大阪北部地震 被災してないのに「PTSDかも」と不安抱える人が急増 元自衛隊メンタル教官が解説
「阪神淡路大震災を思い出した」という声も上がった大阪北部地震。ここ数年だけでも東日本大震災や熊本地震など甚大な被害をもたらした地震や災害が相次いだ日本では、被災地から離れた場所でも過去の記憶から「PTSDかも」と苦しさを抱えてしまう“中間層”が増えているという。
サッカーW杯が盛り上がりをみせる中、どう過ごしたらいいのか。元自衛隊のメンタル教官として、災害救助に携わった自衛官の心のケアを担当した下園壮太氏に話を聞いた。
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――大阪北部地震が発生した今月18日以降、メンタル面の不調を訴える相談は増えているのでしょうか。
大阪だけでなく全国で増えています。相談の内容はコップの水が溢れたときに何が一番上にあったのかによって変わるため人ぞれぞれですが、被災した当事者だけでなく遠方に住んでいて直接的には地震の影響を受けていない人の心も波立っています。みなさんに知っていてほしいのは、それが当然の反応だということです。不穏な出来事をきっかけに、しばらく不安な状態が続くのはごく自然なことなのです。
――災害時にはどのような心の変化が起きるのでしょうか。
地震や災害、事故など大きなショックが起きたとき、人の心には4つの変化が起きます。1つ目は「不安緊張」で、眠れない、食べられないという症状が出ます。2つ目は「自信の低下」。自分がちっぽけな存在に思えたり、何もできないと感じたり、このぐらいのことでショックを受けて弱い人間だと考えるようになります。3つ目は「自責」で、大変な思いをしている人がいるのに普通に生活していて良いのかと、自分を責め、これが社会に広がれば自粛ムードにつながります。最後、4つ目は「疲れやすさ」です。
どうしてこのような反応が起こるのかというと、大きなストレス(刺激)に対して体が「警戒しろ」という指令を出しているからです。原始人をイメージしてもらうとわかりやすいでしょう。猛獣に襲われるかもしれない状況では夜は眠らないほうが安全です。だから「不安緊張」によって、不眠が引き起こされます。「自信の低下」も、自信満々だと外をフラフラと出て歩いてしまい危険だからです。おっかなびっくりで、すべてのことに警戒しているほうが生き延びる可能性は高まります。