作品概要
《リズム・オブ・ア・ロシアン・ダンス》は、画家のテオ・ファン・ドゥースブルフによって制作された作品。制作年は1918年から1918年で、ニューヨーク近代美術館に所蔵されている。
作品制作の意図
ファン・ドゥースブルフの来歴において考えると、本作品《リズム・オブ・ア・ロシアン・ダンス》は初期に制作された作品ということになる。そして、この作品にはファン・ドゥースブルフが創設したデ・ステイルの美学において、芸術家の情熱を彼の理想によって修正する意図が隠されていたのである。
この頃、ファン・ドゥースブルフは抽象絵画や作品の抽象化に力を注いでいたため、この作品は言い換えれば彼の抽象化に対する情熱がより感じられる作品ともいえるだろう。
信念と理想
本作品の中では、ロシアンダンサーの動きは素早く一掃し、短時間で慎重にダンサーがタイミングを合わせて強く水平、または垂直に動いているように示されている。
その上、様々な色を使用し細い線でその姿を表現している。また、色付けされた線を短くすることで俊敏な動きと静的な動きの二つを示唆したと考えられる。
本作品において、ファン・ドゥースブルフが狙いとしていたことは、ダイナミックなリズムとデ・ステイルの静的な表現の二つを融合させることであった。そしてこの狙いを公にすることで、ファン・ドゥースブルフとデ・ステイルを共に立ち上げたピエト・モンドリアンの間に亀裂をもたらすような芸術に対する、根本的理想の違いを明らかにすることでもあったと思われる。
この作品からも見受けられる通り、彼の感じ方は抽象化が自然主義の絵画よりも具体的であるという証明であった。なぜならそれは、ファン・ドゥースブルフの理想の背後に抽象化こそが精神的な構造を現実的により描写できるという信念が存在していたからなのである。
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