作品概要
《ダンサーズ》は、画家のテオ・ファン・ドゥースブルフによって制作された作品。制作年は1916年から1916年で、クレラー・ミュラー美術館に所蔵されている。
ドゥースブルフの探求心
1916年に制作された《ダンサーズ》は、ファン・ドゥースブルフがピエト・モンドリアンの影響を受ける以前に描かれた初期の抽象絵画作品である。
ピエト・モンドリアンとは、ファン・ドゥースブルフと同年代の19世紀末から20世紀にかけて活躍したオランダの抽象画家である。また、ファン・ドゥースブルフとは第一次世界大戦中にデ・ステイルという芸術雑誌を共に創刊していたほど強い繋がりのある人物である。
そして本作は、ファン・ドゥースブルフの神学とスピリチュアリズムの探求心により制作されたものであるとも考えられている。
絵画における人物像
本作の主要人物は、ヒンドゥー教のクリシュナ神像がフルートを演奏しながらダンスをしている様子をを抽象的に表現している。ドゥースブルフのイメージとしては、二枚折りの彫刻絵図の様に神像を描いたのである。そして彼は、より高い芸術に対する情熱を持って肖像画の制作にあたった。
絵画に描かれている神智学協会の教えは、日常に存在するものの混沌とした理想を表面化で神聖なものとして調和することであった。そればかりでなくファン・ドゥースブルフは混沌とした要素を抽象化し、表面上を超え表現することによって、芸術が人々にスピリチュアルな視点での経験を与えることができると考えていた。
作品の中で、彼はインド美術の技法を取り入れることで、色と形を自然に反映させるのではなくスピリチュアルの信念とそのありさまを表現したのである。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。