手取り20万円でもお金を増やす方法

「仮想通貨なんてめんどくさい」「株式投資はよくわからない」 「……だけど、お金については、なんとなく不安」貯金、投資、節約――結局なにをどうすればいいのか、わかりやすい答えが知りたい……! そこで、「お金のプロ」である田口智隆さんの著書『入社1年目のお金の教科書』より、お金の貯め方、使い方、増やし方まで、20代におさえておきたいお金の基本をご紹介します。

お金は増やさなくていい


ここまで「貯める」「使う」について述べてきましたが、本章からはいよいよお金を「増やす」ステップに進みましょう。具体的にいえば、賢いお金の使い方で貯めたお金を元手に、株式などへの投資を始めるのです。

でも、ちょっと待ってください。

入社1年目のあなたは、すぐにお金を増やそうとしないでください。

矛盾したことを言いましたね。混乱させて申し訳ありません。

正確に言うと、本書を読んでこれからお金との付き合い方を見直す段階の人は、まだ投資に手を出す必要はありません。

なぜなら、まずは貯金体質をつくることが最優先事項だからです。

元手となるお金が貯まらなければ、思うように投資はできません。

また、投資は少なからずリスクがありますから、ある程度、資金を貯めてからのほうが安全というのも、最初から投資をすすめない理由のひとつです。

だから、まずは「貯め方」と「使い方」で説明した考え方やノウハウを活用し、貯金することに専念してください。

給与の20%(給与が少なければ最初は10%でもかまいません)を銀行の自動積み立てで貯金していくのです。

まずは金額を増やすことよりも、貯める習慣をつくることのほうが大切ですから、金利の大小を気にすることはありません。ひたすら貯めていくのです。

といっても、自動積み立てなので、意思とは関係なく勝手に貯まっていきます。ですから、最初は「お金のノート」などを活用して、お金の賢い使い方を身につけることが肝となります。

しばらく浪費を最小限にし、お金を正しく使っていくと、しだいに今の生活に慣れていき、無理なくお金を貯められるようになります。

まずは、自動積み立てで貯金する生活を1年続けてみてください。

無事、1年間貯め続けることができれば、賢いお金の使い方が身につき、貯金体質に変化したといえます。

そうしたら、晴れて投資デビューの準備が整ったことになります。

なお、本書の読者には入社1年目以外の人もいるかもしれません。

すでに毎月一定額の貯金ができている人、または投資にまわせる余裕資金がある人は、1年を待たずに投資を始めてもいいでしょう。

どれだけリスクを許容できるかは個人差がある

貯金体質が身についたら、次は投資でお金を増やすステップに進みましょう。

投資にまわす資金は、毎月の給与から自動積み立てしている金額(③投資)の半分を目安とします。

たとえば、もしあなたが毎月2万円を自動積み立てで貯金しているなら、そのうち1万円は自動積み立てを継続し、残りの1万円は投資にまわすのです。

ただし、「貯金50%、投資50%」という配分は、あくまでひとつの目安にすぎません。「貯金0%、投資 100%」にしてもかまいませんし、「貯金70%、投資30%」にするのも、「貯金100%、投資0%」にするのも自由です。

貯金と投資の配分バランスについては、どれだけをリスクをとれるかによって個人差が生まれるものです。

私はこれから投資を始めたいという人から相談を受けたとき、必ず次のような質問をします。

「どのくらい資金が減っても平気でいられますか?」

そうすると、「30%減っても大丈夫」と答える人もいれば、「10%なら耐えられます」と答える人もいます。

投資はお金が増えることもありますが、お金が減るというリスクもあります。

30%減っても大丈夫であれば、それなりにリスクの高い金融商品に投資できますが、10%減っただけで動揺してしまうようであれば、リスクの低い金融商品を中心に投資することになります。

しかし、実際に投資を始めてみると、「30%減っても大丈夫」と答えていた人が、15%減った時点で大きく動揺し、パニックになることもあれば、逆に「10%なら耐えられる」と答えていた人が、実際に15%減っても意外と冷静でいられることもあります。同じ金額が減っても、そのとらえ方は人それぞれ。つまり、自分がどの程度投資のリスクをとることができるかは、実際に投資をし、値動きを経験しなければわからない、ということです。

ですから、まずは「貯金50%、投資50%」で様子を見ることをおすすめしています。「お試し期間」を設けるのです。

投資を始めると、必ず値動きがあります。万一お金が減っていく局面で、ドキドキして不安になるようであれば、投資のパーセンテージを小さくすることを考えたほうがいいかもしれません。

反対に、長期で運用するつもりだから、小さな値下がりはあまり気にならないという人であれば、投資のパーセンテージを増やしても問題ありません。

投資 1 0 0 %でも大丈夫?

本音を言うと、私は「貯金0%、投資100%」の配分でも大丈夫だと思っています。あとでくわしく述べますが、本書でおすすめする金融商品は、短期的に見れば、値下がりすることもありますが、長期的に見れば高い確率で増えていく性格の投資対象だからです。実際、私もほぼ100%投資にまわしています。

また、投資の割合を高めたほうが、資産が増えるスピードがアップする可能性も高くなります。ぜひ本章を最後まで読んで、どのくらいのリスクをとるか参考にしてください。

ただ、「投資」の比率を高める場合には、ひとつ注意点があります。

近い将来、まとまったお金が必要になるイベントがあるなら、その分は貯金で増やしたほうが安心です。たとえば、結婚式、資格取得や留学の資金、出産の資金、子どもの教育費などが該当します。

金融商品に投資していると、短期的には大きく値下がりする可能性があります。そのとき、まとまった資金が必要なイベントが重なると、「資金が足りない」とい

う問題に直面する可能性もゼロではありません。

また、貯金はすぐにお金を引き出すことができますが、金融商品を換金しようとすると、2〜3日かかるのが一般的です。

現金化のしやすさを「お金の流動性」と言いますが、人生のイベントに使う予定の資金は、流動性の高い貯金でもっていたほうが、なにかと安心できます。

一方、「とりあえず使い道がはっきりしていない」「老後資金をつくりたい」という ことであれば、一時的に資産が減っても実害が出るわけではないので、貯金ではなく、投資にまわしたほうが賢明です。

*次回『若い人こそ「長期投資」を始めよう』は、6月26日(火)更新予定*


この連載について

初回を読む
入社1年目のお金の教科書

田口智隆

「仮想通貨なんてめんどくさい」「株式投資はよくわからない」 「……だけど、お金については、なんとなく不安」貯金、投資、節約――結局なにをどうすればいいのか、わかりやすい答えが知りたい……! そこで、「お金のプロ」である田口智隆さんの著...もっと読む

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shinogu726 #スマートニュース 約5時間前 replyretweetfavorite