成人年齢を二十歳から十八歳に引き下げる改正民法が成立した。選挙権年齢に合わせ、国法上の統一を狙ってのことだ。次は少年法が標的となろう。適用年齢を十八歳未満とすることには反対する。
国会では改正法成立にあたり「若年者の消費者被害を防止するための必要な法整備」などを求める付帯決議が入った。
つまり十八歳になると親の同意なしに契約ができ、ローンを組むことも可能となる。これまで十八、十九歳は高価な買い物をしても解約できる未成年者取り消し権があったが、これは喪失する。
当然、消費者被害の拡大が予想される。悪徳商法対策を強化した消費者契約法も改正されたが、効果は十分ではないようだ。付帯決議はその懸念の表れだ。高校などで消費者教育も必要になろう。
親が離婚した場合、養育費の支払いも「成人まで」と決めれば、十八歳で打ち切られる。もともと経済的に自立していない若者が多い中、困窮者の増大も予想されるのである。日弁連会長がこの法律の成立に「遺憾の意」を表明したのもそうした理由からだ。
もともと世論も「十八歳成人」を望んでいなかった。内閣府の二〇一三年の世論調査では約七割もの人が「反対」意見だった。それでも政府が「若者の社会参加」などを口実に改正したのは、国法上の統一が眼目であるためだろう。
すると次の焦点は少年法だ。適用年齢を二十歳未満から十八歳未満へと引き下げる改正に移ることになろう。これを最も恐れる。
現行制度では二十歳未満の事件はすべて家庭裁判所に送致し、調査官や少年鑑別所による科学的な調査と鑑別の結果を踏まえる。そして少年にふさわしい処遇を決める手法である。
非行少年は多くが成育の環境などに問題を抱えている。そんな少年をどうやって更生させ、社会に適応して自立させるか。
それには福祉的でかつ教育的な方法を採用するのが最も有効なのだ。その結果として更生し、社会復帰し、再犯防止にもつながっていくのである。
この方法によって大きな効果を上げている。犯罪白書では刑法犯の少年の検挙人数は十三年連続で減少している。二十歳未満とする現行少年法は有効に機能している。その認識は重要である。
飲酒や喫煙、公営ギャンブルは現行法を維持する。すべて「十八歳で統一」という理由など、どこにもないはずである。
この記事を印刷する