[東京 14日 ロイター] 金融庁は14日、日本証券金融(8511.T)に対し業務改善命令を出したと発表した。証券取引等監視委員会が入った検査の結果、長年に渡って貸借取引での品貸料を不正につり上げていたことが認められたため。
品貸料のつり上げによって投資家のコスト負担が増していたが、証券監視委は、日証金の要請に応じていた証券会社の関与も「問題ある」と指摘した。
証券監視委は6月20日から検査に着手し、11月27日付で、金融庁に処分を勧告した。証券監視委によると、日証金は、証券会社など貸し株の提供者に対して料率や株数の条件変更などを要請し、品貸料を人為的に引き上げる行為を行っていた。品貸料の不正なつり上げは遅くとも1998年6月ごろから行われていた。
品貸料の人為的なつり上げで、投資家のコスト負担は増すが、日証金への利益には直接つながらない。証券会社など貸し株の出し手の利益になるが、貸し株の調達漏れ(フェイル)を防ぐため、日常的に行われていたという。また、証券監視委は、日証金からの条件変更の要請に応じることで、品貸料のつり上げに関与していた証券会社がいくつかあったことも認めた。
金融庁は、歴代の貸し株の調達担当者が、株券を調達できない事態を避けるため、「品貸料の調整もやむを得ないと考える習慣があった」と指摘。さらに、管理・監督部門も機能していなかったと認めたため、業務改善命令を出した。日証金には、法令順守体制の検証、責任所在の明確化、再発防止策の策定などの対応状況を来年2月13日までに提出するよう求める。
品貸料のつり上げに関与していた証券会社について金融庁は、法令違反が認められなかったと指摘したうえで「漫然と日証金の要請に応じていたが、悪質性は限定的だった」として処分を見送った。証券監視委は「公益と投資家保護で問題がある」と指摘した。
(ロイター日本語ニュース 村井 令二記者)