コンポジションVIII （ザ・カウ）

制作秘話

1918年に制作された《コンポジションVIII (ザ・カウ) 》において、ファン・ドゥースブルフはデ・ステイルの教えを人々に解こうという意思を持ち制作に臨んだ。

放牧牛のイメージを比喩的に研究することによって抽象化し、ファン・ドゥースブルフは徐々にそのイメージを変化させカラフルな長方形と正方形で慎重に調整を行いこの絵画を表現したのだ。

描かれたものを単純化して減らし、それを基本的な幾何学的、構成要素に変化するという点で抽象化し抽象化の意味を文字通りこの作品で示した。

デ・ステイルとの密接な関係

ファン・ドゥースブルフは、本作品を教育目的のためデ・ステイルの論文で配布することを念頭に予備研究として制作したとも考えられている。

デ・ステイルとはオランダ語で様式という意味を持つ。その名の通り、デ・ステイルは建築や抽象絵画など造形や多くの様式を芸術の専門とするアーティストたちによって構成されたグループであり、このグループによってグループ名と同じデ・ステイルという名前で芸術に関する雑誌の制作も行われていたのである。

そのためファン・ドゥースブルフにとって、デ・ステイルという雑誌にこの作品が登場するということには大きな意味があったということになる。

その意味とは以下のように考えられる。デ・ステイルの芸術家への迅速な浸透を担うこと。もう一つはファン・ドゥースブルフの芸術発展にかける情熱が証明されることだ。

これらの事柄から、ファン・ドゥースブルフがこの作品を制作することにも重要な意味合いがあったことがよくうなずける。