「嫌なこと」しか言えない人もいる
「使えないやつだ」「何をやらせても、失敗ばかりする」「会社をやめたほうがいい」等々―。
どこに行っても、ひどいことを言う人がいます。
もしあなたが、こんなことを言われたとしても、「私には能力がないんだ」などと落ち込む必要はありません。
あなたが何をやっても、どんなに努力しても、いつも人を否定する人は「よくやってるね」とは決して言いません。なぜなら、それが口癖だからです。仮にあなたが、完璧にやり遂げたとしても、あなたを認める言葉を口にすることはないでしょう。
そんな人たちは、相手を否定して、相手より優位に立つことが目的となっています。そもそもの目標が、相手を謗そしって勝つことですから、あらゆる言葉を用いてあなたを
打ち砕こうとするでしょう。
これが、相手のパターンなのです。それを承知していれば、不快であることは変わりませんが、相手の言葉を真に受けないですむでしょう。
わかってくれない人が、わかってくれることはない
相手にわかってもらいたい。相手に認めてもらいたい。相手にほめてもらいたい。そんな気持ちが強い人ほど、「わかってくれない相手」との関係を強くしてきます。傷ついている当人にしてみれば、「わかってくれない人」がわかってくれることが、その傷みから回復できる早道だというふうに思ってしまうためです。
けれども、「わかってくれない人」が、わかってくれるようになるのは、自分自身が自分の心をわかってあげるよりも困難なことです。
私たちは、自分から変わろうと努力しない限り、10年たっても20年たっても同じパターンを繰り返します。
それを知らないと、自分をわかってくれない人だからこそ、わかってもらいたいと必死になりがちです。
そうやって、「わかってくれる人」よりも、「わかってくれない人」に対して、自分をわかってもらおうとこだわって、否定的な関係の距離を縮めていってしまうのです。
こんな心理構造を知っていれば、「わかってくれない人」に対しては、わかってもらおうとするのではなく、
「これが、この人の生き方のパターンなんだ。そんな人に認めてもらおうとするのは、無駄な努力だ」
と割り切ることができるでしょう。すると、「わかってくれない人」に近づかないですむはずです。
自分を過剰に責めない
相手から容赦なく注意されたり叱られたりすると、自分が悪いと思って、自分を責
めてしまいがちですね。
もちろん、自分に非があることもあるでしょう。けれども仕事のミスや失敗は、行動として改善しようという気持ちさえあれば、取り戻せることです。
ついつい自分を「私が悪い。私はダメだ」と責めてしまいがちですが、責めれば責めるほど、自信をなくしてしまいます。
自信をなくせば、自分のミスや失敗を挽回しようとするよりも、おびえたり、小さくなったり、こびへつらったりするでしょう。あるいは、反対に居直って反抗したり、ふてくされたりといった態度をとってしまうことあるでしょう。
自分の心の状態は、そのまま表情や態度や行動に表れます。その姿を相手が目にすると、
「やる気がない、態度が悪い、反省していない、心から謝っていない、責任をとろうとしていない、反抗している」
といったネガティブな言動をとっているように映るために、いっそう文句を言ったり小言を言いたくなる、ということなのです。
力を抜いてリラックス感を味わうだけでいい
自分の表情や態度によって、相手の表情や態度も変わります。自分が怯えていれば、相手は、もっと脅したくなるような気分を引き起こします。攻撃的な気持ちを抱いていれば、相手もそれに反応して反撃してくるでしょう。正当な理由があっても自分の主張が正しくても、関係ありません。誰もが、話の内容よりも、お互いに自分の感情に反応し合っているのです。
人間関係は、むしろこんなことで、プラスの関係やマイナスの関係を築いていることのほうがはるかに多いのです。
それを承知していれば、まず、自分の表情や態度を変えることです。
そこで、非常に効果的で最も手っ取り早い方法をご紹介しましょう。
それは、単に「全身の力を抜いて、リラックスする」ことです。
・1度全身に力を入れて、その力を一気に抜く
・力を抜いたら、その心地よさを味わう
その感覚を十分に味わってください。そして、普段からその感覚を馴染ませましょう。
あなたがそうやってリラックス感を感じながら相手に臨めば、それだけで相手の表情や態度が変わります。
単にリラックスするだけなのですが、簡単な上に、非常に強いインパクトを相手に与えることができます。相手からすると、そのリラックスした姿が、堂々とした態度に映るからです。
これだけで、あなたに好意的な人とはより親しくなれますし、逆にあなたに否定的な人は、苦手意識を抱くようになるでしょう。
「感情的に怒鳴る」のは暴力です
どこの職場でも感情的になったり怒鳴ったりする人がいるものです。
もしかしたらあなたは、相手から感情的に何か言われたり怒鳴ったりされると、過剰に自分が悪いと考えてしまってはいないでしょうか。あるいは、自分が悪いのだから、怒鳴られても仕方がないと思っている人もいるかもしれません。
けれども、感情的になったり怒鳴ったりすることは、言わば暴力です。
仮にあなたが職場で、ミスや失敗をしてしまったとしても、だから「怒鳴られても いい」ということにはなりません。これは、しっかりと心に刻んでおいてください。 これは不当な行為です。なぜなら、怒鳴らなくても、冷静に具体的に改善するための方法を指摘することはできるのですから。
むしろ、感情的になってしまう人は、そんなことがわからない人だと言えるでしょ う。管理能力がない、と言い換えてもいいと思います。そして、こんな捉え方ができれば、「自分には能力がない」という卑屈な思いが減るでしょう。
また、そんな相手と正面から対決するなんて、恐いことをすることはありません。
むしろ、過剰に反応しないほうが、相手がエスカレートするのを防げるでしょう。
そのためには、相手が言っていることの主旨だけにポイントを絞りましょう。
たとえば、自分のミスの改善点について具体的な指示があったときは、その点だけに焦点を当てることです。それが全体の10 パーセントだとしたら、残りの説教だの感情的な言葉の90パーセントは、「聞く必要もない」ぐらいの気持ちでいましょう。
その10パーセントのポイントがつかめれば、あとは、その場をどうやって早めに切り上げて、自分から終わりにできるかどうかを考えればよいでしょう。反対意見を言う必要もありません。
やり方としては、たとえば、打ち切るためのタイミングだけに焦点を当て、相手がまくしたてて一息ついたときに、「はいわかりました。そうします」と、正面から力強く答えます。そして、あとは丁寧に「失礼します」と頭をさげて退散する。こんなふうにできれば、相手の感情に引っ張られずにすむでしょう。