kura_今回は、ヘリオス酒造のくら ザ・ウイスキーを飲んでみます。

ヘリオス酒造は、沖縄県名護市にある酒造メーカーで、泡盛の他、ビール、ラム酒を手がけています。

かつてはウイスキーも手がけていましたが、2000年代に蒸溜を終了しています。近年では、長期に貯蔵していた原酒をベースにした「暦」をローソン限定で販売をしているなど、再びウイスキー造りを始めようという兆しを見せています。

さて、「くら」はヘリオス酒造の古酒(クース)のブランドですが、一般的な古酒が陶製の甕で貯蔵、熟成するのに対して、「くら」はウイスキー同様にホワイトオークの樽を使っているのが特徴的です。

その「くら」のブランドを冠しているウイスキーなだけに期待してしまうかもしれませんが、ピュアモルトと記載されている以外は特に情報はなく、蒸溜を再開した話もない事から、使用している原酒はスコットランドのバルクウイスキーと推測されます。
実際、ラベルには「JAPANESE WHISKY」の文言は記されていません。

その原酒を、ヘリオス酒造が手がけるラム酒の樽に貯蔵、熟成して仕上げている事を売りにしているようです。

ではストレートから飲みます。
グラスに注ぐと、液色はシャンパンゴールド、香りはピートからのスモーキーさがあります。

口に含むと、正露丸を思わせるピートが現れ、奥からライムの爽やかな香りが追いかけます。
味わいは酸味がしっかり前に出ていて、奥から甘さも得られます。アルコール由来の辛さは少ないです。

ロックにすると、ピートの奥から柿のような甘い香りが現れてきます。その後はライムの爽やかさ、バニラの甘い香りも得られます。
味わいは酸味とビターが主体となり、後味として甘さが感じ取れます。

最後にハイボールにすると、海藻を伴うピートは死なず、ライムもほのかになります。
味わいは酸味が中心なのは変わりないですが、ピートに釣られ、ビターの後にうま味も感じられるようになります。

液色も含め、飲んでみるに、アードベッグの原酒をキーにしている雰囲気があります。
アイラモルトの中でも突き抜ける特徴的なピートを、このボトルでも楽しむ事ができます。
その上で、他のモルトからのバニラの甘い香り、そしてラム酒樽による甘みが加わる事で、幅が広がった印象があります。

750mL、アルコール度数40度、価格は4500円ほど。
ノンエイジの地ウイスキーとして考えると割高に思えますが、アイラモルトをメインにしたブレンデッドモルト、ラム酒樽フィニッシュと割り切ってみれば、損はしないと思います。

<個人的評価>
  • 香り B: アイラモルトのような正露丸、海藻の香りのするピートがしっかり。後からライム、バニラ。加水で柿も。
  • 味わい B: 酸味が前に出て後味に甘みを感じる。加水でビターが現れる。
  • 総評 C: 自前の樽を使ったボトラーのブレンデッドモルトと割り切った方が良い。