】プロダクトアウト(企業の視点)とマーケットイン(消費者の視点)

知ると言っても様々な切り口があるので、今回は2つの視点をご紹介いたします!

  • プロダクトアウト プロダクトをどう世の中に届けるか考える視点。(企業の視点)
  • マーケットイン 市場の声をもとに欲しいものを作る視点です。(消費者の視点)

企業の視点を捉えるのも大切

デザインは多くの場合、すでに存在する「物」や「サービス」を伝えたいという意味で言うならばプロダクトアウト(企業視点)から始まります。
クライアントの依頼や目的から始まる受託のお仕事、自社サービスを伝える、届ける、使ってもらうお仕事、1から何かを作るにも会社の持っている力を理解して活用するのは自然な流れです。

こう捉えるとプロダクトアウト(企業視点)は重要な視点なのですが、ユーザーの目線の考え方がわりかし多く耳に入ります。

マーケットインもプロダクトアウトもとても大切な視点です。双方の視点で物事を捉えていきましょう。

ユーザー目線と企業目線の双方を行き来する

サービス、プロダクト、企業、発信する元となるモノやコトの良い部分を理解していなければ、独自性を出したり、強みを活かしきれません。
また、ユーザーの視点を捉えて深い部分を汲み取れば、サービスやプロダクト、企業の見直しによって双方を繋げる、よりいい形が見つかる可能性が上がります。

企業の強みを探り、ユーザーの視点を捉え、また改めて伝え方に工夫を施したり、強みを見つめ直す。私の場合はこの行き来がより深く「知る」鍵になっています。
という事で、双方の視点を持って、知る事に力を入れてみてはいかがでしょうか!

ふたつの視点を行き来するときに意識したい考え

さて、二つの視点を行き来する際ですが、下記のような意識も大切にするとより深く物事を捉えられるかも

  • ケイパビリティ 自社の持つ強みなどを指す
  • 消費者インサイト ユーザーの表層的な声ではなく、深層心理を捉えること
  • ロールプレイ 他者の立ち位置になりきること

企業自体を理解する事、表層的ではないユーザーの視点を捉える事、双方になりきって見ること。このような視点を理解して知っていくことが「知る」ことをより深くしてくれるかも!

どうやって知れば良いのか

では、どんなことを知ればいいのでしょうか。ここでは一つ一つを掘り下げるのではなくさっくりと図にまとめることにしました。全てを行う必要はなく、ケースに沿った考えの種や、学びのきっかけ、伝える際の整理など、道具として使っていただけると嬉しいです。

前述の通りクライアントの魅力や立ち位置を探ったり、ユーザーの声だけでなく裏側(深層心理など)を捉えるのも知る行為です。

知ったことをどう活かせば良いか

上記に挙げたような視点や手法を知っても、それをデザインに活かす想像がつき難いかと思い、勝手ながら知ったことを活用して行う「提案」のパターンを三つほど書いてみました。どうでしょうか〜

1.原稿をもとに提案するリサーチ+デザイン

原稿(文章や画像)が手元に届いたとき、内容を理解せず装飾を始めると形に囚われたり、迷ってしまうかも…。それは「理解していないコトをそのまま人に伝えようとしている」からです。

クライアントとユーザーの目線から改めてリサーチしましょう。
自分で得た知識から始めるデザインは、ビジュアルの発想の種になり得ます。

効果を考えた狙い、ユーザーの好みを捉えた理由と自然につながります。何も指標がない時より、情報の過不足、優先度、見せ方などが浮かびあがり、レイアウトにも意図が出てきます。

理由を添えて話せば説得力が増えます。

情報の流れ(導線)を想定できる形に近づけたならば「デザインとマーケティング」は繋がってきます!(きっとね!)

2.媒体、形式に対して提案するリサーチ+デザイン

書籍「さよならインタフェース」より抜粋。実際にあったお話です。
「オリンピックに向けて」街中のゴミ箱の側面には天気予報の見られる画面が付きました。このゴミ箱を見た人は「今日は雨だ」と雨宿りしながら知るのです。これで街は盛り上がり、利便性は上がり、楽しめるのでしょうか。

もし、外に置くゴミ箱に「天気予報を表示する画面をつけたい」と依頼されたら…。ここでうなづけば仕事を受注できます。が、実際にはゴミ箱一つあたり470万円するのです。その先にいる「見る人へ向けて」費用対効果や、利便性の向上を考えると、他にもいい方法があるかもしれません。

意図を聞いた上で、クライアントが迷っていたり、同じリソース(時間、価格、人、etc…)で効果をあげる自信があるならば、提案することは問題ではありません。さらに、あなたがターゲットの動きを仮説立てたり、目的とつなげて問題の指摘や新しい提案ができれば、媒体や形式の選択も合わせてデザインの力を底上げできるかもしれません。

せっかく作るなら、よりたくさん力になりたいですよね。

※ゴミ箱側面のインタフェース、本をもとに例としてあげましたが見えない事情や大きな理由があったのかもしれませんし、批判する気はありません。

3.ターゲット・コンセプトに対して問題提起する

「メインターゲット」がずれている場合「自社の魅力が自社の魅力が見えてない、気がついてない」場合のお話です。「えっ!」と言われそうですが、誰しも自分を見る・知るのは難しいものです。客観的に捉えて見つめ直せるのは、少し外から伝えることを支える人間の強みです。

根本的なボタンの掛け違いを感じたとき、相手と慎重に擦り合せるのも一つの方法です。事前に提案のために時間をいただくことで、意図や切り口からお話しすることも可能になります。知ること、そしてそれを伝え、相談していくことでクライアントと共に、デザインの土壌や根っこから作ります。

あなたがリサーチを元に検討した際、現在または未来に想定できるユーザー層と、クライアントがイメージしているターゲットがずれていると早期に気付いた場合や目的に疑問が出た時、提案・相談の機会をもらえないか聞いてみましょう

与えられた情報や調べた内容を疑い、事実に基づいて物事を捉え直す思考の転換は伝える力をアップする強い味方です。どれだけ良い花も環境が悪いと咲けないし、見てもらえる機会すら得られないのです。

フレームを埋めて満足しない。人に寄り添うデザインをしよう

今回は質問内容を踏まえて「視点」「手法」「活用」あたりのことをまとめてみました。その上でぜひ大切にしてほしい事、私も大切にしていることを記載します。

手法の前に「これってどういう意味だろう、何を伝えて何を得たいんだろう。」「これを見た人はどんな気持ちなんだろう」と自分自身で考えていくことがとても大切です。
マーケティングのフレームワークを埋めて満足する道具にせず自分の考えをまとめたり、考えのとっかかりに利用したり、人に整理して伝えるなど、手段として利用できると良いですね!

コスト(時間や労働力やお金)を考えず押し付ける提案は、時に相手を悪い意味で驚かせます。提案だけでなく、クライアントが作りたいものを作り、相手の夢を叶えるのも大切なお仕事です。でも、設計者として、デザイナーとして生きていくならば、より伝わる形のために考えること、設計することも続けて行きましょう。

美しい見た目を作りたいのであれば、美しいと感じた理由を探し続けてください。デザインの美しさの中には、人に寄り添った理由や論理があるものもとても多いです。もし新しいものを作るという強い思いがあるのであれば、過去を学ぶことで今までにないものを見つけられるかもしれません。それもまた伝えるという行為を強める種になるはずです。

たくさん楽しいデザインをしましょう!一人で作る楽しみだけでなく、作ったものが誰かの役に立って、喜んでもらえることも楽しみましょうね〜!
私たち、俺たちデザイナー、頑張りましょう!

また長い記事を書いてしまった…。催眠術だとか、思考論とかそんなちゃちなもんじゃ断じてねえ…。タイトルはノリでつけましたがジョジョを読んだことはありません。
この記事が誰かの役に立てれば幸いです。


たじま ちはる

画像:たじまちはる

マーケティングとデザイン

ヒトとモノとコトを最適な形で伝えるために、戦略、マーケティングを理解し、目的を達成するためのデザインを行う。
デザインの設計という面を伝えること、デザインとその周囲をつなげていくために、登壇や個人メディアでの発信にも力を入れている。