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「しまなみ海道」国内線ツアー対象に開始JALが飛行機輪行用ロードバイク輸送ボックス「エスビーコン」を発表

by 石川海璃 / Kairi ISHIKAWA

 日本航空(JAL)は6月22日、東京都品川区の「JAL Innovation Lab」(ジャル・イノベーションラボ)で、サイクリスト向けの新サービスとして、国内線ツアー客を対象にしたロードバイク輸送ボックス「SBCON」(エスビーコン)を発表した。輪行による自転車の分解や、組み立ての工数と手間を減らし、より安全に目的地まで送る輸送ボックスとなっている。

発表会に参加した(左から)日本航空の手荷物担当菅谷弘樹さん、せとうち観光推進機構の村橋克則さん、日本航空の西尾忠男経営企画本部長、S-WORKSの坂本潤さん Photo: Kenta SAWANO

プラスチック製の段ボール

 「エスビーコン」はJALが掲げる「新・JAPAN PROJECT」のテーマの1つ、交流人口の拡大を目指す施策として開発。サイクルツーリズムの多様なニーズに応えるため、しまなみ海道の「自転車・手荷物輸送サービス」で実績があるS-WORKSの坂本潤さんの協力のもと作られた。

 今までは旅行に持って行きにくかったロードバイクを、荷物とともに飛行機で運ぶことを目的とし、ボックス名は「Smart Bicycle Container」の略称で、それぞれの頭文字をとって名付けられた。

 ボックスはプラスチック製の段ボールで、内部には車体を固定するためのパーツが配置。空いたスペースにはシューズやヘルメットを入れられる空間が設けられている。箱の重量は約15kgで、サイズは縦170cm、横52cm、高さ94cm。身長175cm前後の人の乗るバイクが入るよう想定し、荷物コンテナの形に合わせて作られている。

バイクは写真のように納まり固定される Photo: Kenta SAWANO
ハンドルも厚めの緩衝材でしっかりとカバー Photo: Kenta SAWANO
ペダルの位置などは図で指定されている Photo: Kenta SAWANO

 自転車を箱に入れる際は前輪のみを外せばOK。ハンドルやシートポストも動かさず、そのままボックス内に収納が可能だ。ペダルを定められた台座に載せながら、車体を後輪と一緒に固定台に差し込む。前輪も専用のスペースに入れて、設置完了となる。

車体を入れた様子 バイクの左側に前輪が配置される Photo: Kairi ISHIKAWA

マウンテンバイクは未対応

 輸送中の揺れ対策には、車体のすぐ側面に設置されているペダルと前輪置き、そして厚めに配されるスポンジによって動きを制限。これにより愛車が傷つくことなく安全に空輸される仕組みだ。対応車種はロードバイクのほか、クロスバイクも輸送可能。ロードバイク向けに設計されているため、ファットバイクや29インチのマウンテンバイクなどは、車輪やパーツなどのサイズが合わず未対応となっている。

バイク正面から 図によってバイクの配置などが指定されている Photo: Kairi ISHIKAWA
取り外される前輪と車体は十分なクリアランスが確保され、傷が付かないよう配慮 Photo: Kairi ISHIKAWA

 エスビーコンの運用にあたっては、8月下旬に2泊3日で行くしまなみ海道のモニターツアー(価格未定)を実施。そこで得られた意見を元に、箱と輸送手順など改良を加えつつ、本格的な展開を目指す。

 記者会見で日本航空の西尾忠男経営企画本部長は、「飛行機で空輸する際、自分で自転車を分解し、輪行袋に入れるなどして収納する必要があった。しかしこの専用ボックスによって、自転車の分解や組み立ての工数と手間を減らし、より安全に目的地まで輸送することが可能になった」と話した。

SBCONにバイクを入れるS-WORKSの坂本潤さん Photo: Kairi ISHIKAWA
箱は荷物コンテナの形に合わせて作られている Photo: Kairi ISHIKAWA

 一方で、「ボックスの利用価格や、空港に乗れる状態のまま自転車を持ち運んでいいかなどは現在検討中で、モニターツアーで得られた意見を元に、箱と輸送手順など適宜改良を加え、将来的には個人客でも気軽に利用できる準備を進めていく」と発展途中であることも認めた。

会見が開かれた東京都品川区の「JAL Innovation Lab」 Photo: Kenta SAWANO
会場には自転車系メディアのほか、多くの報道陣が訪れた Photo: Kenta SAWANO

 ボックスは、空港まで車でのアクセスや、直接自転車での乗り入れを想定しているため、電車で輪行する場合は、一度輪行袋に収納した自転車を組み直し、ボックスに入れる作業が必要になる。となるとメリットは「安全に、大事に運べること」だけとも言える。また、自転車が走行できる状態のまま空港内に持ち込めるか不明な点も合わせると、まだまだ課題は山積みのようだ。

 とは言え、輸送中の破損などトラブルも少なくない飛行機輪行で、大切な愛車が目の前で大事に梱包され、輸送される安心感は何にも代えがたいもの。日本を代表する航空会社が、自転車輸送に力を入れ始めたことは、サイクリストにとって歓迎すべき第一歩と言える。

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