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【投稿小説】少年がOLの体で苦労する話① 作:生姜 イメージイラスト:むらさきいろオレンジ
第一話
「え~、話しておいた通り、今日から田中清彦くんが2週間ぶりに復学する。いなかった間の勉強のこととかフォローしてやるように」
普段なら先生の話など聞かずにコソコソとおしゃべりしている生徒が何人かいる朝のホームルーム。しかし今朝に限っては私語をしている者は1人もいなかった。水を打ったように静まり返った教室に、中年の男性教師の声だけが響いている。
「まあ事情が事情だからみんなも少し戸惑うことがあるかもしれないが―――」
長話に定評のある教師は延々としゃべり続けるが、生徒たちはそんな話など碌に聞いてはいない。彼ら全員の関心はもっぱら、教師の脇に立つ1人の女性に向けられていた。
生徒たちからの視線を一身に浴びて立つその女性は、年の頃20代後半と見えた。うつむいたその顔は、キリっと整った知的な印象のつくりをしており、さらに眼鏡をかけていることが顔立ちの知的な印象をさらに強めていた。
肩にかかる程度のさっぱりしたショートヘアも相まって、これがどこかの会社のオフィスにでもいたのなら、いかにも『仕事ができるキャリアウーマン』といった雰囲気を醸し出すことだろう。
しかしその年齢からして、教師でもないのなら学校の教室という場にいるにはいささか違和感は否めない存在だ。そして女性が教師でないことは、彼女が着ている衣裳から明らかだった。
女性がその身に纏っているのは、この学校が指定する女子生徒用の制服……世間一般的にはセーラー服と呼ばれている衣裳だった。今、彼女が教室という場所にいることを考えるだけなら、セーラー服とはある意味もっとも自然で、ありふれた衣装とも言えるだろう。しかしたとえTPOがどうであれ、それは成熟した大人の女性が着用するには、あまりにおかしな服装だった。
そして女性の顔は、自らのおかしな恰好を自覚して赤く染まっていた。
(うぅ……恥ずかしい……。こんな服で、女の人の体で、みんなに見られているなんて……)
セーラー服を着た女性……田中清彦の心の中は、恥ずかしさで張り裂けそうだった。
彼の体は大人の色気に満ちた女のものだ。しかし実際のところ、その精神はいまだ性を知らない純粋な少年のそれだった。そしてそんな無垢な少年の心を宿す器としては、今の彼の体はあまりにも女として成熟したものだった。
うつむいた清彦の視線の先に、彼の羞恥心を刺激してやまないその肉体がある。
本来、まだ発育途中の少女の体を覆うようにデザインされているセーラー服は、すでに成長しきった大人の女体を包んではちきれんばかりだった。
豊満な胸はセーラー服の薄手の布地を大きく盛り上げ、清彦の視界をほとんど遮っていた。その下では、緩やかなくびれと安産型のどっしりとしたお尻のラインが曲線を描いている。
公共良俗に反しない程度に丈の短いスカートの裾からはチラリとふとももがのぞいていた。むっちりとした脂肪が付いたそのふとももには、同じ教室にいる女子生徒のようなしなやかな感じは無く、まして男子たちのそれのような筋肉っぽさなど欠片も見当たらない。その代わりにあるのは、男を魅惑する成熟した大人の色気だけだった。
(はあ……)
清彦は小さくため息をつく。たったそれだけの動作で胸の脂肪の塊が揺れ、それが少年の羞恥心をさらに掻き立てる。
(でかすぎるよ……これ。邪魔だし恥ずかしいし……)
バスト91cm・ウエスト65cm・ヒップ98cm……このセーラー服を特注する際に採寸された自身のスリーサイズが彼の頭をよぎった。わずかな身じろぎで揺れる巨乳は、彼にとって恥ずかしさの塊のようなものだった。
イラスト:むらさきいろオレンジ https://twitter.com/YG_AAA_G
「???こんなところだな。おい清彦。何か一言いっておけ」
突然呼びかけられ、清彦はハッと我に返った。彼が羞恥心に悶えている間に、男性教師の長話はようやく終わっていたようで、今は清彦に話が振られていた。
あわててうつむいていた顔を上げる。特に言うことなんかないと思ったが、それでもおざなりな挨拶の言葉を紡ぐべく口を開く。
「えーっと、久しぶりです。こんな格好になってしまったけど、改めてよろしくお願いします」
先生から席に座るように指示され、清彦は窓際の一番後ろにある自分の席へ向かった。歩くたび細かく揺れるお尻の肉を疎ましく思いながら教室内を移動するその間にも、彼女に向けられている教室中の好奇の視線が離れることは無い。
清彦はその視線を敏感に感じとっていたが、気にしてもしょうがないのでそれは無視するように努めた。
歩くたびに腿の奥に外気が吹き込む。スカート特有のその感触に慣れない清彦は、裾をぎゅっと握りしめたがその布地はあまりにも薄く、頼りないように思えた。
視線と慣れないスカートの頼りなさに耐えて、席にたどり着いた清彦は椅子に腰かける。腰を下ろした瞬間、彼は座り心地と机の高さに違和感を覚えた。
以前この椅子と机を使っていたころには、清彦の身長は150センチメートル台だった。しかし今の彼の体は、大人のものだ。女性のものとはいえ、成長期に入りかけだった少年よりも身長は高く、160数センチはある。以前はちょうどよいサイズだった椅子と机も、今の清彦には低すぎるようだ。
(机と椅子、後で交換してもらわなきゃな……)
そんなことを考えながら顔を教室の方から背けて窓に目をやる。初夏の青空に浮かぶ大きな入道雲を背景に、物憂げな表情を浮かべた自分の顔がガラスに映っていた。
「はぁ……」
この2週間でおなじみになったその顔を見て、ぷっくりとした唇からまたため息が漏れる。
(くそっ、なんで俺がこんな体に……。あの日まで……俺は……)
清彦は2週間前のあの日の朝を思い起こす。1人の少年の人生が大きく狂い始めた、あの日の朝のことを……。
「え~、話しておいた通り、今日から田中清彦くんが2週間ぶりに復学する。いなかった間の勉強のこととかフォローしてやるように」
普段なら先生の話など聞かずにコソコソとおしゃべりしている生徒が何人かいる朝のホームルーム。しかし今朝に限っては私語をしている者は1人もいなかった。水を打ったように静まり返った教室に、中年の男性教師の声だけが響いている。
「まあ事情が事情だからみんなも少し戸惑うことがあるかもしれないが―――」
長話に定評のある教師は延々としゃべり続けるが、生徒たちはそんな話など碌に聞いてはいない。彼ら全員の関心はもっぱら、教師の脇に立つ1人の女性に向けられていた。
生徒たちからの視線を一身に浴びて立つその女性は、年の頃20代後半と見えた。うつむいたその顔は、キリっと整った知的な印象のつくりをしており、さらに眼鏡をかけていることが顔立ちの知的な印象をさらに強めていた。
肩にかかる程度のさっぱりしたショートヘアも相まって、これがどこかの会社のオフィスにでもいたのなら、いかにも『仕事ができるキャリアウーマン』といった雰囲気を醸し出すことだろう。
しかしその年齢からして、教師でもないのなら学校の教室という場にいるにはいささか違和感は否めない存在だ。そして女性が教師でないことは、彼女が着ている衣裳から明らかだった。
女性がその身に纏っているのは、この学校が指定する女子生徒用の制服……世間一般的にはセーラー服と呼ばれている衣裳だった。今、彼女が教室という場所にいることを考えるだけなら、セーラー服とはある意味もっとも自然で、ありふれた衣装とも言えるだろう。しかしたとえTPOがどうであれ、それは成熟した大人の女性が着用するには、あまりにおかしな服装だった。
そして女性の顔は、自らのおかしな恰好を自覚して赤く染まっていた。
(うぅ……恥ずかしい……。こんな服で、女の人の体で、みんなに見られているなんて……)
セーラー服を着た女性……田中清彦の心の中は、恥ずかしさで張り裂けそうだった。
彼の体は大人の色気に満ちた女のものだ。しかし実際のところ、その精神はいまだ性を知らない純粋な少年のそれだった。そしてそんな無垢な少年の心を宿す器としては、今の彼の体はあまりにも女として成熟したものだった。
うつむいた清彦の視線の先に、彼の羞恥心を刺激してやまないその肉体がある。
本来、まだ発育途中の少女の体を覆うようにデザインされているセーラー服は、すでに成長しきった大人の女体を包んではちきれんばかりだった。
豊満な胸はセーラー服の薄手の布地を大きく盛り上げ、清彦の視界をほとんど遮っていた。その下では、緩やかなくびれと安産型のどっしりとしたお尻のラインが曲線を描いている。
公共良俗に反しない程度に丈の短いスカートの裾からはチラリとふとももがのぞいていた。むっちりとした脂肪が付いたそのふとももには、同じ教室にいる女子生徒のようなしなやかな感じは無く、まして男子たちのそれのような筋肉っぽさなど欠片も見当たらない。その代わりにあるのは、男を魅惑する成熟した大人の色気だけだった。
(はあ……)
清彦は小さくため息をつく。たったそれだけの動作で胸の脂肪の塊が揺れ、それが少年の羞恥心をさらに掻き立てる。
(でかすぎるよ……これ。邪魔だし恥ずかしいし……)
バスト91cm・ウエスト65cm・ヒップ98cm……このセーラー服を特注する際に採寸された自身のスリーサイズが彼の頭をよぎった。わずかな身じろぎで揺れる巨乳は、彼にとって恥ずかしさの塊のようなものだった。
イラスト:むらさきいろオレンジ https://twitter.com/YG_AAA_G
「???こんなところだな。おい清彦。何か一言いっておけ」
突然呼びかけられ、清彦はハッと我に返った。彼が羞恥心に悶えている間に、男性教師の長話はようやく終わっていたようで、今は清彦に話が振られていた。
あわててうつむいていた顔を上げる。特に言うことなんかないと思ったが、それでもおざなりな挨拶の言葉を紡ぐべく口を開く。
「えーっと、久しぶりです。こんな格好になってしまったけど、改めてよろしくお願いします」
先生から席に座るように指示され、清彦は窓際の一番後ろにある自分の席へ向かった。歩くたび細かく揺れるお尻の肉を疎ましく思いながら教室内を移動するその間にも、彼女に向けられている教室中の好奇の視線が離れることは無い。
清彦はその視線を敏感に感じとっていたが、気にしてもしょうがないのでそれは無視するように努めた。
歩くたびに腿の奥に外気が吹き込む。スカート特有のその感触に慣れない清彦は、裾をぎゅっと握りしめたがその布地はあまりにも薄く、頼りないように思えた。
視線と慣れないスカートの頼りなさに耐えて、席にたどり着いた清彦は椅子に腰かける。腰を下ろした瞬間、彼は座り心地と机の高さに違和感を覚えた。
以前この椅子と机を使っていたころには、清彦の身長は150センチメートル台だった。しかし今の彼の体は、大人のものだ。女性のものとはいえ、成長期に入りかけだった少年よりも身長は高く、160数センチはある。以前はちょうどよいサイズだった椅子と机も、今の清彦には低すぎるようだ。
(机と椅子、後で交換してもらわなきゃな……)
そんなことを考えながら顔を教室の方から背けて窓に目をやる。初夏の青空に浮かぶ大きな入道雲を背景に、物憂げな表情を浮かべた自分の顔がガラスに映っていた。
「はぁ……」
この2週間でおなじみになったその顔を見て、ぷっくりとした唇からまたため息が漏れる。
(くそっ、なんで俺がこんな体に……。あの日まで……俺は……)
清彦は2週間前のあの日の朝を思い起こす。1人の少年の人生が大きく狂い始めた、あの日の朝のことを……。
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