三菱UFJ銀行と三井住友銀行が、ATM(現金自動預払機)を共通化する検討に入った。超低金利で収益環境が厳しさを増す中、キャッシュレス化の進展も見据え、ATM網を維持するコスト負担の軽減を探る。だが、共通化構想は過去にも何度か浮上し、実現しなかった経緯もある。通帳の仕様やATMメーカーなどの違いといったハードルを乗り越え、今度こそ結実させることはできるか-。
「新しい時代の金融業を考えると共同でできるものがあれば、前向きに検討する」。三井住友銀を傘下に持つ三井住友フィナンシャルグループ(FG)の国部毅社長は5月の決算会見でこう述べた。翌日、三菱UFJ銀を傘下に抱える三菱UFJFGの平野信行社長も決算会見で、「ATMを保有する負担が強く感じられる。前向きに考えていきたい」と応じた。
今回、浮上した両社の共通化構想は、4月に三菱UFJ銀が三井住友銀に打診したことがきっかけだ。相手のATMを自行のATMのように無料で使えるようにする「無料開放」にとどまらず、ATM自体を共通にすることも視野に入れている。実現すれば、開発や維持にかかるコストを大幅に圧縮できる。
「まだ打診は受けていない」。3メガバンクグループのうち残るみずほFGの坂井辰史社長は語る。一見、のけ者にされたようにもみえるが、協議に加わらないのは、みずほFGが6月から1年ほどかけて口座管理などを担う勘定系システムを次期システムに移行する作業に入るためだ。だが「あらゆる可能性にオープンに積極的に取り組む」と意欲をみせており、移行完了後に合流する公算が大きい。
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