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トヨタ自動車は2018年6月22日、高級サルーン「センチュリー」の新型を発表。同日、販売を開始した。
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仕上げはまるで工芸品
2017年の東京モーターショーで事前に公開されていた新型センチュリーが、正式に発売された。センチュリーを名乗るクルマはこれで3世代目だが、先代にあたる2代目センチュリーは2017年1月末をもって、トヨタ自動車東日本の東富士工場(旧関東自動車工業)での生産を終了していたから、正確には一般的なフルモデルチェンジというより、約1年半ぶりの復活である。新型の生産も、もちろん同じ東富士工場が担当する。
車体のスリーサイズは、全長×全幅×全高=5335×1930×1505mm。先代(5270×1890×1475mm)よりは全方位で拡大しているが、その拡大幅はわずかである。スタイリングは相変わらずセンチュリーにしか見えず、後席を“上座”とするサイドグラフィックもセンチュリーの伝統だそうである。
フロントの「鳳凰」エンブレムは、工匠が1カ月半かけて手彫りした金型で成形されたもので、複雑なグリルは日本伝統の「七宝文様」だという。「神威(かむい)」と名づけられた漆黒の新塗色は手作業で一点の曇りもなく“鏡面仕上げ”される。
室内空間は幅や高さは先代とほぼ変わりないが、65mm長くなったホイールベースの延長分はすべて後席レッグルームの拡大に充てられた。シート表皮は100%ウールのファブリックが標準で、本革仕様が54万円のオプション。後席用11.6インチ大画面液晶モニターと20スピーカー12chシステムによるエンターテインメントシステムも標準装備だ。
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レクサスゆずりのメカニズム
パワートレインはハイブリッドである。先代が搭載していた国産唯一の量産12気筒ガソリンエンジンは残念ながら姿を消すことになった。その心臓部は、最高出力381ps、最大トルク510Nmを発生する5リッターV8(2UR-FSE型)に、224psの電動モーターとニッケル水素バッテリーを組み合わせる。
ここまで読んでいただければ、鋭い人はお気づきだろう。このハイブリッドは先代「レクサスLS600h」のものと基本的に同じである。ただ、細部はセンチュリー用に手直しされており、JC08モード燃費もLS600hより良好な13.6km/リッターをうたう。
もっと鋭い人なら、3090mmという新型センチュリーのホイールベースも、先代LS(のロング)と同寸であることに気づくかもしれない。つまり、新型センチュリーの基本骨格=プラットフォームとパワートレインは、血統的には先代「LS600hL」に非常に近い。ただ、構造接着剤による車体剛性アップ、新開発タイヤやブッシュ/マウントなどはセンチュリー専用にチューニングされているという。
もうひとつ、さすが20年ぶりの刷新とあって、安全装備の充実も飛躍的。先代では未整備だった先進安全技術「Toyota Safety Sense」も標準となる。ただし、夜間の歩行者検知が未対応となるなど、トヨタの最新・最高のそれに少しだけゆずるのは、プラットフォームの設計年次によるかもしれない。
価格は先代の最終期(1253万8000円)から約700万円アップとなる1960万円。月間の目標販売台数は50台である。
初代センチュリーはトヨタグループの創始者である豊田佐吉氏の生誕100周年を記念して1967年に登場し、30年間つくられた。続く2代目のモデルライフは97年から17年までの20年間だった。さて、新型センチュリーは何年間つくられることになるのだろうか。
(文=佐野弘宗)
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