歌手エイコンさん「現実のワカンダ」建国に意欲 暗号通貨「エイコイン」で

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セネガル系米国人の歌手エイコンさんが18日、自身の名をとって「エイコイン」と名づけられた新たな暗号通貨の発行を計画していると明かした。

「Locked Up」などのヒット曲があるエイコンさんは18日、フランス・カンヌで開かれている広告・技術分野の国際イベント、カンヌ・ライオンズ・フェスティバルで講演した。講演の中でエイコンさんは、暗号通貨が「アフリカの救世主」になる可能性があると考えていると述べた。

エイコインの公式ウェブサイトによると、エイコンさんはこれから12月までの間に、同暗号通貨のアプリを「全ての携帯電話」に導入したいという。

エイコンさんはまた、アフリカのセネガルに「暗号都市」の建設を計画中としている。都市についてエイコンさんは「現実のワカンダ」だと呼んだ(編注:ワカンダは映画「ブラックパンサー」に登場する黒人の国で、高い技術を持つ)。

暗号通貨「エイコイン」の公式ウェブサイトでは、新しい通貨の計画について詳細が語られている Image copyright AKoin
Image caption 暗号通貨「エイコイン」の公式ウェブサイトでは、新しい通貨の計画について詳細が語られている

エイコインのウェブサイトによると、エイコンさんはセネガルの大統領から、都市の建設用に土地2000エーカー(約8.1平方キロ)を「贈られた」という。この都市にもエイコンさんにちなんだ名前がついている。

エイコン暗号都市はセネガルの首都ダカールから「少し車で行ったところ」になるとみられる。

エイコンさんはこの都市が、米マーベルの映画「ブラックパンサー」に登場するワカンダと同じように「未来的な環境」になると約束した。

エイコンさんによると、この都市は「生活上の取引が全てエイコインで行われる、完全に暗号通貨を基盤とした初めての都市」だという。

エイコンさんは2004年、デビューアルバム「Trouble」を発表した Image copyright Getty Images
Image caption エイコンさんは2004年、デビューアルバム「Trouble」を発表した

「エイコイン・エコシステム」の下で、消費者は所有するスマートフォンから直接、暗号通貨の購入、保持、使用ができるようになる。

「この仕組みは、人々に力を取り戻させ、通貨システムに安全を取り戻させる」とエイコンさんは説明した。

「この仕組みは、人が自分自身を向上させるために仕組みを使うことを可能にする。政府が仕組みを使って人々を支配することを認めない」

しかし、エイコンさんは自身の新規事業について、全ての技術的要素を理解しているわけではないと認めた。

「私は概念を思いついた。実現はギーク(コンピューターやネットワーク技術の専門家)たちに任せる」とエイコンさんは述べた。

暗号通貨とは?

暗号通貨とは、中央銀行から独立して運営される電子上、あるいは仮想の通貨を意味する。

暗号通貨は、暗号化技術(ほとんど破ることが不可能なコードを用いた情報変換技術)を用いて取引の保障と認証を行う。

この技術により、偽装取引は極めて困難になる。

最初の、そして恐らく最も有名な暗号通貨はビットコインで、2009年にサトシ・ナカモトを名乗る正体不明の人物により作られた。

歌手のケイティ・ペリーさん、ラッパーの50セントさん、俳優のアシュトン・カッチャーさんら多くの有名人が暗号通貨に支持を表明したり投資したりしている。

エイコンさんがアフリカで仕掛ける他の新規事業

エイコンさんとキネ・グエイェ・ティアムさんは2007年、コンフィデンス財団を共同設立した Image copyright Getty Images
Image caption エイコンさんとキネ・グエイェ・ティアムさんは2007年、コンフィデンス財団を共同設立した

エイコインは、エイコンさんがアフリカについて発表してきた多くのプロジェクトの一つだ。

エイコンさんは米ミズーリ州で生まれたが、セネガル系で、幼少期の多くをセネガルで過ごした。

エイコンさんは2007年、西アフリカと米国の恵まれない子供に健康と教育支援を行うチャリティ団体、コンフィデンス財団を共同設立した。

またエイコンさんは2014年にもエイコン・ライティング・アフリカ・プロジェクトを共同設立した。エイコン氏のウェブサイトによると、このプロジェクトはこれまでにアフリカにある18の国々で太陽光発電を導入しているという。

(英語記事 Akon wants to build 'real life Wakanda' using a currency called AKoin

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