サッカーコラム J3 Plus+　

■　控えのCBが出場機会を得るのはなかなか難しい。

CBというポジションであることを考えると大会期間中のレギュラー変更は考えにくい。もちろん、怪我や出場停止のときは3番手や4番手のCBに出番が巡ってくるが、よほどのことがない限り、出番を得るのは難しい。ロシアW杯での日本の戦いが3試合で終わるのか？4試合になるのか？はたまた5試合以上になるのか？は分からないが、CBの控えのDF槙野とDF植田直は「出場機会なしで終わる可能性」のほうが高い。

ただ、ロシアW杯以降の日本代表の守備の要になることが期待される23才のDF植田直はここからがプレーヤーとしての全盛期になる。4年後どころか、8年後のW杯も目指せる年齢である。仮に今回のロシアW杯で出場のチャンスがなかったとしても大きな財産になるだろう。ベンチで有意義な経験ができていると思うが3回目の挑戦にしてようやくW杯メンバーに選ばれた31才のDF槙野になると状況は大きく異なる。

4年後のカタールW杯のときは35才。年齢を考えるとロシアW杯が最初で最後のW杯になる可能性が高い。W杯に出場すること、W杯でプレーすること、W杯で活躍すること、W杯でゴールを決めることは多くのサッカー人にとって夢である。「コロンビア戦でベンチスタートになったこと」は「イコール夢だったW杯でプレーするチャンスが大きく下がったこと」を意味するが日本代表の一員として立派にベンチで戦った。

■　調子乗り世代の代表格

誰がどう考えてもDF槙野という選手はお調子者である。彼らの世代は「調子乗り世代」と言われて2007年のカナダU-20W杯で脚光を浴びたが「調子乗り世代の代表格」だったDF槙野に対しては否定的な見方をする人が少なくない。もっとストレートに表現すると、「最も嫌われているJリーガーの1人」と言えるが、全力でチームを盛り上げてゴールが決まったら全力で喜ぶ。立派に戦う姿がそこにはあった。

ムードメーカーと言われる選手の重要性は2002年の日韓W杯のときにトルシエ監督がゴン中山をサプライズで招集したときにクローズアップされたがW杯のような長丁場の戦いを勝ち抜くためにはFW中山やDF槙野のような選手は絶対に必要である。スタメンで起用される可能性があった中、ベンチスタートが確定したときは相当に悔しかったと思うが、そんなことは微塵も感じさせずにチームを盛り上げた。

　→　2009/08/31 　トルシエがゴン中山を召集した理由

サッカー選手である以上、みんなが試合に出場したいと考えている。ただ、試合に出場できるのは11人のみである。残りの12人の役割は大事になってくるがキャラクターは人それぞれ。誰しもが頭の中では「サブになってもチームのためにやれることをやらなければいけない。」と分かっているが簡単には実行できないものである。底抜けに明るい性格のDF槙野はプレー機会がなかったとしても重要な戦力である。

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