為替差益の扱いは...
外国株式取引を開始するにあたり、疑問を感じたのが為替差益に関する課税の扱いです。
一般的に為替取引を行って差益が発生すれば、雑所得として確定申告が必要なはず。外国株式を売買した際の為替差益をどう扱えばよいか調べました。
特定口座なら原則として申告不要
結論から言えば特定口座で外国株式を売買した場合は、基本的に為替差益の申告は不要でした。
この件に関しては、外国株式に対応している証券会社3社のQ&Aに記載がありました。
例えばマネックス証券では、
Q:外国為替取引をして、為替差益がでました。確定申告は必要ですか?
A:外国株取引のために外国為替取引を行った場合の為替差益につきましては、原則確定申告は不要です。これは、円換算した際の外国株取引の売買損益には、外国株取引のために行った外国為替取引の為替差損益も含まれているものとして考えるためです。
しかしながら、外国株取引を行う意図で交換された外貨を、外国株取引を行わずに円転し、為替差益が発生した場合には、雑所得(総合課税)として確定申告する必要があると税制上判断される可能性がございます。
税制上の判断につきましては、税務当局により異なる場合がございますので、詳細につきましては所轄の税務署にご確認ください。
と説明されています。
SBI証券と楽天証券の説明は以下のリンクを参照して下さい。
国税庁のHPでも以下の説明があるので、間違いないと思われます。
【照会要旨】
外国株式を外貨建てにより譲渡した場合、その譲渡により生じた所得のうち、その外国株式の保有期間の為替相場の変動による為替差損益に相当する部分を「株式等に係る譲渡所得等の金額」から区分して雑所得の対象とする必要がありますか。
【回答要旨】外国株式等の譲渡対価の邦貨換算額相当額が、株式等の譲渡に係る収入金額として取り扱われることとなるため、為替差損益を雑所得として区分する必要はありません。
【関係法令通達】所得税法第57条の3、租税特別措置法関係通達37の10・37の11共-6
つまり外国株式の売買損益を計算する際に、為替差損益に相当する金額も含まれているため、為替差益を雑所得として申告する必要はないという事です。
外貨のままプールすると面倒かも?
特定口座で外国株式を売買した場合は、年間取引報告書の申告だけで完結するはずですが例外があります。
マネックス証券の説明にもあるように、外国株式を購入するため外貨に交換したが、外国株式を購入せずに円転換した場合が問題となります。
このケースでは外国株式の売買を行っていないので、為替差益が申告されていないことになります。従って為替差益を雑所得として申告する必要があるはずです。
SBI証券の「為替取引に関する説明書」p11によると、為替取引の際に支払調書は作成されないとの事。仮に為替差益の申告を忘れてしまった場合に、税務署が申告漏れを指摘するかは微妙ですが...気を付けた方がいいですね。
楽天証券とSBI証券では、外国株式の決済方法として「外貨決済」か「円貨決済」のいずれかを選択できます。
「外貨決済」の場合は、買い注文を出す前に為替取引を行い、外貨を用意する必要がありますが、「円貨決済」なら証券会社が為替取引を行ってくれます。従って「円貨決済」で外国株を買えば、外国株式を購入せずに円転換する事態は避けられます。
「円貨決済」で外国株式を売買し、外貨をプールしない方が無難かもしれません。