ドイツ銀の米部門、1日のトレーディング損失が想定の12倍に-届け出

  • 米規制当局による外銀の状況把握能力に疑問符
  • 米部門のトレーディング損失はロンドンの関連利益で相殺-関係者
Photographer: Krisztian Bocsi/Bloomberg

米監督当局は過去十年間の大半を費やしてドイツ銀行の厳しい経営状況を把握しようとしてきたが、今年のある1日のトレーディング損失は、米当局による実態把握がいかに難しいかを物語っている。

  ドイツ銀の米国部門のトレーダーは1-3月(第1四半期)に、内部リスク管理者が通常発生し得ると規制目的で見積もる規模の12倍に相当する損失を1日で出していたことが5月の提出書類で分かった。ドイツ銀の米国トレーディング部門の損失は、ロンドンでの関連する利益によって相殺されたと、事情に詳しい複数の関係者は明らかにした。

  米部門のこの損失は、ドイツ銀の過去に照らしても、他行の第1四半期実績と比較しても群を抜いて大きいが、ドイツ銀の決算報告書での言及は必要とされていなかった。1営業日当たりの想定最大損失額(VaR)といった尺度がトレーディングのエクスポージャーのごく一部しか表さなければ、米規制当局が外銀の業務実態を正確に把握できるのか疑念が生じる。ドイツ銀の米部門はストレステスト(健全性審査)で複数回不合格となり、資本増強を進めてきただけに、問題は明らかだ。

  MITスローン経営大学院のアンドルー・ロー教授(金融)はトレーディング損失全般について「VaRの2倍や3倍でも可能性が低いが、VaRの12倍は非常にあり得ないものだ」と指摘した。

  ドイツ銀の広報担当、ケリー・マクヒュー氏はコメントを控えた。

Extreme Loss

Deutsche Bank's U.S. unit had a trading day that stood out from peers

Source: 1Q18 FFIEC filings from U.S. units of several large international banks

原題:Wild Trading Day at Deutsche Bank Raises Questions on Risk (1)(抜粋)

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